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9話 エレとゼロの嫌いなあれが出た


「ふみゅ⁉︎フォル早い……おにぃちゃんも来てくれたのー」


 エレはフィルを兄のように慕っているんだ。将来のとかそういうのは、エレは考えてないだろうね。エレは


「……おにぃちゃん、見てて」


 ゼロは、それだろうけど。


「フィル、純粋なエレも可愛いけど、策士なゼロも可愛いよね」

「……」

「みゅみゅみゅなの。ふかふかもふもふむみゅむみゅのベッドが欲しいのー……ってエレが言ってる」

「ちょうなのー。ほちいのー」


 出す家具すら常識を逸脱したものとは。流石だね。


「エレ、俺高級家具見てみたい。というか、触れてみたい」

「りょぉかいなのー」

「カタログ持ってきたから。これ」

「ふみゅ。分かったの」


 カタログってどこで手に入れたんだろう。


「ふーみゅふーみゅ」


 どんどん可愛らしい部屋になっていってる。これほっといたらどこまでやるんだろう。ちょっと気になる。


「……エレのベッドよういちないと」


 エレのベッドというか、それはペット用のベッドなんだよ。


 エレ、まさか飼われたい願望で……流石にそれはないか。


「これでねこしゃんの時もあんちんなの」

「そうだな」

「ちゅいでに、えじゅけもできるようにちておくの」

「なんで餌付け?」

「ゼロにえじゅけ」

「……こういう器が欲しい」


 そこは断って良いから。まぁ、言わないけど。


「ふみゅ。みゅなの」


 僅か十分足らずで、家具が一通り揃うとは。しかも、自分達の趣味のものも色々と揃えている。


「これでねむねむできるの」

「エレ、これ絶対に外に出さないでよ」

「ふみゅ。これはエレが楽するためなのって言ってる」


 万が一にでも外に出れば、大混乱間違いなしだよ。


「ベッドだーいぶ」

「エレ、危ないからやめろ。外したら怪我すんだろ」


 わぁ、すごい過保護。ベッドの目の前で、飛び込もうとしてるのに、外す話するとか。


 エレならやりそうだけど。


 間違えたぁーとか言って、そっぽの方向にダイブっとしそうだけど。


「むぅ、過保護だとエレに嫌われるの」

「それで怪我しねぇなら、存分に嫌ってくれ」

「ふみゅ⁉︎ふぇ、そんなのできないのーー」


 エレってほんとに恵まれないよね。僕とゼロを好きになったのが運の尽きというか。

 僕とゼロに振り回され……お互い様か。


「大人しくねむねむしろ」

「……おはなち」

「少し寝るだけだ。ほら、一緒に寝るぞ」


 エレとゼロが寝たあとにでも、報告書とか書いておかないと。面倒だけど。


「すやすや」

「ちゅやちゅや」

「お隣にフォルいないと」

「にぇれにゃいのでちゅ」

「おにぃちゃんも一緒に」

「ねむねむでちゅ。じゃないと、じゅっとちゃわぐでちゅ」


 仲良く脅してるよ。


 僕は良いけど、フィルはどうなんだろう。


「……二十日ぶり」

「……お疲れ様」


 人の事言えないけど、ほどほどにして欲しいよ。


「フィルはゆっくり眠るさ」

「そうさせてもらう」


 僕はゆっくり寝るなんてできないけど。できるとすれば、エレとゼロがいない時だけだね。


「今日は、おててちゅなぐちかちないの」

「俺らもいつもそういう事ばかり考えてると疲れるから、そういうのを考えない時あるんだ」

「そう。なら、ゆっくり寝させてもらうよ」

「ふみゅ。ちょっとぎゅぅってちちゃうかもだけど、ちょれは気にちなくて良いの」


 そこは気にしないけど。エレは、聖星の子だから。見たくもない未来を視た時とかは、むしろそうして欲しい。気付けない時もあるかもしれないから。

 そうやって、教えて欲しい。


「気にしないよ」

「ふみゅ」


 疲れていたんだよね。もう、眠った。


      **********


「むぅにゅぅ」


 また、怖い夢でも見ているのかな。


「ゼロ……おっきぃ」


 ゼロが大きい?何が?身長?


「だみぇ……ぷにゅ⁉︎……ゼロきらい」


 ……あっ、うん。そういう事か。うん。なんの夢か気づいたけど、エレのために言わないよ。


 何かとは言わないけど、エレとゼロは、悪夢だと思う。そういうのが嫌いな人なら、誰でも悪夢かな。


 この辺は、いなかった気がするけど、都の宮にいた時とか良く見ていたかな。リーグとクリーは平気だったけど、ミュンティンはだめみたいで、毎回、リーグとクリーに助けを求めてた。

