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とんでもスキルで異世界放浪メシ  作者: 江口 連


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第七十五話 女神仲間(前編)

今日は74話、75話を更新です。

 部屋に戻る前にフェルに『ニンリル様への供え祈りは大丈夫なのだろうな?』と聞かれてドキっとした。

 前にお供えしてからまだ1週間は経っていないものの、すっかり忘れていた。

 あの残念女神のことだから、もうそろそろ神託だって言ってうるさく催促してくるような気がする。

 とりあえず、うるさく言われる前にお供え(貢物)しておくか。

 ネットスーパーを開いて何をお供えしようかと物色していく。

「洋菓子に和菓子と来て、次は何がいいかな……」

 まぁここは普通にチョコとかの菓子でいいか。

 日持ちもするし、数揃えときゃあの残念女神も今度こそは1週間くらいは持つだろう。

 ということで、クッキーやらアメちゃんやらチョコレートやらをカートに入れていく。

 20点くらいカートに入れたところで、もうそろそろいいかと思って精算しようとしたら、ここ最近お馴染みになった甲高い声が頭に響いた。

『足りないのじゃ。もっと欲しいのじゃ』

 え、こんなにあるのにまだ足りないわけ?

『甘味はいくらあってもいいのじゃ』

 あっそうですか。

 で、これ以上何が欲しいんですか?

『ぬふふふふふ、その言葉を待っておったのじゃ。えーとな、洋菓子とやらの“けーき”と“ぷりん”、それから和菓子とやらの“だいふく”と“ようかん”じゃろう。あっ、“どら焼き”は絶対ほしいのじゃっ』

 まったく随分注文が多いな。

 えっと、ケーキにプリン、大福、羊羹それからどら焼きか。

 ケーキは、何でもいいか。

 目に付いたモンブランとチョコレートケーキをカートへ。

 それからプリンは前と同じカスタードプリンとプリンアラモードを。

 大福も豆大福といちご大福を2個ずつ買って、羊羹は丸ごと1本。

 あと絶対と言ってたどら焼きを3個。

 これでどうだ。

『良いぞ、良いぞ。早うこちらへっ』

 急かすなや、残念女神め。

『ぬおっ、な、な、な、な、な、何故お主らがここにいるのじゃっ』

『異世界人クン、はじめまして~』

『ようっ、異世界人』

『…………』

 え?何?誰?

『この間、偶然見ちゃったのよね~。ニンリルちゃんが異世界人から美味しそうなお菓子を入手してるとこー。女神仲間の私たちには内緒でそれを独り占めしているんですもの。ズルイわよね~。だから、みんなに教えてあげたの。ニンリルちゃんが私たちに内緒で一人で美味しいもの食べてるのよーって』

 おぅ、女神仲間かよ。

 つ、ついにバレたんだな。

『ニンリルちゃんたら水臭いじゃない。美味しいものを食べるなら私たちも呼んでよ~』

『そうだぞっ。お前だけ食うなんてひどいぜっ』

『……(無言のままコクコク頷く)』

『う、う、うるさいのじゃーっ。こ、此奴は、わ、妾の加護を与えし者なのじゃ。その者から供え物と祈りを受け取っていただけじゃ。だ、だから、お、お主らには関係ないことなのじゃ』

『ふ~ん、そうなんだ。じゃあ私も異世界人に加護を与えてお供え物と祈りを受け取ることにするわ』

『そんで美味いものが食えるんならオレもそうするぜ』

『……私も』

『ダ、ダメじゃ、ダメじゃ、ダメなのじゃーーーっ』

『あら、それを決めるのはニンリルちゃんじゃないでしょ』

『ぐぬぬぬぬぬ』

 …………さっきから声だけが頭に響いてきてるんだが、神界ではどうなってんだ?

『異世界人クン、私は土の女神キシャールよ。よろしくね~。それでね、今、私たちの話を聞いていたと思うんだけど、私たち、私の他に火の女神アグニと水の女神ルサールカもいるんだけどね、この3人の加護をあげるから、私たちにもお菓子をお供えしてくれないかしら』

 え、え、土の女神に火の女神に水の女神?

 一応は風の女神の加護があるから、そんなに加護はいらないんだけど。

 目的だった状態異常無効はこれである程度大丈夫だって話だし。

『あらあら、よく見たらニンリルちゃんの加護は(小)なのね。ニンリルちゃんもケチねぇ。それじゃあ状態異常無効化も万全とは言えないわね。それに、あなた風魔法の適性皆無じゃないの。ニンリルちゃんの加護(小)じゃまったく意味ないわよ。せいぜい今使える魔法の発動が良くなるくらいなものだわ』

 そういう風に聞いてたからそんなもんだと思ってたけど、土魔法と火魔法の適性がある俺が土の女神キシャール様や火の女神アグニ様の加護をもらったら何かもっと特別な効果があるのか?

