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元公爵夫人は冒険者になりたい〜だってコレクターだもん〜  作者: ここるく
本編

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01.お好きにどうぞ

短編と同じです。

 

「紹介しよう、男爵令嬢のマリア・デ・ウィードリスだ」


 そう、私に言い渡すのは、公爵家の当主ラインハルト・フォン・エクセライク。

 輝く銀髪を撫で付け、白いシャツにグレーのベスト、黒のトラウザーズとシンプルな装いなのにキラキラと輝かしい。神様に愛されたかのような整った顔に冴え冴えとしたサファイアブルーの瞳、目元の泣きぼくろが印象的。銀髪も伴い『爽涼の貴公子』と呼ばれ夜会に出ればたちまち女性の目線は釘付けだ。


 紹介された彼女は肩までのふわふわのピンクブロンドにくりっとした眼、小柄で庇護欲を唆られる可愛げな態度。ふと、ヒロインみたいな色合いだなと思う。


「はじめまして、ルティカ・フォン・エクセライクです」


 一般的に比べれば背が高く、女性らしいフォルムをしているがお世辞にも可愛いとは言い難い私。真っ直ぐなプラチナブロンドに深いコバルトブルーの瞳、どちらかと言えば綺麗な部類に入ると思われる。因みにラインハルトの妻で公爵夫人だ。



「はじめまして、マリア・デ・ウィードリスです。どうぞよろしくお願いします」



「今度マリアを第二夫人に迎える。そのつもりで準備してくれ」




 ーーはぁ?!



 ルティカは社交界で鍛えられた隙の無い完璧の微笑みを浮かべ、ラインハルトを見る。


「では、私とは離縁なさってくださいね。慰謝料として今まで私に頂いたものを貰っていきます。ドレスなどどうせ私以外には着れないでしょうし。ああ、何か書類等でサインが必要な時は冒険者ギルドに言付けてください」


 くるりと反転しそのまま足早に出口に向かうその途中でマリアに


「じゃあ公爵夫人頑張ってね」


 にこりと微笑み、出口の前で一旦振り返り


「ラインハルト様、今までお世話になりました」


 完璧なカーテシーを決めて退出。


 ラインハルトもマリアもぽかんとしたまま、ルティカの去った扉を見つめるだけだった。





 淑女としてはあるまじき速さで長い廊下駆け抜けて、自室に入りカチャリと鍵をかける。


「全くふざけんじゃ無いわよ!! 何が第二夫人よ! ただの浮気じゃんっ!!」


 ぷんすかと怒りながら、仕立ての良いドレスを脱ぎ捨てる。コルセットも一人で脱着出来る簡易式だから大丈夫。動きづらい服を脱ぎ、纏めた髪を下ろして軽く結び、大きな深呼吸をしながら伸びをする。


 このままベッドに転がりゴロゴロしたい所だが、ぐずぐずしてると面倒な事になりそうだ。さっさと動こう。


 アイテムBOXから愛用のチュニック型の上着とパンツ、革のブーツ、マント、いつものアイテムを取り出して身に着ける。


「久しぶり〜、やっぱり楽で良いわ」


 脱いだドレス等をアイテムBOXに入れてクローゼットに向かう。ラインハルトに貰ったドレスや装飾品を片っ端からBOXに詰め込む。これらを売ればしばらくのんびり出来るだろう。……贅沢はしたつもりはなかったが意外と量があるな……。


 そんな最中に激しく扉が叩かれ、鍵をガチャガチャされる。


「おい! 何をしている!? ここを開けろっ!」


 ちっ、忙しいのにうるさいな〜。

 でも鍵は家令のエドワードが予備を持っているからそのうち開いてしまうだろう。それまでに入れれるだけでいっか。


 せっせと慰謝料を貰っていると、バンッと大きな音を立てて扉が開いた。怒りと困惑の表情を浮かべてラインハルトが慌ただしくやってきた。淑女の部屋に勝手に入ってくるなよ〜。


「どういう事だ、ルティカ。離縁なんて何を言っているんだ!」


「ラインハルト様こそ何を仰っているのです? お義母様がどうしてもと言うから結婚しましたが、その際に私あなたに確認しましたよね? 浮気は許さないと。第二夫人? どうぞ勝手になさってください。公爵夫人もあの彼女がやってくれる事でしょう。今後私に関わらないでくださいね。それでは!」


 一気に言い切り詰め寄ってくるラインハルトをさらりと躱し、屋敷の入り口に向かう。ランクBの実力を甘く見るなよ。鍛えているラインハルト様よりも動けるんだからね!

 メイドや皆が心配そうに見るけど気にしない! 軽く手を振って微笑んどく。


 公爵家は広くて大きい。屋敷からゲートまでも遠く、いつもは馬車で移動だ。

 でももう関係ない。軽く走って出て行く。疾風の腕輪を付けて私が走れば馬より速い。ビバ! 有り難うチート!


 自由を満喫しつつ嬉しそうに出て行くルティカの後ろ姿をラインハルトはボー然と見送っているだけだった。




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