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圧倒的力で異世界無双  作者: firy
第2章 コウの成長
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コウ、誕生

今回は少し、書いた量が僕にとっては多くなったかなと、思います。

僕、島崎 やすしはいつものベッドで目を覚ました。

目の先には見慣れた天上。

ああ、また今日も学校に行くのかと思うと、憂鬱になってしまう。


僕は学校が大嫌いだ。

僕は小学3年のときからいじめられている。


理由は、クラスの人気者に告白され、あまつさえ、彼女を振ってしまったというものだ。


クラスの男子からは嫉妬から、女子からは振られた彼女を筆頭に報復のような形でいじめを受けた。


その後は事あるごとに僕に白羽の矢が立ち、いじめるようになっていった。

そうする内に、クラスから学年、そして学校へと僕をいじめる人たちは増えていった。先生さえも一緒だった。


僕に関する噂は尾ひれがつきすぎて原型がなくなっていた。

何度も死のうと思ったけど、カッターナイフを肌に突き刺す事は出来なかった。


僕はこのことをお母さんには言えなかった。何故なら僕が帰ってくると、いつも笑顔で



「おかえり。康、今日も学校楽しかった?」



と、言ってくれるから。僕はその時決まって



「今日も楽しかったよ。友だちといっぱい遊んだんだ。」



と、嘘をつく。


その時はすごく心が痛くなって、自分のことが嫌いになったけど、それよりも、お母さんの笑顔を大切にしたかった。



お母さんがなぜ僕の学校生活を知らないのかというと、子供のころお父さんが交通事故で死んだ後、専業主婦だったお母さんは、その日からずっと僕を養うために働き詰めているためだ。


そんなお母さんは授業参観の時も僕のために働いていてくれた。

お母さんに心配なんてかけたくないから嘘をつき続けた。



中学校に入ってすぐ、僕はクラスからいじめを受け始めた。いずれそうなるとは思っていたけど、こんなにもすぐだとは思わなかった。みんな成長したのか、暴力などはなくなった。外傷があるといじめを受けているとわかるからだろう。


ただ、いじめ方は、どんどん陰湿になっていった。初めは給食に牛乳を入れられる程度のものだった。


それは先生も、



「おいおい、食べ物を遊びに使うなよ。」



という感じで、僕をそういうキャラなんだとほとんど黙認していた。



中学2年の3学期になると、給食に死んだハエなどの虫を入れるようになった。


その時に、思わず先生に言って、犯人を見つけることになった。


その犯人は、部で優秀な成績を残す男子生徒だった。その件で僕のいじめに関することについて、学級で特別授業が行われた。

そこで、彼は僕をずっと前から1人で僕をいじめていたとして、周りの人たちから濡れ衣を着せられていた。


そのことが原因で、彼は部活動を辞めさせられ、1週間の自宅謹慎、そして、先生や親などの、周りの評価も落ちてしまった。


僕に関しては、いじめる方も悪ければ、いじめられる方も悪いとして、僕もみんなに謝らせられた。


なんでだ。原因については不明なのだから、何も解決にはなっていなかった。


それからは僕に対していじめをする人はいなくなった。特別授業での部活動停止処分は効いたのだろう。因みに部活動停止処分を受けた男子生徒は不登校になっている。



中学2年の春。


ようやくクラスがまとまり始めた頃、とある女の子が僕に話しかけてきた。


名前は冬月千里(ちさと)。みんなからはちーちゃんと呼ばれている。


背は少し低く153cmくらいで、僕より頭一つ小さい。


容姿はあまりこんなことを言うのもどうかとは思うが、可もなく不可もなく、と、いったところで、彼女の最大の魅力は、誰にでも優しく、明るいところだ。


冬月さんは僕が足を引っ掛けられて転ばされた後に、誰もいなくなった運動場の端の水道で傷を洗っていると、そっとタオルを出して



「使って。」



と、言ってくれた。


その一言から、全ては始まった。


彼女こそ、中学に入学して初めてまともな会話をした人だった。


それからは誰もいないところでちょくちょく話すようになった。周りの目が気になるのか、誰かがいるところでは決して僕とは話さなかった。当然と言えば当然なので、そこは仕方ないと思っていた。


携帯のメールアドレスも交換した。けれど、ここ数年で初めて他人と、しかも異性と関係をもった。

当然、好きになった。

恋い焦がれてしまった。

もっと一緒に居たいと思ってしまった。


その年の秋、僕は冬月さんに告白した。



「どうか、僕ともっと一緒に居てください。」



僕の一世一代の告白に、冬月さんは



「ぷぷっ。何それ、ホントに笑える。大事な話があるとか言って来てみれば。それ?プロポーズですかっての。気持ち悪いんですけど、この陰気ヤロー。

この私があんたみたいないじめられっこと話してあげているのは、それをネタにしてみんなで笑えるからよ。


あ、あんたの今のプロポーズ(笑)は、録音してあるから。後が楽しみね。


……多分これ以上のものは出ないわね。

これでもうあんたは用済み。


もう話すこともないでしょうね。


さようなら、勘違いヤロー。」



そういって、冬月さんは去っていった。 終始彼女は笑っていた。


僕はこのときに人間不信になっしまった。あのみんなに優しい冬月さんにさえあんなにも汚い言葉を吐かせてしまう僕とは一体何なのか。

その答えに応えてくれる人は、いない。



そして、中学3年の秋、みんな部活を引退したとき、事件は起こった。


僕は学校からの帰宅途中、すっかり暗くなった河川敷を1人、歩いていた。


その日は丁度、文化祭の準備を夜まで行っていたのだ。


なぜ僕が1人で帰っているかというと、みんながクラスで出し物を決め、何が必要か話した後(僕は意見を出させてもくれないから端の席で座っていた)に予算や屋台の出店場所をまとめたデータを生徒会に提出するための作業を押し付けられていたからだ。


