表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

10話 嘘で塗り潰された場所


 なんだろうこれ。大きい花と小さい花が一つになっている。


「……ふみゅふみゅ。これは、どう思いまちゅか?ゼロしゃん」

「ふみゅふみゅ。これはあれですね。歳の差を破壊したいという深層心理の現れかと。エレさんはどう思いますか?」

「ふみゅ。エレもそうだと思いまちゅ」

「そうですよね。そうとしか考えられませんよね」

「ふみゅ」


 それだけはないと言いたいけど、言えないよ。もしそうなると思うと。


 二人の事をじゃなくて、年齢は何も考えていないと思うんだ。そこは気にしていないと思うんだ。


 多分


「ふみゅ、これでエレの安念は守られたの」

「ふみゅ、これでゼロの安念は守られたの」


 エレとゼロが嬉しそう。


「でもでも、げぃいんのちゅいちゅうちゅるの」

「そうだね。それも必要だ」


 主様の仕事だから、僕らには無縁だけど。


 あー、でも、その主様から直接頼まれれば断れないか。


「原因は」

「はんちょくりちゅを誰かがあげたからだと思いまちゅ」

「思います」


 あれは、フィルでも扱いに困るような代物。そんなのを簡単にいじられるとは思えないんだけど。


 主様はどう判断するんだろうか。


「エレ達」

「夕食作る」

「待ってて」

「エレもついでに待ってて」

「ふぇ⁉︎」


 びっくりするエレが可愛い。ゼロは過保護だから、できればエレに料理させたくないんだろうね。


 それ以前に、エレに任せると、毎回焦がして何作っているのか分からなそうだけど。


「エレもいっちょにやるの。いっちょにやるの。一人やだー。エレもー」

「エレは料理下手なんだから待ってろ」

「デザート上手。ちゃらだちゅくれる。可愛い」


 料理するのに最後の可愛いは必要ないと思う。


「エレをちゅれてけば、後悔なんてちゃちぇまちぇん。エレを買うんでちゅ」

「……」

「でちゅ」

「……フォル、エレの相手してて。料理はルノとデューゼにぃに頼むから」

「……ふぇ」


 ゼロに無視されたからって、僕に抱きついて泣くのはなんでなんだろう。エレの生態ってほんと謎。


 ゼロは、泣いてる妹無視。


「エレ」

「ゼロきらいきらいなの。エレはフォルの子になるの。ゼロの子違うの。今日からフォルのペットなの」


 ん?えっ?待って、今変な事聞こえたんだけど。

 ペットって、まさか、エレは、ゼロに飼われてる認定なの?


 エレが自分からペットって言ってる?エレにそんな頭があるとは思えないんだけど。この子、ゼロの入れ知恵でここまで色々としているけど、エレ自体は知っている事は少ない純粋な子だから。