『よくぞ聞いてくれた。オレは火の女神アグニってもんだ。土魔法と火魔法の適性のあるお前にオレ等の加護がついたら、そりゃもう無敵だぞ。少しの魔力で高威力の魔法が使えるようになるんだ』

 へぇ~そいつはすごいな。

『ア、アグニ何を言っておる。通常の加護などおいそれと与えるわけにいかないのはお主も分かっておろうが。そのようなことで加護を与えたら創造神様に大目玉を食らうぞ。だから妾だって加護(小)で我慢したのじゃ』

『そ、それは確かに……』

『まぁ、それは一理あるわね。でも、それなら私たちだって異世界人クンに加護(小)なら与えたって問題ないはずよねぇ』

『そうだ、そうだ。ましてや、異世界人に土魔法と火魔法の適性があるなら、オレとキシャールの加護の方こそ役に立つってもんだ』

『そうよねぇ。(小)の場合、ニンリルちゃんの加護があったって風魔法が使えるようになるわけじゃないしぃ』

『うんうん。オレたちの加護なら(小)でも消費魔力が減って魔法の威力も上がるし、使える魔法の種類も大分増えるぞ。オレたちの加護を与えた後に、いろいろ試してみるといい。オレの言っている意味がよく分かるぞ』

『ぐぬぬぬぬ、キシャールにアグニめ。言いたい放題言いおってからに』

 って、なんか土の女神キシャール様と火の女神アグニ様の加護がつくの決定みたいになってんだけど。

 これ、断っちゃマズいかな?

『おいっ、お前今断るとか言ったか? オレたちの加護が嫌だって言うのか? 場合によっちゃぶっ飛ばしに行くぜっ』

『何を言っておる、お主よく言った。妾の加護だけでいいとはっきり言うのじゃ』

 残念女神は余計な口出すなって。

 あ、あのですね、嫌だってことじゃないんですよ。

 ただですね、一つでも付いてれば珍しいと言われる神の加護がいくつも付いてる人なんているのかなと思いまして。

『うーん、異世界人クンの言うことももっともね。確か過去の勇者に二つ付いてた人がいたみたいだけど、それ以外には思い出せないわね』

 ほら、やっぱりそうじゃねぇか。

 ステータスを見られることはほぼないにしても、何があるかわかんないし、とりあえず1つは神の加護がついてるんだからそれだけで十分なんだよ。

『ええいっ、男なんだから四の五の言うんじゃねぇ!ホレッ、火の女神アグニ様の加護(小)だ』

『あら、アグニったらズルいわ。私も付けちゃおうっと。土の女神キシャールの加護(小)よ』

『ああーっ、お主ら勝手に何をやってるのだーーーっ』

『うふふ、これで私たちにもお供え物してね』

『美味い物いっぱい頼むぞー』

 ああ~、加護二つ追加された。

 あって困ることはないんだろうけど、万が一にでもステータスを見られたときが心配だ。

 まぁ頼りになるフェルとスイがいるから、いざという時には何とかなるか。

『………………私は?』

『あ、あ~、ル、ルカちゃん』

『異世界人、水魔法の適性もない』

『え、えーっと、あのね……』

『ニンリルの加護あるから、私が付けてもあんまり意味ない』

 え?どういうこと?

『お前には風魔法と水魔法の適性がないだろ、それなのにお前には既に風のニンリルの加護がある。だから、同じく適性のない水のルカが加護を与えてもあんまり意味がないんだよ。言ったように適性なしの加護(小)だと、ある程度の状態異常無効化とせいぜい今使える魔法の発動が良くなるくらいのもんだけど、被ってる効果だから後付けのルカの加護はあんまり意味ないってことさ』

 アグニ様、説明どうも。

 意味ないなら、別にいいかも。

『…………加護付けないと、私だけお菓子もらえない。皆だけズルい』

『ちょ、ちょ、泣かないでよルカ。異世界人クンなんとかしなさいよ~』

『そ、そうなのじゃ。お主何とかしろっ』

『そうだぞ、お前男なら何とかしろっ』

 えー、何その無茶ぶりっ。

 何とかしろって、どうすればいいんだよーっ。






女神仲間(後編)につづきます。(明日更新予定)

神界での様子や女神様たちの容姿については閑話で書く予定です。

閑話は本編20~30話ごとに入れていこうと思ってます。

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― 新着の感想 ―
加護の押し売り!?こ、これは幸運なのか?災難なのか?(≧◇≦)
ムコーダさんに女っ気ない〜って言われてるけど、女神様たちがいるじゃん(^m^ ) 十分、十分♪ 誰か一人のムコーダさんになったら、女神様たちがヤキモチ焼いちゃうよ〜 きっとお供えもおろそかになりそう(…
ぶっ飛ばしにいくってよく考えたら、そこからこれんの…?
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