 フュリーナは、友達とか言っていて、その時は、リーグすら引いてた。


 辺境の宮にいた時は、あんまり見なかったかな。

 フュリーナの部屋にはいたけど。飼ってたのかな。


「やぁ……だめぇ……」


 共有切らずに寝たからか。多分、おんなじ夢見てる。


「……あれか」

「うん。フィルは平気?」

「いて欲しくはない。魔法具を扱う身としては」

「入って故障とかに繋がるからね」

「一度やって、対策とった。そうだ、フォル。あれが、大量発生してるから気をつけろと」

「またか。ほんとなんで、ギュリエンってあれの大量発生多いんだか」


 他の場所では、そんなに聞かないんだけど。ここでは良く聞く話なんだ。あれの大量発生。


 ……恐らくあれの悪夢に、大量発生……


「フィル」

「入らないように対策を取っても、効果あるか分からない」

「やらないよりはマシだよ」

「……ぷみゅ……やぁな夢見たの」

「俺も」


 エレとゼロ起きた。


「あ、あれ、あれ」

「あ、あれ、あ」


 二人して、恐怖に怯えた顔でどうしたんだろう。


 指さしてる方向を見れば分かるかな。僕の後ろなんだ。


「……」


 あれだ。


「ぴにゃぁぁぁぁぁ‼︎」

「ぴみゃぁぁぁぁぁ‼︎」


 出てきてしまったし、もう隠さず説明するか。


 あれというのは、繁殖型の魔法具。古来の遺産のようなもの。その見た目が、真っ黒くてすばしっこい虫なんだ。大体五センチくらい。しかも飛ぶ。


 見つけ次第、破壊が推奨されているんだ。それだけ、危険な魔法具という事もあるんだろう。


 エレとゼロは、この見た目と動きが嫌いみたい。というか、これを嫌うほとんどの人が。


 フュリーナは、危険性と繁殖力をとってから飼っているから、ほっといて良いけど。


「おれの魔法具の怨みー」

「フィル?」


 対策とったとしか言ってない。一個じゃないのか。やられたの。


 あれが他の魔法具の中に入ると、即故障だから、魔法具技師の一面を持つフィルには天敵だ。


 それにしても、破壊するわけではなく、完全停止させるとは。


「行くつも部品がやられた分、部品になってもらう」

「……」


 僕の場合、片割れって表現が一番だけど、自分の兄の見たくない一面を見た時ってみんなどうするんだろう。何も見ていないふりをすれば良いのかな。

 親身になってあげる?


「フォルお悩み」

「……エレ、片割れを兄という、下の子として聞いて良い?」

「みゅ」

「兄の見たくない一面を見た時ってどうする?」

「エレは、そういうところもあるって受け入れる。でも、見ていたのは見なかった事にちゅる」

「ありがと」


 エレのこういうのは、参考になる。僕は、フィルと離れている方が長いから、そういう時を知らないんだ。本家の兄ともほとんど会わないから。


「……エレ、俺の見たくないところって」

「エレよりも可愛いところ」

「それ系か」


 ゼロ、エレは多分、女装したら可愛いとかそういう話で言ってないと思う。あからさまに安堵してたけど。


 エレの真似する時とか、その他諸々行動的の可愛さを言っていると思う。


「ふみゅ。きんきゅぅかいぎなの。あれをどうちゅるか会議なの」

「……エレ、僕一人だと制限があってできないけど、方法ならあるよ。魔法を持続させておかないとだから、少し難易度高いけど」

「やるの」

「そんな方法があるのか?だったらおれも手伝う。魔法を持続させる魔法具を提供する」


 すごいご都合展開きたよ。なんで、実現不可能と言われる魔法具ばかりぽんぽん出てくるんだろう。ここって常識とかないのかな。


 そんな事言えば、人の事言えないって返ってくるだろうけど。


「ふみゅ。エレのせっちぇいじゅのできたの?魔法はんえいちゅうちょうち」


 聞かなかった事にしよう。


 魔法具は、その設定された魔法を魔法石の魔力を使って持続させるだけ。魔法の持続ができる魔法具は存在していないんだ。

 魔法によって、使う魔力の量が異なるから。


 それを実現させただけでも、すごい事なんだ。それを超えて、半永久となれば、不可能の領域に足を踏み入れている。


 あの二人はどこを目指しているんだろう。


「フォル、なにちゅればいいの?」

「まずは、束縛の花と結界の花の応用だ。エレには、結界の花を作ってもらいたい。束縛の花を結界の花に反応させる」

「ふみゅ」

「それを創った後、破壊の花を使って破壊できるようにする。これが最難関だろうね」

「……エレさいちょのりょぉほぉやるから、ちゃいごお願い」


 最初の二つもだいぶ難しいんだけど、大丈夫なのかな。


 そもそも、生命魔法自体、超高難易度魔法。禁呪指定の魔法だ。


「ふみゅふみゅ。お花しゃんをイメージちゅるの」

「うん」

「……ふみゃ⁉︎ちょ、ちょれは、エレだけのお花しゃんなの」


 何想像してんだろう。


「……ぷみゅぅ。できたけどちっぱいなの」


 黄金の龍の花。束縛されたいとかあるのかな。


「ちゅぎは結界の花……こっちはふちゅうなの」


 氷と月……どこが普通なんだか。これは、ゼロに守られたいという事かな。


 でも、花の見た目はどうであれ、成功はしているから機能はするだろう。

 見た目は、想いが強く出てしまうんだ。僕の今創る破壊の花は、どんな見た目なんだろうか。


 壊したいもの。そんなの、思いつかないな。

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