「エレ、ペットって誰が言ってたの?」

「時々、様子を見にきてくれるにゃむしゃん」

「……」


 自由気儘で、ほとんどギュリエンにいない神獣。ニャフビュム。彼は、エレとゼロが気に入っているらしくて、ギュリエンに来るたびに、双子宮に寄っているとは聞いていた。


 こんな事を教えているなんて知らなかったけど。


「あとね、あとね、おもちろいおくちゅりの調合おちえてもらったの」

「面白い薬?どんなの?」

「エレの事をちゅきになってくれるおくちゅり」

「悪戯にも程があるだろ」

「うん。今度会ったら、エレに余計な事教えないように念を押しておかないと」

「みゅ?にゃみゅ?わかんにゃいの」


 ほんと可愛い。ゼロの入れ知恵なしの純粋エレ。


「おにぃちゃん、これ部品わたちゅから、解体ちていい?」


 目を輝かせている。エレって、ほんとに魔法具の解体好きだよね。気になる魔法具とかあると、すぐに解体しようとするんだ。


「一人でできるか?」

「ふにゅぅ。おてちゅだいちてほちいの」


 エレとフィルが、あれを解体する。あれだけいやがっていたというのに、解体する時は、全然いやがっていない。


 動いている時は、虫として認識して、動いていない時は、魔法具として認識しているのかな。


 見た目は変わっていないのに、不思議。


「ふみゅ。これは……ふみゅ……これなの……そうなの……きっとそうなの……そうじゃないの」


 何に気づいたんだろう。そして、何が違ったんだろう。


「……フォル、これちゅごいの。とってもちゅごいの」

「何がすごいの?」

「ふみゅ。これね、はんちょくの方法ちゅごいの。ちょれに、ちぃれに」

「フィル」

「繁殖の方法。ここで卵を産んでる。方法は……この魔法石に繋がっているこれだ」


 魔法石の魔力から、擬似生命体を生成するのとおんなじ要領か。

 それに、これは……面倒だけど、後で主様に連絡しておくか。


 突然大量繁殖はありえない。この情報は、早急に伝えた方が良い。エレとフィルの解体が完全に終わり次第だけど。


「ふにゅ。これは、あれなの」

「あれだな」

「とりあえじゅ、おまちゅりたのちむの。これはほっといていいの」

「フォル、後で教える」

「うん」


 エレがほっといて良いっていうのは疑うけど、フィルまで何も言わないなら良いのかな。


「……珍しい。オルベア様から連絡だ」

「……⁉︎……みゅぅーみゅぅー」

「……」


 どうしたんだろう。二人とも、顔を逸らして。


 とりあえず、出てみよっと。


『あの二人を止めろ』

「えっ?どうしたの?」

「おにぃちゃん、逃げるの勝ちなの」

「だな」


 なんなの。急にオルベア様から連絡くるし、エレとフィルは逃げるし。


 ……逃げたって事はやましい事があるって事のはずだ。ほっといて良い魔法具……あの繁殖方法は、普通ではできない。それに、一箇所に大量にいるという事は今までも報告がない。


 この魔法具ってもしかして


「あれって、オルベア様が作った、監視用の魔法具ですか?」

『そうだ。魔力の回復に時間をかける点は、効率が悪いが、一度に大量の情報を収集できる優れものだ』

「フィルが魔法具故障させられたって」

『その魔法具が何か聞け』


 多分、作ってはいけない類だね。そういえば、魔法具の故障って、エレとフィルからしか聞いた事ないかも。


「……」

『二人はどこいる』

「オルベア様から連絡来た途端逃げ出し増田。解体して気づいたでしょうね。一応言っておきますよ」

『慣れんな』

「仕事なんで、慣れてください」

『……エルグが怪我をしたと報告を受けてから、何年経ったか。あんなの気にしてるのは、フォルだけだ』


 ……そんなの、分かってる。分かっていたって、そうできないだけだ。


「エレエレのフォルいじめるなーー」

『どこがいじめていたんだ』

「エレエレのフォルは、今のままでもじゅぅぶんかわかわなの。これ以上、エレエレのフォルにむぅむぅ言うと、エレ、みゅぅむぅってなるの」


 エレ、僕のために怒ってくれてるのは分かるけど、何言いたいのか全然分かんない。


『良い嫁を持ったな』

「嫁じゃないから」

「ちょうなの。えれえ……エレゼロは、フォルのお嫁しゃんなの」

「だから、嫁じゃないって。オルベア様も、変な事言わないでください」

『変な事ではないが』

「変な事です。ただでさえ、隙あらば、外から埋めていこうとしているんですから。そこが可愛いんですけど」

『……そんなふうに笑えているなら、余計な心配だったな。エレも、それを分かっての事か』


 笑えてる?僕が?嘘、今、自然と……あれ以来、ずっと振りしかできなかったのに。


「ふみゅ。エレゼロは、フォルとにみゃにみゃらぶらぶせいかちゅ送るの」

「……オルにぃ様、連絡してくるなら直接来てくれない?ついでにこの暴走姫の世話してよ。たまには弟休ませてやろうって優しさ見せてくれない?」

『今度、暇な時にでも行こう。エレ、今度挨拶に行く。弟をよろしくと』

「待ってるの」

「だから、僕は」


 ……切られた。少しくらい弟の味方しろよ。


「……ふみゅ。ゼロがご飯できたって。いっちょにいこ」

「うん」

「……エレはフォルの味方なの」


 だったら、突然来たと思ったら、お嫁さん発言しないで欲しいんだけど。


「お嫁さん発言やめれば信じるよ」

「……良いんじゃないの?」

「口外を許可した覚えはない」

「みゅ?だって、フォルのお嫁しゃんになるためにも、フォルの身近な人達にあいちゃつちないとだめなの。これは、大事な事だって、ゼロが言ってたの」


 またゼロの入れ知恵か。


「あっ、ちょれともうひとちゅ。あちたはいちょがちいの」

「君らが?」

「ふにゅ。おまちゅりにちょなえていちょがちいの」


 祭りで忙しいって、なんでエレが。まぁ、明日になれば分かるだろう。今日はもう何も考えたくない。面倒見てて疲れた。


「ふみゅ。エレがおまちゅりいっぱいたのちいっていわちゅの」


 エレは張り切ると必ずと言って良いほど失敗する。だから、あんまり張り切って欲しくはないかな。


 ほどほどで、やってくれれば良いんだ。なんて言ったら、やだって返ってきそうだ。


「……じぃー」

「どうしたの?」

「エレは、フォルがたのちいって言ってほちいの。たのちいって事をいっぱいちてあげたいの」

「なら、いつも通りでいて。結婚を迫る以外はだけど、僕、君らといると楽しいから」

「……うちょちゅき」


 走って、どっか行っちゃった。


「エレは、あの時、主様の側にいた。目撃者が誰一人としていない。当然、エレが主様襲撃の犯人と疑われた」

「……」

「エレは、気にしていないように見せようとしているだけだ。誰にも言えない秘密を一人で抱えて」

「秘密?」

「あの時の真実。主様が、フォルを外へ出す事を許可した理由も、その中にある。噴水のところにいるから、行ってやれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