5歳になりました 5
陛下との謁見の日になりました。
私はいつも以上に着飾られ、王宮に向かっています。ふわふわの水色のドレスに、ハーフアップの編み込みをして白いバラの髪飾りをつけています。今日はお父様が一緒にきてくれているので、初めての王宮だけどお父様がいれば安心だね!
「着いたな、さぁセリーヌ一緒に行こう。決して知らない人にはついて行ってはいけないよ!!私の側を決して離れないように!!」
「もう、お父様心配しすぎですよ〜!もう10回くらい聞きましたよ」
「そうか、すまない。とにかく私から離れないように」
「はい、わかりました」
私はお父様にエスコートされて馬車を降りる。改めて見ると大きいな〜!公爵家のお城も広いと思ったけど、建物的には倍ぐらいあるんじゃないかな?しかも離宮みたいなのも遠くに見えるし…敷地もめちゃくちゃ広そう…迷子になったら大変だから気をつけよう!
王宮には騎士の皆さんがたくさんいるなぁ…公爵家も多いけど、王宮は規模も大きいから大変だろうな〜。思わず王宮の入り口にいる騎士さんを見つめる。
「お仕事お疲れ様です。頑張ってくださいね」
ニッコリ笑ってねぎらいの言葉をかけると、騎士さんは驚いて固まってしまった。あ、仕事中話しかけちゃダメだったか…公爵家でも以前はそうだったもんね。
「ごめんなさい、お仕事の邪魔をしました。では、また」
私は騎士さんに手を振ってお父様と進んでいく。お父様は諦めたような表情をしていたけど公爵家みたいに気安く声をかけちゃダメってことかな。私はあんまり話さないようにして、廊下ですれ違う人に挨拶をするだけにとどめた。だけどされた方はものすごく驚いた顔をしていた…え?挨拶もダメなの?でも、前世も挨拶は基本だったから挨拶するのが当たり前の私としては無視して通り過ぎるのはちょっとできないいんだよね〜…。あ、お父様が額に手を置いて頭を抱えている…お父様、なんかすみません…。
しばらく歩くと重厚な扉の前に着きました。ノックをして部屋の中に入ります。中には陛下と秘書のエミールさんがいた。私達がやってきたのは謁見用の大広間ではなく、陛下の私用で使うティールームでした。よかった仰々しい感じじゃなくて。中には香り豊かな紅茶とケーキがテーブルいっぱいに用意されていました。
「陛下、こんにちは!今日はお招きいただきありがとうございます」
「セリーヌ、よくきたね。今日は個人的なティータイムだから気楽にしなさい」
「はい、ありがとうございます」
「好きなものをとって食べなさい。残ったものはお土産に持って帰って構わないよ」
「え!本当ですか?!嬉しいです!では…私はこのレモンケーキをいただきます!」
「へぇ〜セリーヌはレモンが好きなのか」
「あ、えっとなんでも好きですが一番はいちごが好きです…」
「なら、遠慮しないで食べなさい」
「あ、いえ、あの…苺はみんな大好きなので、残しておこうかと…。アレクシお兄様とフィルマンお兄様、それにテオも好きなので…」
テーブルにある苺を使ったケーキは5個だから、陛下とお父様が選んだらみんなの分が無くなっちゃうと思ったんだよね。
「はははっ、そういうことか。大丈夫だよ、お代わりもあるから気にしないで一番好きなものを食べなさい」
「すみません…ありがとうございます…」
もぐもぐ…うわぁ〜美味しい〜!!苺の酸味と生クリームの相性が抜群だね!!甘さも甘すぎなくて何個でも食べれる感じ!!私が食べながら感動に浸っている様子を陛下はニコニコと眺めている。見られてるとちょっと緊張するかと思ったけどその表情がお父様達が私を眺める時の表情と同じだったから次第に気にならなくなった。
「セリーヌは本当にいい子だね」
「当たり前だ、私の娘だぞ」
「いや、お前のことを考えると尚更信じられない…どうしてこんな腹黒から天使が産まれるのか…」
「何か言ったか?」
「…なんでもないよ。独り言だ…。そうだ、セリーヌ。天の使いであることは秘密にしてほしいと言うことだったから正式に緘口令をひいておいたよ。王宮や教会の者が君のことを勝手に話すことはできない。だから安心してこの国に居てほしい」
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「いやいや、もしもの時はこちらも頼りにするから気にしないでくれ」
「おい、子どもに何言ってんだ。自分の国は自分でなんとかしろ」
「もちろん、そうならないように頑張るよ。ヒューゴと一緒にね」
お父様の睨みにも怯まず陛下は飄々としている。幼馴染らしいから気心がしれた間柄なのかな?
「そうそう、セリーヌもそろそろお茶会デビューするのはどうかな?」
「お茶会ですか?」
「そう、実は私の親しい人々を集めてお茶会をする予定なんだ。よかったら来てほしい。君と同年代の子どももたくさんくるよ!」
「わぁ〜!!子どもがたくさんなんですか!!楽しそう!!」
「おい、貴様何を企んでいる?」
「人聞きの悪い言い方しないでよ。同年代の子と親睦を深めるいい機会だと思っただけだよ…私の息子もいるしね」
「貴様っ!!!」
「そうそう、前に聞いた歌はとても素晴らしかったからぜひ会場で歌ってほしいな!みんな喜ぶよ!!」
「えぇ?!いえ、私は歌手じゃないのでプロの方に頼んだ方が良いかと…」
「いや、是非お願いしたいからよろしくね!はい、これ招待状」
うぉ〜…招待状を思わず受け取ってしまった。う〜ん、前世でも職場の宴会で出し物したり芸を披露したりしてたから慣れてはいるんだけどね〜。
「…ありがとうございます」
お父様は反対しようと声を上げようとしたところで陛下に何か耳打ちされて、小声で何やら会話をしている。
「コホン…セリーヌ、いい機会だから一緒にお茶会にいこう。もちろん我々家族も一緒だから安心しなさい」
「え?いいんですか?」
お父様は過保護だから絶対反対すると思ったけど…怪しい…何を言われたんだろう…。まぁ、同年代の子ども達と遊べるいい機会だから楽しもう!ちょっと無茶振りはあるけど数々の宴会を盛り上げてきた私ならできるはず!!
こうして、王宮でのお茶会がきまったのでした。




