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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連
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第三百六十六話 孤児院への寄付と最後の食べ納め

『とんでもスキルで異世界放浪メシ』1巻がさらに重版決定です!!
お買い上げいただいた皆様、本当に本当にありがとうございます!
これも読んでくださっている皆様のおかげです。
メールや感想もたくさんいただき感謝しております。
忙しくなかなか返信はできないもののすべて読ませていただいてます。
これからも本作をよろしくお願いいたします!
「ふぅ、こんなもんかな」
 目の前には大量のソーセージが出来上がっていた。
 アグニ様とルカ様に献上するホットドッグ用ではあるが、どうせ作るならと俺たちの用の作り置きもと多めにな。
 ホットドッグ用の塩胡椒だけの味付けのものと、粗びき黒胡椒多めの粗びき黒こしょう風味とハーブレモン風味と作ってみた。
 ついでなのでひき肉もストック用に大量に作ったから、いつでもひき肉料理ができるぞ。
 ひき肉はいろいろ使えるからな、肉そぼろに野菜炒めにメンチカツに……、あ、今度ミートボールなんて作ってみるのもいいかもしれないな。
 俺は油で揚げた外はカリっとして中がフワッとしたミートボールが好きなんだけど、1度油で揚げないといけないからちょっと面倒で今まで作ってなかったんだよね。
 今度時間があるときに作ってみようかな。
 多めに作ってストックしておいてもいいし。
 思い出したら何か食いたくなってきた。
 よし、今度時間があるときに作ろう。
 って、それは置いておいて、アグニ様とルカ様のホットドッグだな。
 今回は、オーブンを使って生ソーセージを焼いてみた。
 同時進行ってことで既にオーブンへ入れてあったから、もうそろそろ焼きあがるころだろう。
 大量のソーセージをアイテムボックスへとしまってからオーブンを覗いてみた。
「うん、いい感じに焼けてるな」
 ソーセージをオーブンから取り出していると……。
 フェルとドラちゃんとスイが俺の後ろに勢ぞろいしていた。
「…………」
 フェル、無表情を気取ってるけど涎垂れてるからな。
 ドラちゃんもパタパタ飛びながらソーセージに目が釘付けだし。
 スイもなんかこっち見てプルプル震えて食べたいなオーラを出してる。
「これ、お前たちにじゃないからね。神様にお供えするためのものだから」
『なぬっ?!』
『食えないのか?!』
『食べられないのー?』
「いやさ、みんな朝飯しっかりたっぷり食ったよな?」
『それはそれ、これはこれだ』
『そうだぞ。ちょうど小腹が空く時間だしな』
『食べたいなぁ……』
 フェルやドラちゃんはともかく、スイちゃんそんな切なそうな声で言わないでよ。
「とにかく、これは神様へお供えするものだからダーメ」
 そう言って、アグニ様とルカ様に献上するホットドッグを作り始めた。
 ネットスーパーで買ったホットドッグ用のパンにオーブンで焼いたソーセージを挟んでケチャップとつぶマスタードをたっぷりかけて出来上がり。
 肉ダンジョン祭りで出したホットドッグを意識して、あえてソーセージ以外は挟まずシンプルにしてみた。
 多めに5個ずつ用意したからこれで大丈夫だろう。
「で、何でみんなまだいるのさ?」
『美味そうな肉の匂いがしたら離れられんわ』
『そうだそうだ。俺たちにも食わせろ!』
『あるじー、食べたいよー』
 ったくしょうがないなぁ。
「たくさんは出さないぞ。おやつ程度だからな」
『うむ』
『チッ、しょうがねぇなー』
『おやつー』
 俺は、再びオーブンでソーセージを焼いて、フェルとドラちゃんスイにそれぞれ10個ずつホットドッグを作ってやった。
 もちろんというか10個くらいならみんなペロっと食っちゃったよ。
 その後の昼飯もみんなしっかりいつもどおりの量を食ってたな。
 この食いしん坊トリオはみんなどんな胃袋してるのやら。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 昼過ぎは、神様ズからのリクエスト品を購入することに充てていた。
 メモを見ながらあれやこれやと選んで購入した品は、神様ごとに分けてダンボールに収納してある。
 けっこう真剣に選んだから満足してもらえるんじゃないかなと思う。
 ネットスーパーの自分ではあんまり見ないメニューとか、自分では気がつかなかった品も見れたからわりと楽しかった。
 まぁ、そのせいかこんなものあったのかって自分でも欲しくなってついつい自分の物も買っちゃったけどな。