僕はいつものように、うつむいて、トボトボ歩いて帰っていた。


すると、急に強い風が吹いた。なんとなく風が吹いていく方向を見ると、黒い帽子と服、マスクのいかにも不審者という格好の恐らく男がいた。というのも、暗くてよく見えなかったから、恐らくというわけだ。なんだか怖かったので、足早にその道から別の道に切り替えて歩き去ろうとした。


しかし、ソイツは追ってきた。怖かったから、走って逃げようとした。けれど、ソイツは僕に追い付いた。僕は運動は苦手で余り足が速いわけではなかったけれど、ソイツは走り慣れている感じがした。そして、ふと振り返った。


すると、お腹の下が熱くなった。恐る恐る熱くなったところを見てみると、あかくそまったふく、そのちゅうしんには、『き』がはえていた。


よくみると、その『き』の元には、てつがあった。このとき、ぼくは、はじめてじぶんがさされたことにきがついた。

かおをあげてみると、そこにはよくみしっているような、ちばしっためがふたつあった。


どんどんうすれていくいしきのなか、そいつは



「よくも俺の人生をめちゃくちゃにしてくれたな。」



と、いっていたようなきがする。よくおぼえていない。






僕はいつの間にか何もない、真っ白な部屋に居た。なんだかながい間眠っていたような気がする。


そういえば僕、死んだんだよな。


「うん。そうだよキミは死んだ。だが、まだ生きられる。」



そう言って、もやもやした白い何かが現れた。



なに?誰だよ、君は。



「さてな、誰だろうか。ボクが誰だか当てられたら、キミに生きかえる(すべ)を教えよう。ただし、当てられなかったらこのまま普通に死んでもらうよ。」



まあ、どうせ死んでいるんだし、ノーリスクハイリターンってことで。

さて、キミが誰かということだね。



「ずいぶんと踏ん切りがいいね、キミ。流石だ。それはそうと、キミを殺した犯人について、キミは誰だと思う?」



分かんないよ。そんなの、君は知っているのかい?



「僕が知っているんじゃないよ。キミが知っているのさ。」



白い何かが、康に向かってそう言った。



どういうこと?意味が分からないな。


大体、僕はアイツの顔なんて見ていないから分かるはずがないだろう?



「いいや、薄々気づいているはずだ。

あの眼、あの声、どこかで聞いたよね?ボクは君の知っていることはなんでも知っているんだよ。」



なんだよ。意味わかんないよ。気づいなんかないよ。



「いいや、気づいているさ。

自分が弱いから。

ただいじめられることに耐えるのが正義で、自分が悪くないと思っているから。

何も変えようとは思っていなかったから。

そんな自分を嫌悪しながらも、良しとしていたから。努力しなかったから。

自分を変えていたら、刺されて殺されることはなかったかもしれないと認めるのが怖かった。

そうだろう。」



違う、違う。そんなわけない!



「認めろよ。


キミは結局、他人に助けてもらうのを待っていただけだったんだろう?


だから冬月さんのことを好きになった。一緒に居ると、心から救われたから。」



そうだ。それのどこが悪い!



「悪いさ。キミはただ依存しんだよ。お前は冬月さんに何かしたか?

ただただ貰ってばかりだったんじゃないのか?

まあまやかしの貰い物だったわけだが。


それでも、もし、何かをあげていれば、状況は変わっていたのかもしれない。」


………。



「もしかしたら、嘘が真実になったかもしれない。」



!!



「まあ、ifの話をしていても始まらないけどね。」



僕は、自分勝手すぎたのかな。



「人は誰しもが自分勝手なんだよ。みんな自分が大切だ。

行動の全ては自分のためにとるものだ。


人助けも、相手を助けた事実が、自らにとって幸福だと思えるからする。


いじめもだ。

自分は相手よりも上にいるという状況に幸福を感じるから起こる。


人は、自分勝手のついでに周りを巻き込む。

キミはその“自分”すら大切ではなかったんだろ?なら、それは自分勝手ではなく、甘えだよ、単なるね。」



そう言われ、康は納得した表情になった。



そうか。僕は甘えていたのか。


目の前の現実から目を背けて、ただ、甘えていたのか。

なんだ、簡単だったじゃないか。自分を変える努力もしなかった、できなかった。思いつかなかった。

僕はいじめられたあの時から、その状況を良しとしていたのか。


ふふっ。嗤えるね。全く。



そう言って、康は大声で嗤い始めた。


そして、一頻り嗤い終わると、白いヒトに向かって言った。



…ありがとうね。


何だか君のことが誰だか分かった気がするよ。


「そうかい。なら答えてもらおう!さて、ボクは一体誰でしょーか。」


こんなにも僕のことを分かるのは他人じゃない、僕しかいない。君は僕だ!僕以外の何者でもない!



「正解だ!行っておいで、新しい世界に。


そこで、キミはやり直すんだ。そして、存分に悔いのない人生を歩むといい!」



その瞬間、白しかなかった部屋に亀裂が入り、その亀裂から光が差し込む。


次第に部屋が崩れ落ちた。全てが光に包まれる。


そこからやすしの、いや、コウの、新しい人生が始まった。




お読みいただき、ありがとうございました。

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