ルナリード冒険者ギルド2
「ええっと……ああ、いた。
ブリジットさん!」
ルナリード冒険者ギルドで受付嬢をしている女性NPCブリジットに、アワツキが気安い感じで話し掛ける。
「あら、アワツキさん、こんにちは。
もう新しい依頼を受けにいらしたんですか?」
アワツキはこの冒険者ギルドの意匠が施された骨のネックレスをしている。
それは、このギルドに所属して、骨器の冒険者として働いている証だ。
「あ、いえ、そうじゃなくてですね……」
「あ、それじゃあ先を見越して、魔物の解体を、ついに覚える気になられたとか?」
「いやぁ、さすがにそれは……」
終始、受付嬢のペースに翻弄されるアワツキに業を煮やしたザビーが、後ろから割って入る。
カービンとハイロはいないので、どうやら二手に分かれているのかもしれない。
「なあ、ルイン先生に詳しいってのは、あんたか?」
「あ、お知り合いのプレイヤーさんですか?」
ブリジットはアワツキに確認する。
「ええ、実は……」
ようやくアワツキは本題に入れると経緯を話し始める。
「金の手の退治をルインさんにお願いしたくて、お話したんですが、外に出られないと言われまして……」
「ああ、それは無理、でしょうね……」
ブリジットは諦めに似た嘆息と共に言葉を零した。
「あの、ルインさんは何故、ああなってしまったんでしょうか?」
「何か知ってるなら教えてくれないか。
あの人に世話になったんだ、なんとかできるなら、俺たちにできることをしてやりてぇんだ」
ザビーは恩返しの気持ちが強いようだった。
ブリジットは少しの間を置いて、それから立ち上がった。
「……そうですね。ここで話すことでもないですから、移動しましょうか」
受付の仕事を他の職員に任せて、ブリジットはアワツキとザビーを応接室へと案内する。
貴族が使うような豪華な応接室だ。
おそらく貴族の依頼を承るような部屋なのだろう。
飾りは成金趣味丸出しとでも言いたくなるような、剥製やアンティークなどが所狭しと飾られている。
おそらくは、ギルドに依頼すれば、これらが手に入りますよと喧伝するためだろう。
そして、貴族用の応接室ということは、情報が洩れないような処置がしてあると考えていいのだろう。
全員分のお茶を並べて、少し口を湿らせてから、ようやくブリジットは口を開いた。
「……ルインさんは将来を嘱望された金器の冒険者でした。いえ、今も金器の冒険者であることに変わりはありませんが……」
「金器って、特別枠以外で言うと最高レベルの冒険者ですよね?」
「そうなのか?」
「ええ。私からすると、石、青銅、鉄、銀、金で五ランク上になります」
冒険者ギルドに詳しくないザビーのためにアワツキが軽く補足を入れた。
「ええ、彼が腰に差している短剣。
あれが金器です」
「あのボロボロ……」
「新しい物は渡してあるんですが、やはり使ってはいないようですね」
「何かいわれでもあるんですか?」
「いわれではなく、囚われている過去、ですかね……」
「囚われている過去?」
「ええ、彼には四人の仲間がいました……。
頑健なる者デスト、槍奏者ペリス、大地の慈愛フォル、最強フィニ……」
そうして、過去の扉は開かれるのだった。




