第五章 戦場の真実
反乱軍の本拠地──荒れた村の広場。
私は一人、白いマントを翻して歩いた。
「グラックフォールの令嬢……? まさか王の使いか?」
武装した男たちが、警戒した様子で剣を構える。
「違います。私は貴方たちと同じ──苦しむ者たちの声を聞きに来た者です」
私は魔法で地面に映像を投影した。
飢えた子供たち、税金で家を奪われた農民、戦争で家族を失った人々。
「これが今の王国の現実です。王は悪くない。貴族たちの貪欲が民を苦しめている。そして、その多くは──王太子様の知らぬところで行われている」
男たちの表情が揺れる。
「ならば、なぜ王都を攻める? 王太子を殺す? それではまた同じ繰り返しです」
「……お前は、本当に貴族の令嬢か?」
「はい。でも私は、変わることを決めた者。貴方たちの声を王城に届ける。税制改革、農地の再配分、平民の代表を議会に送る──すべてを実現する。そのための橋渡しになると誓います」
そして、私は最後にこう告げた。
「でも、もし貴方たちが無実の人々を傷つけるなら──私は魔法で貴方たちを倒します。慈悲は与える者に与えられるもの。暴力で得たものは暴力で失う」
沈黙のあと、反乱軍の指導者が剣を地面に突き刺した。
「……交渉を受け入れる。だが嘘なら許さない」
「当然です」
──こうして流血を避け、反乱は鎮圧される。
そして私は王城に戻り、改革案を提出した。