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49 逃れろ!異世界キャッチ商法!

俺の名は山口寿明。

色々あって異世界でスライムに生まれ変わって、体色ブルーの美人キャバ嬢に激しい客引きを受けている男だ。


【ね?遠慮せず村で休んでお行きなさいな】

【いえ、待ち合わせしていて先を急いでいるので…】

【じゃあその人も呼べばいいじゃないの】

【その人と連絡が取れないので…】

【村の者を待ち合わせ場所に伝言に行かせるから大丈夫。ね?行こ?】


…やばい。ブルー美女氏から、どうあっても逃がさないという強い意志を感じる。

この引き留め方はおかしい。明らかに親切のレベルを超えている。

初対面で見ず知らずのブラックスライムを、こうまでして村に連れ込みたい理由とは…。

前世でこの手のタイプの客引きに着いて行くと金銭的に大変な目に遭うと言う話を聞く。

キャバだけでなく普通の居酒屋でも、店に着くと客引きの言ってた条件と全然違うとか劣悪なサービスとかしかも高額請求とか色々聞くしな!


では異世界でこの手の客引きに着いて行くと、一体どういう面で大変な目に遭うのだろうか。

しかも連れ込もうとしている村って、さっきの緑色半裸マンが奇襲してきた村だろ?

どう考えても生命的に大変な目に遭いそうな気がしてならん。

とにかく全力で断って逃げねば。

【あの!俺お金とか持ってないんで!】

【あら、そんなの気にしなくて良いのよ?】

あかん。これは完全に体(生命)だけあればいいよパターンだ。

【ホントに急ぐんで!!ではまた!!】


ザカザカザカ!

トシアキは逃げ出した!

「シャアアアアーーーーー!!!」

蛇レディは正体を現した!


俺が逃げ出した途端、ブルー蛇女が恐ろしい形相になって追ってきた。

【ウァァァァー!!!追ってきてるぅぅぅぅ!!】

何コレ怖い!やっぱノコノコ着いていったら命取られる系コンテンツだった!

焦って森の中に走り込んだが、木が多くてカール君くらいの早さしか出せない。

一方蛇女も、あの巨体でどうやってと思うくらいの速度で追ってくる。

森の中で出せるスピードは、黒ボディになってもほとんど上がってないのだ。

ボディの性能が高くなっても、俺の反射神経はそんなに良くなってないんだよな。

彼我の速度はほぼ変わらない。これじゃ全然引き離せないぞ。

というか顔が怖すぎだよ!さっきまでの美人っぷりが跡形もなく、完全にモンスター顔だ!

人間を油断させる擬態的な奴なのか?


【コレでも食らえ!】

シュリンと触手ブレードを引き抜いて、通り抜けざまに細身の木を切り倒す。

これが足止めになれば、少しでも引き離せるだろう。

続けて何本か切り倒しながら背後を見ると…全然効いてない…

倒れた木は普通に乗り越えてくるし、当たりそうな木はバシバシ弾き飛ばしてる。


「シャアアアアーーーーー!!!」

結構逃げてるのに、背後からの威嚇音が全く収まらない件。

俺は蛇から見るとそんなに旨そうなのか?

執念深すぎだろ。蛇は執念深いという迷信があるが、マジで死ぬまで追ってきそうな勢いだ。

ボディの形状からして長距離走には向いてない筈なんだが、ひたすら追ってくる。

微妙に逃げられそうで逃げられなさそうな距離感のせいだと思うが、引き離せないんだから仕方ない。


仕方ない、こうなったら戦うか…。

ここは森の真っただ中だ、殺人(人か?)行為をしても誰にもバレない。

ついさっきまで歓談してたので物凄く気が引ける。

でも、既に向こうは完全に非友好的態度って言うかむしろ殺す気満々だからな。

もうあの人、見た目からして人間感無くなってるしね。あれはもう完全に蛇タイプのクリーチャーだ。

よし、どう考えても正当防衛だよね。


蛇も呼吸はしてるはずだから、何とかして不意を突いて顔面に取り憑いて窒息攻撃だな。

倒木を物ともしないパワータイプ相手に、正攻法で正面から挑むのはちょっと嫌だ。

俺は大きめの木の下を通るタイミングに合わせて触手を上に伸ばし、枝へフックのように引っかける。

そのままグルンと逆上がりのように回転して、奴の頭上を突くという策を思いついたのだ。


【はあっ!食らえ、脳天逆落とし!】

バキィ!


