表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢RTA(リアルタイムアタック)~断罪イベントまで残り10分ですが、最短ルートで国外追放されてみせますわ!~  作者: 高橋 淳


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/4

第1話 記憶復帰RTA開始ですわ!

10話完結、全て予約投稿済みです‼️

毎日投稿になりますので、ブックマーク登録していただけると続きから読みやすいかと思います

初日の今日のみ、夜7:30頃に2話目を予約投稿しています

王城大広間は、むせ返るほど華やかだった。


天井から吊るされた巨大なシャンデリア。

磨き抜かれた大理石の床。

楽団が奏でる優雅なワルツ。

そして、色とりどりのドレスに身を包んだ貴族たち。


—乙女ゲーム『聖ラフィリア学園恋愛譚』終盤—


卒業記念パーティー。


ここで全ルート共通の一大イベントが発生する。


すなわち。


「エルーゼ・フォン・アルヴィア」


王太子レオニスの低い声が、広間に響いた。

その瞬間だった。


公爵令嬢エルーゼの脳内で、何かが弾け飛んだ。


視界がノイズ混じりに歪む。


知らないはずの景色。

見覚えのあるUI。

走馬灯のように流れ込んでくる記憶。


(……あっ)


 そして彼女は、すべてを思い出した。


(わたくし、転生しておりますわ!!!!)


前世。日本。二十三歳。

職業—RTA走者。


ゲームを最速でクリアすることに人生を捧げ、睡眠時間を削り、バグと乱数とフレーム単位の最適化に魂を売った女。


その彼女が今いるのは、かつて一度はやろうと決めたものの後回しにしていた乙女ゲームの世界だった。


『聖ラフィリア学園恋愛譚』


通称・ラフィ恋。

攻略対象との恋愛を楽しむ王道乙女ゲームである。


そして自分は。

主人公に嫉妬し嫌がらせを繰り返した挙げ句、最後に断罪される悪役令嬢。


 エルーゼ・フォン・アルヴィア。


(最悪ですわね)


しかもタイミングが悪い。

悪すぎる。


なぜなら現在。

断罪イベント直前だからだ。


脳内で、無機質なタイマー音が鳴った。


《断罪イベント開始まで 残り10:00》


「…………」


エルーゼは扇子で口元を隠した。

冷静に状況を整理する。


このゲームにおける悪役令嬢ルートは、大きく分けて三つ。


一つ。

処刑エンド。

論外。


二つ。

投獄エンド。長い、暗い、自由がない。

しかもイベントスキップ不可。

精神的拘束時間が長すぎる。


(クソチャートですわ)


三つ。

国外追放エンド。国外へ送還されるが、命は助かる。


さらに一部設定資料集によると、追放先は気候温暖・海産物豊富・税率低め。


(これですわね)


エルーゼの瞳が鋭くなる。


RTA走者としての本能が告げていた。最適解。

最速。最短。


目指すべきは—国外追放。

問題は条件だ。


国外追放ルートには、「反省の意思なし」「貴族としての品位欠如」「社交界での大規模失態」など、複数のフラグが必要になる。


通常プレイでは意外と難しい。中途半端に泣いたり謝ったりすると、投獄送りになる。


つまり重要なのは。短時間で最大効率のヘイトを稼ぐこと。


(チャート構築開始ですわ)


エルーゼは高速で思考する。

現在位置、人物配置、イベント進行。


主人公セシリアは王太子の隣。

攻略対象たちも勢揃い。


完璧な断罪布陣。


残り時間—8分43秒。


「エルーゼ。君の行いについて、話がある」


王太子レオニスが厳かに口を開く。


来た。

断罪イベント開始。


本来ならここで、悪役令嬢は見苦しい言い訳を並べ立てる。


しかし。

エルーゼは違った。


(前置き、長いですわね)


RTA走者にとって、長尺イベントは敵である。

ムービーは飛ばしたい。

会話も最適化したい。


彼女は一歩前へ出た。


ドレスの裾が翻る。

広間中の視線が集まる。


そして。


「前置きが長いですわ」


「…………は?」


王太子が固まった。

貴族たちもざわめく。


だがエルーゼは止まらない。


「断罪パートへ進行してくださいまし。こちらも予定がありますの」


静寂。

楽団の演奏すら止まった。

空気が凍る。


主人公セシリアが「えっ」と小さく声を漏らした。

攻略対象の騎士団長子息はワインを吹きかけている。


王太子レオニスは理解不能なものを見る顔になった。


「……エルーゼ。君は、自分が何を言っているのか理解しているのか?」


「もちろんですわ」


エルーゼは優雅に一礼した。

そして、にっこり微笑む。


「わたくし、本日をもちまして悪役令嬢を引退いたしますの」


脳内タイマー。


《国外追放RTA 開始》



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