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60.初恋

「お口に合えばいいのですが………美味しくなくても食べてくださいね!…………なんて嘘です。」


可愛い…………遠くから見ることしかできなかったから、リーゼ・ウォレットはこんなに可愛らしく育ったんだな。

あの頃と変わってない純粋な女性だ。

庭に用意されたテーブルにクッキーやお茶が用意されている。


「どうぞ。えーと………。」


クッキーを差し出され受け取りながら


「カペロと呼んでください。」


リーゼ・ウォレットと目がバッチリ合い俺の言葉に微笑んでくれた。

顔が熱くなっていくのがわかるが、目が合うことの方が嬉しくて隠す余裕がない。

どうせ、隠してもクリスやサムウィルにもバレバレだろうな。


「はい、カペロ様。お茶もクッキーとよく合うんですよ。私もリーゼとお呼びください。」


「リーゼありがとう。」


微笑みが天使だった。俺の初恋の君はとてつもない令嬢に育っていた。

クリスは俺のぎこちなさを噛み締めながら笑っている。精神的ダメージが大きくなるからやめてくれ。

いっそのこと爆笑してくれた方がいい。

この俺が…………女性に対してこんなに話せなかった…………いいや見ることすらできないのは初めてだ。

………………………こんな自分を知らなかった。




―――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――

――――――――――



あの後、クリスお兄様とカペロ様とサムウィル様みんなでグレイ様の王宮に行くと言われたので、クッキーを届けてもらうように頼んだ。

渡せないと思ってたから頼めて嬉しいな。

食べてくれるといいんだけど…………噂が私を不安にする。


だってだって…………抱き合ってた?キスしてた??そんな噂になるなんて原因あるよね……………。

何もないところからはこんな噂出てこないでしょ!!

…………………私は会えないのに悲しい。

グレイ様………………私だけが悲しいのかな。。


そういえば、カペロ様ってどこかで見たことあるんだよねー。

何処だったかな…………小さい頃のような気がする………。


トントン。


「リーゼお嬢様、奥様がお呼びです。」


「お母様が!?わかったわ。すぐに行くと伝えて。」


いつもならお構いなしに入ってくるのに今日は呼び出すなんて珍しいな…………何か嫌な予感がする。


「お母様どうされました…………………えっ?」


部屋にはいるとお父様にセディオお兄様もいた。

クリスお兄様以外の家族全員ではないか!!

家族会議じゃないですか!ますます嫌な予感しかしない。


「リィ、そこに座ってちょうだい。」


セディオお兄様の隣に座る。お父様とお母様は向かいに座っていて困った顔をしていた。


「どうしたのですか?」


珍しいお母様の困った顔に戸惑って自分から切り出した。


「それがね~これを見てちょうだい。」


目の前のテーブルに積み重ねられている物を指差してお母様が答える。

なんだろう?1つ手に取り読んでみると……………書類!?ううんこれって………………………私はバッと顔をあげお母様を見る。


「そう、リィの思う通りよ。これはリィに来た婚約者の申込なのよ。」


目の前に積み重ねられてるもの全部??

相当な量がありますよ………………。


「でも…………私グレイ様と婚約してますが!?」


「今、リィとグレイセド様は離れているだろ!?それで周りは婚約破棄じゃないかと噂が出ていてな。リィの婚約者になりたい者達が送りつけてきているんだ。」


セディオお兄様が話をしている間もお父様にお母様は困った顔をしていた。

なんてこった……………婚約破棄騒動がでてるのか。

……………本当にそうならないといいけど。


「リィが心配なんだよぉぉぉ。解決のために離れていると………グレイセド様が婚約破棄しないのはわかってはいるが、周りは事情を知らないからリィに寄ってくる男達が心配なんだぁぁぁ。」


今にも泣き出しそうに瞳をうるうるとさせ私に言ってくるお父様。私のことを思ってくれる素敵なお父様で間違いないですが、残念です、残念な感じなんですよ…………カッコイイのに何故そのように私のことになると震えるウサギみたいになるのでしょう。

いつもの威厳のあるお父様はどうしました!!!!!


「そこでだ。この状態が続くと増えていく一方だから手を打とうと思う。ここでグレイセド様とリィが婚約破棄をしないと流すとせっかくの今までのやっていたことが無駄になる。婚約破棄については言及せず、リィには婚約者候補がいると噂を流すんだ。ただ、一人だと現実的すぎるから二人………もしくは三人がいいだろう。そうすればお父様も心配することはなくるはずだ。」


なるほど………確かにこんなのが毎日送られるのも学園で声かけられるのも嫌ですね。


「わかりました。ん~二人か三人ですよね!?」


「ふふふ。リィが考えそうな候補を選んでるわ。これじゃないかしら?」


お母様が差し出された紙を覗くと書かれていた名前に目を見開いた。


「ふふ。当たりね。このリストはクリスが考えたのよ。クリスが婚約者候補達とグレイセド様に伝えると言ってたわ。」


もう、動き出してるのね。

現状そうするしかないですものね。


「わかりました。」




後に、この婚約者候補の話が広まるまで時間はかからなかった。

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