表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

第一章 転生と運命の宴


「──まさか、本当に死ぬとは思わなかったわね……」


 目が覚めたとき、私はベッドの上で部屋の天井を見上げていた。

 白いレースのカーテンが風に揺れ、甘いバラの香りが鼻をくすぐる。


「ここは……何処だろ?」


 どこか見覚えのある部屋。

 私の手は──小さくて、白かった。


「まさか……?」


 鏡に映った顔を見て息を呑む。

 赤い髪をふわりと肩に垂らし、紫の瞳に冷たい光を宿す。

 顎を少し上げたその表情はどこか傲慢で、どこか哀しげで──


「ヴァルミナ・デルフィア・グラックフォール……?」


 そう。

 私は前世でプレイした乙女ゲーム『王太子の花嫁』の悪役令嬢──ヴァルミナ・デルフィア・グラックフォールその人に転生していた。

 前世の私はOLとして毎日残業に追われ、ストレスで胃を壊し、ついには過労死。

 それが終わって目が覚めたら、この世界にいたのだ。

 今のヴァルミナ──つまり私は十六歳。

 物語の序盤。

 王太子ジェームズ・アーサー・グラントリーとの婚約披露宴の前日。


「……つまり私はこれから、ヒロインの敵として登場し、そのヒロインを陥れ、王太子に嫌われ、最終的には国外追放か牢獄行き、か……」


 前世の記憶が鮮明によみがえる。

 ヴァルミナは傲慢で高飛車、ヒロインである平民出身のヴィヴィアン・ライトモアを妬んでいた。

 彼女を陥れて王太子を独占しようとするが、すべて失敗。

 そして、反乱の罪を着せられて国を追われる。


 ──だが、今なら違う道が歩める。


「悪役令嬢なんて、ごめんだわ」


 私は鏡に向き直り、唇を引き結んだ。


 今度は──私が成り上がるのよ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