77.決意の夜会4
ヒロインがドレスでおもいっきり走ってる…………転けないといいけど。。
グレイ様の側まで行くと案の定転けそうになって危ない!!と思った瞬間グレイ様が受け止めるかと思ったが受け止めずヒロインが床に転けてしまった。
…………………………えっ?
グレイ様が冷たい目でヒロインを見ている。
噂からもっと親密な感じだと思ってたけど全然思ってたのと違うな………………。
「いったぁぁぁい。グレイセドさまぁ~起こしてくださ~い。」
手を伸ばしてグレイ様に甘ーーーーい声で求めている。
「カヴァル令嬢、大丈夫ですか?あまり走らない方がいいですよ。おい、そこのご令嬢を起こしてあげてください。」
近くにいた警備の人に声かけて起こすように指示するグレイ様はにっこりと表情はしているものの、声が凍りつくように冷たい。
「もぉ~グレイセド様は冷たいですね~。そんなところも良いんですが~。」
ヒッヒロインは強いですね!!
あんなに冷たくされたのに全然堪えてない感じです!!
普通だったらあんな冷たい目で見られるとなにもできなくやりますよーーーヒロイン強し!!
「今日は皆さんにとって素敵な夜会になりますよう楽しんでいってください。」
笑顔でご令嬢達に伝えるとクリスお兄様と一緒にご令嬢達から離れて行った。
ヒロインはそんなグレイ様を見て一瞬にやりとしていた気がしたけど…………気のせいだよね……………。
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――
はぁぁぁ。せっかくグレイセド様の瞳と髪色に合わせたのに何も言ってくれなかったわ。
あれだけ派手に転けたのに助けてくれたのは警備してる人なんて痛い思いしたのに意味なかったじゃない。
でも、今日は必ずグレイセド様をものにするわ。
今日は素敵な夜会にしましょうね、グレイセド様。
ふふ。グレイセド様を味わうそれまで、せっかく王宮の夜会に来たんだから~他の方を引っ掻けるのも悪くないわね。
ん~誰にしようかなぁ~。
周りを見渡すとみんな私と目を合わせようとしない。
チラチラと見てくる人もいるけど~女遊びが激しいと有名な令息ばっかり…………どうしようかな。
あっ、悪役令嬢みーつけた!
なになになにーーー!?
私は一人で来たのに、サムウィルにカシリス様とあいつまでいっしょになっちゃって。
確か、今は悪役令嬢の婚約者候補だよね~。
さすが、公爵令嬢だけあって人選いいわね。
あいつ嫌いだけど顔はいいんだよねー。
「ごきげんよう。リーゼ・ウォレット様。あのとき以来ですわね。ふふふ。」
「…………ごきげんよう、カヴァル令嬢。」
ビクビクしながら悪役令嬢は返事をしてるわね。
やめてよ、なにもしてないのに私がなにか悪いみたいじゃない。
「サムウィルにカシリス様もお久しぶりですわ。」
「「…………。」」
はぁ?二人とも無言に無表情ってどういうこと??
ヒロインである私が話をかけてあげてるって言うのに。
まっ、いいわ。今日はグレイセド様のために体力はとっておかないとね。
「リーゼ、向こうで少し休憩しよう。」
「…………あら?お久しぶりですわね。挨拶もなしに行っちゃうだなんて寂しいじゃないですか。」
「はっ?俺はカヴァル令嬢と会ったことありませんよ。噂はよく聞いてましたが………。」
この男しらを切るのね。
そうはさせないんだから。
「ふふふ。そんなに睨まないでよ。だいたい何を言ってるんですか?あんなに楽しかったじゃないですか。」
サムウィルもカシリス様も悪役令嬢も目を見開いて固まっている。
「誰かと勘違いをしてるみたいですね。俺は今まで一度もお前なんかと会ったことはない。俺に喋りかけるな。」
はぁぁぁ??
私と寝たことを棚にあげて……………許さない。許さない!!
冷たい目で見られながら言われた言葉にカッと頭に血がのぼって身体が怒りで震えてきた。
「あんたって最低ね。いい思いさせたんだから忘れたとは言わせないわよ!!」
「何のことだかさっぱりわからないんだが?誰かと勘違いしてないか?ここでやめておいた方が身のためだぞ。」
はぁぁぁ?まだしらを切るきね!!
「私を弄んだのね、ロペト・ハムロ。」
「「「…………。」」」
みんなビックリして声もでないみたいね。
ふふふ。みんなにバラされて焦ってるでしょう。
「あのう~カヴァルご令嬢。この方はカペロ・ハムロ様ですよ?」
はっ??ロペトでしょ!?
悪役令嬢の言葉に目を見開いてロペトを見ると冷ややかな目でこっちを見ていた。
「はぁ…………お前の言ってるのはロペトだよな。あいつは俺の従兄弟だよ。昔から俺と顔が似てるから知らない人から見たらよく間違われるんだ。」