 キシャール様のために、化粧品やらの美容関係を見ていたらメンズコスメのメニューを見つけてさ、ここのところ頬がかさついてたから思わず自分用にクリームを買っちゃったよ。
 それに、テナントのリカーショップタナカを見てたら新商品の缶チューハイの広告があって、そういえばこっちに来てからチューハイ飲んでないなぁなんて思ったら飲みたくなってその新作の缶チューハイとS社の缶チューハイの銘柄10種類の味をセットにしたものがあったからそれを思わずポチっちゃったよ。
 まぁ、そんなこんなで楽しみつつ神様ズのお供えものを用意していたら、孤児院にパンを取りに行く頃合に。
「おーい、みんな。今から孤児院に注文してたパンを取りにいくけど、みんなはどうする? 一緒に行くか? 留守番してるか?」
 孤児院の場所は分かっているし、それほど危険な場所を通っていくわけでもないから1人でも大丈夫ではあるし。
『暇だし、一緒に行くぞ。美味そうな屋台があるかもしれんしな』
『だな。当然俺も行くぞ』
『スイも行く~』 
 グッ、屋台狙いかよ。
 まったくしょうがないやつらだな。
 結局孤児院に向かう途中は、みんなの琴線に引っかかった屋台3店舗をはしごすることになった。
 まぁ、どれも美味かったからカレーリナの家にいるみんなへのお土産にしてもいいし旅の途中で食ってもいいしってことで、俺も大量購入したから文句は言えないけどね。
 そんな寄り道をしつつ孤児院に到着。
「こんちは~」
 挨拶をして敷地の中へ入ると、既に顔見知りとなっている俺を子どもたちがすぐに院長先生の下へと案内してくれた。
「ムコーダさん、お待ちしておりました」
 院長先生がにこやかに迎えてくれた。
「お願いしておいたパンは出来てますか?」
「はい、もちろんです。ムコーダさんのご注文ということで、みんなで朝から張り切ってパンを焼きましたよ。こちらです」
 案内された作業台の上には、いい感じに焼きあがったコッペパンが並べられていた。
「おお、たくさんありますね。ありがたい。それじゃ、これ全部いただいていきますね」
 肉ダンジョン祭りのときに注文した分よりも多いくらいだな。
 コッペパンをアイテムボックスにしまうと、昨日のうちに用意しておいた麻袋を取り出した。
「よっと。それじゃこれ、代金です」
 院長先生の前へと麻袋をドスンと置いた。
 中身はきっかり金貨200枚入っている。
 いかにも重そうな麻袋を見て困惑気味の院長先生。
「ええと、パンの代金とあとは俺の気持ちです」
 院長先生が麻袋の中を覗いて目を見開いた。
「ムコーダさん、これは…………」
「ここの孤児院も大分古くなっておられるようなので、建て替えの足しにでもしてください」
「大変ありがたいお話ですが、それにしても多すぎます。この院を建て替えしても余るほどですよ」
 あれ、そうなの?
 こんくらいあれば少しは足しになるかなと思ったんだけど、多すぎたか。
 でもさ……。
「余ったら、子どもたちのために使ってください」
「しかし……」
「この街では楽しい思いさせてもらいましたし、ここの子どもたちにもいろいろと手伝ってもらいましたからね。俺の気持ちですから。俺も一応Sランクの冒険者ですから、これくらい大丈夫ですよ。遠慮なく使ってください」
「ムコーダさん……。ありがとうございます。大切に使わせていただきます」
「それじゃ、もうそろそろ帰ります。……そうだ、メイナードとエンゾが2人で屋台を始めるみたいですけど、予算が足りないようだったら少しだけ協力してやってください。それと「来年もこの街に来るから精進しておけよ」って伝えてください」
 俺がそう言うと、笑みを浮かべた院長先生から「2人にしっかりと伝えておきます」と返ってきた。
 フェルたちを連れ孤児院を出るときには、院長先生はじめシスター全員が俺に向かって祈るように手を合わせて頭を傾けていた。
 深い感謝の念が伝わってきて、偽善って言われるかもしれないけど寄付ってのも悪くはないなと思った。
 ま、それも自分に余裕があるときだからだけどね。
『よし、終わったな。屋台巡りをするぞ』
「え? そんな話なかったよね」
「明日にはこの街を出るのだろう? 最後の食べ納めだ」
『お、いいなそれ!』
『ヤッター! お肉~!』
『よし、行くぞ!』
 フェルのその掛け声とともに先走る食いしん坊トリオ。
「ああ、待てよー! 金がないと食えないんだから俺を置いていくなってばー!」
 俺は急いで屋台が並ぶ通りに向かって小走りに向かうフェルたちのあとを追った。
 結局この日は、この街の屋台の食べ納めだとフェルもドラちゃんもスイも居並ぶ屋台を食い尽くす勢いで食いまくった。
 俺としてはみんなの夕飯を作らなくて済んだのでラッキーだったけどね。
 それに、またあれこれと屋台の品を大量購入させてもらってお土産も増えて俺も大満足だった。




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