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Hell history ~ヘルヘイム~  作者: 天馬光
大魔神との出会い
15/33

出会い

 少し重ためですが、読んで下さると幸いです。

 再び目を覚ますと、ヘルはベッドの上にいた。

 胃の中ではないことから、これまでの悲惨なこと全てが長い悪夢かと思われたが、見たところ寝かされていた部屋に一切見覚えは無く、まだ断定できない。

 夢か現実か判別できずに困惑していると、看病してくれたであろう少年が、彼女の目覚めに気付いた。


「あ、目が覚めたんですね。よかった」


「ここは……?」


「ここは煉獄の辺境、三途の川のほとりにある僕の家です」


「そう……ありがとう。えっと……」


「羅王(らおう)です。話は伺っています。元女神のヘルさん、ですよね?」

 自分を看てくれた親切な魔族の少年の口から、自分の名が出たことにヘルは驚いた。


「どうして私のことを?」


 ヘルの質問に、羅王はすぐ答えようとしたが、それより先に部屋の扉が開き、ガタイのいい1人の男が入ってきた。


「俺様が話したんだ。助けてやったついでにな」

 そう答えた男の出で立ちを見たヘルは、ロキから聞かされた特徴から、この男がアバドンだとすぐにわかった。

 そのことを言われるとアバドンは肯定し、今は自分が大魔神だということや、ヘルのことを一部始終見ていたと語った。その態度は常に上からで、傲岸不遜とは彼のためにあるような言葉だと、ヘルは、内心思った。


「ま、俺様に感謝することだ。俺様が偶然あそこを通りかかり、お前に好奇心を抱いてなきゃ、今頃あの蛇のエサになってただろうからな」

 そう言われてヘルは礼を述べたが、全てが現実だとはっきりと理解したことで、ヨルムンガンドのことが頭に浮かび、アバドンに兄がどうなったか尋ねた。


 アバドンは最初、なんのことだかわからなかったが、彼女と蛇が兄弟だと知ると納得した。


「そいつは悪いことしたな」


「まさか……」


「安心しな。死んじゃあいねぇよ。蛇の割にはなかなか骨がある奴だったから、数発殴って地平線の彼方まで飛ばしてやっただけだ。もっとも、重傷は確実だろうけどな」

 アバドンの言葉を聞いて、ヨルムンガンドの身を案じたヘルは、居ても立ってもいられず、彼を救いに行こうとしたが、壊死した足が動くわけがなく、ベッドから転げ落ちた。


「無茶ですよ! そんな足じゃ」


「うっ……どうして?」


「魔界に突入した時の後遺症だろうな。一応毒抜きついでに医者に診てもらったが、そこだけは一生治らねぇんだとよ」

 アバドンの口から宣告された内容にヘルは落胆し、同時に己の選択に後悔した。

 天使や神の目をエンジェルアイ、魔族の目はデビルアイといいます。

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