何という不幸か、触手を引っかけた枝が俺の勢いと重みに耐えきれずヘシ折れてしまった。

勢いにブレーキが掛かっただけの状態でフンワリと宙を舞ってしまった俺。

頭上からの奇襲どころか、絶好のアタックチャンスを提供してしまった!

目前に迫る蛇女クロー!

【うおおおおやばいいいい!】

もはや相手のパワーがどうのと言っていられる状況ではない。

全力で反撃の触手ブレードを打ち込むしかない!


ガキィン!

宙に浮いている分こちらが押されたが、蛇女も体勢を崩している。

こちらにゲルが吹き飛ばされるようなダメージは無し。

信じられるかこのパワー。体高2メートル、全長ざっくり10メートルくらいの蛇女と互角に打ち合えるんだぜ。

ブラックになって、近接戦闘もめっちゃ強くなってね?


自信を持った俺は一気に間合いを詰めて勝負に出る。

【うおおいくぞ!三段突き無明剣んんん!!!】

サーベル状態に尖らせたブレード触手で、一瞬の内に顔面・喉・鳩尾へと3連突きを繰り出す必殺技だ!

ちなみに本当に3連突きしている訳ではなく、突いた瞬間に触手を三分割に変形させてるだけだが。

同時に三箇所を突ければ三段突きなの。いいね?

顔を突ければ、ブレードを伸ばして脳まで到達させれば即死だ。最低でも顔面に触手を接近させれば、そのまま窒息攻撃に持ち込める。

喉に触手を突き刺せば、気管まで到達させて窒息攻撃。

鳩尾の場合は、腹の中で触手の先っぽをガンダムのビームジャベリンみたいに変形させて内臓を引っかき回す。

どれでもいいから当てさえすれば致命傷に出来るまさに必ず殺す技だ。

同時に繰り出す縦3連撃の致命傷アタック、初見で防げはしまい。


ズバババッ!


体勢を立て直した蛇女の迎撃で胴体への突きはなぎ払われたが、顔面と喉への突きは直撃した。

そのまま顔面のブレードを伸ばして、後頭部まで貫き通す。

頭蓋骨を抜いた手応えあり。トドメにブレードをトゲトゲ状にして、脳をミックスしておく。

だが、勝ったと思ったのもつかの間、蛇女は動きを止めない。

蛇部分で俺に巻き付こうと絡みついてくる。

【なぬ!? 脳吹っ飛ばしたのに何で動く?】

意味が分からないが、とにかくこんな大蛇に巻き付かれたらゲルを引き千切られかねない。

ニョロンと細長く全身を伸ばして、巻き付き攻撃から逃れて距離を取る。

俺がすり抜けたのが分からないのか、そのまま団子状に丸まって締め付けを続ける蛇女。

どうやら、脳を潰した時点で即死はしているようだが、体だけはそのまま動き続けているっぽい…。


近づいても動きに変化は無いようなので、痕跡を残さないように死体は消化吸収しておく。

おおお…これは結構パンチのある溶かし応え…。久しぶりにガッツリした消化快感だぜ。

しかし、やはりあの村は殺人キャバクラだったようだ。

最初のダークエルフ村が珍しいのか、殺人キャバクラ村が異端なのかは分からんが、第二の村がいきなりコレとは。

異世界にはまだ第二第三の殺人村が潜んでいるのかも知れん。村は危険度高すぎだな。

今後の道中、村には接触せずに回避しつつ、都を目指すことにしよう。


年 内 最 終 更 新。

キリの良いところまで進んだので、次回更新は年明けになります。

次回は都に到着する所からになる予定です。


よいお年をお過ごし下さい。

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