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第三百七十二話 トマト鍋

短いです。

今回は短かったので次話は早めに更新できればと思っております。

『よし、飯だ飯』

『腹減った!』

『お腹空いたー』

「はいはい、分かってるって。……ううっ、さっぶ」

 山の麓ということもあり、吹き抜ける冷たい風が身に染みる。

 作り置きで済ませようかとも思ったけど、こんなに寒いとあったまるもんが食いたくなるな。

 簡単であったまるもんといえば、やっぱり鍋だろう。

 今夜の夕飯は鍋にでもするか。

 そう思ってネットスーパーを開いて、鍋つゆを選んでいると……。

「トマト鍋か。前に食ったけど、けっこう美味かったんだよな。たまにはこういう変わり鍋もいいか。こっちは前に食ったやつだな」

 ケチャップやらトマトジュースで有名なメーカーから出てるトマト鍋のつゆだ。

 完熟トマトの甘味とコクのあるスープが具材の野菜や肉とバッチリ合ってなかなかに美味かった。

 もう1つは焼肉のタレが有名なメーカーから出てるものだ。

 完熟トマトのスープにバジルを効かせてチーズでまろやかさを出した鍋つゆとのこと。

「こっちも美味そう。両方買って食べ比べしてみるのもいいな」

 そう思い、両方購入。

 具材はキャベツ、タマネギ、ニンジン、ブロッコリー、シメジ、ソーセージ、そしてコカトリスの肉だ。

 コカトリスの肉は一口大に、キャベツはざく切りに、タマネギはくし切り、ニンジンは5ミリくらいの輪切り、ブロッコリーは小房に分けて、シメジは石づきをきってほぐしておく、ソーセージは斜めに切れめをいれておく。

 あとは土鍋にトマト鍋のつゆを入れて沸騰したら鶏肉、ソーセージ、ニンジンの順に入れてある程度火が通ったところで残りの野菜を入れて全体が煮えたところにたっぷりとろけるチーズを載せて出来上がりだ。

 クツクツ煮えるトマトスープにかかったとろけるチーズがトローリとろけている。

 ゴクリ……。

「めっちゃ美味そう」

『おい、出来たのか?』

『早く食わせろ』

『美味しそー』

 匂いに釣られたフェルとドラちゃんとスイが後ろから覗いていた。

 フェルとドラちゃんは涎垂らしてるし。

「おいおい、フェルとドラちゃん涎垂れてるから。ってか、涎垂らすなよ、中入っちゃうだろ」

 そう言うとフェルもドラちゃんも急いで前足で涎をぬぐった。

 そして……。

『よ、涎など垂らしてないぞ』

『そ、そうだぞっ』

 だって。

 いや、お前らバッチリ涎垂らしてたよね。

『あるじー、お腹減ったー。早く食べよーよー』

「あー、はいはい。ちょっと待ってね」

 スイに急かされて、みんなの前に土鍋を2つずつ置いた。

『2つとも同じものなのか?』

「違う違う。両方ともトマト鍋なんだけど、こっちのはバジルっていうハーブを効かせてあるんだ」

『なかなか美味そうじゃねぇか』

『美味しそーな匂いー』

『ふむ。野菜が多いのはいただけないが、匂いは美味そうだな。とりあえず食おう』

「おう、食え食え。野菜も美味いぞ。あ、鍋物は熱いからみんな気をつけろよ」

 フェルとドラちゃんは風魔法で冷ましてから、スイは熱いのもへっちゃらで食い始めた。

『うわぁ~、これ美味しー!』

 スイはトマト鍋が大いに気に入ったようだ。

『ぬぅ、早く冷めぬか』

『こういうとき熱々でもいけるスイが羨ましいな』

 そんなことをつぶやいたあと、ようやく冷めたトマト鍋にありつくフェルとドラちゃん。

『うむ、うむ、まぁまぁいけるな』

 ガツガツ食っておいて何がまぁまぁいけるだよ。

『おお~、こりゃあ美味いわ。このチーズってのとこの赤い汁が絶妙に合ってるな!』

 トマトスープととろけるチーズの組み合わせに唸るドラちゃん。

 ま、当然だよね。

 トマトとチーズが合わないわけないし。

 さ、俺も食おう。

 まずは、俺も前に食ったことのあるケチャップやらトマトジュースで有名なメーカーから出てる方だ。

 うん、相変わらずの味。

 トマトの甘味とコクがあって美味い。

 何といってもこのスープととろけるチーズが絡んだ野菜もコカトリスの肉もたまらなく美味いね。

 スープも……。

「あ~、染みるわ」

 文句なしに美味い。

 次は焼肉のタレが有名なメーカーから出てる方。

「こっちは説明にあったとおりバジルが効いてるな」

 バジルが効いたこっちはどちらかというとちょっと大人向け。

 子どもも含め万人受けするのはケチャップやらトマトジュースで有名なメーカーから出てる方だろう。

 しかし、こっちもトマトスープには変わりないわけで、スープととろけるチーズが絡んだ具が美味い。

「うーん、こりゃどっちも美味いわ。やっぱトマトとチーズの組み合わせは間違いないって。って、これならば……」

 俺が取り出したのは、ローセンダールの孤児院で焼いてもらった全粒粉の素朴なパン。

 これをトマトスープに浸して……。

「うんうん、思ったとおり美味いわ。トマトスープを吸ったパンめちゃうま」

『ぬ、それ美味いのか? 我も食うぞ』

『俺も!』

『スイもー』

 目ざとく見つけたみんながパンが欲しいとリクエスト。

「はいよ。あ、でも、〆があるからほどほどにな。今回の〆は2種類用意してあるんだから」

『おお、それは楽しみだな』

『〆って最後のやつだろ? あれなかなかウメーんだよなぁ』

『楽しみ~』

 その後も何度もフェルとドラちゃんとスイがトマト鍋のおかわりをしつつようやく最後の〆へ。

 俺が〆に用意したのは飯とパスタだ。

「こっちのスープには飯を入れて少し煮込んで……」

 トマトジュースで有名なメーカーから出てる方には冷や飯を入れてリゾット風に。

「こっちのスープにはパスタを入れて少し煮込んで……」

 焼肉のタレが有名なメーカーから出てる方には硬めにゆでたパスタを入れてスープパスタ風に。

 野菜とコカトリスの旨味が溶け込んだトマトスープが絡んだリゾットとパスタの〆はフェルとドラちゃんとスイにも大好評だった。

 フェルとスイにいたっては、トマトジュースで有名なメーカーから出てる方にパスタ、焼肉のタレが有名なメーカーから出てる方に飯と逆バージョンもしっかり楽しんでいたよ。

 腹いっぱいになっていい具合に体もあったまった俺たちは、明日に備えて俺の土魔法で作った寝床の箱型の家の中で布団にくるまって早めに就寝した。






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― 新着の感想 ―
[一言] 赤い竜巻を見た後で平然とトマト鍋を作るムコーダさん。鋼のメンタルの持ち主だったのですね。
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