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52.王宮3

「珍しく苛立ってるじゃないかクリス。」


「当たり前だ。リィに接触してくるとは……カヴァル・シーファやってくれるな。お前だってリィの前では平常心保ってたが苛立ち隠せてないぞ。」


「許すわけないだろ!リィの精神を削るようなことしやがって。…………魔術師は心当たりがあるというよりも泳がせていた奴だ。カヴァル・シーファが魔術師と手を組むことは報告が上がっていたが真っ先に矛先がリィに向けられるとは………俺の落ち度だ。」


お互いにソファーに座っているため上半身だけ目の前のクリスに頭を下げる。鋭い目つきでクリスは俺を見ている…クリスのことだ。さっきの会話からここまでは想像してたに違いない。


「なるほどな。もちろん魔術師は後始末したんだろうな?これからなら俺が動いてもいいが……。」


鋭い目つきに更に殺気までも出し、辺りの空気がビリビリとし居心地の悪いものへと変わっていく。

クリスが半ギレしている。ここまでのクリスは家族…その中でもリィが関わったときにだけ現れる。

昔………一度だけクリスを今みたいに半ギレさせてしまったことがあるが…思い出すだけでも恐ろしい。


「すまない。話を聞いてすぐヴィゴを送り出した。さっきヴィゴからの報告で片付いている。俺に呪いの類いが効くとでも思ってたのか……その魔術師も大したことないな。」


「片付いているならいい。俺が行って跡形もなくしてもよかったんだがな。まぁ、みんなグレイセドが魔法を使えることは知らないからな。」


クリスが言うと本当になるから凄いんだよな。魔法が使えるわけではないのに俺に匹敵………俺以上に強いんじゃないか。

魔法抜きでは間違いなく国内でクリスが一番強いだろう。

しかもリィが絡むと恐ろしいほど力が増量するんだよな。

絶対にクリスからは目をつけられたくない。


「カヴァル・シーファの方はまだ魔術師の末路は知らないだろう。今はまだ動く時じゃないがその時が来たらリィに手を出したこと後悔させてやる。泳がせて男爵も引っくるめて片付けてやる。」


「リィの話からカヴァル・シーファはグレイセドに接触してくるだろう。そしてリィとは接触をたたなければならないな。」


それが一番最悪だ。例えフリだったとしてもリィと離れなければならない。


「はぁぁ。離れないことは可能だが離れなかったら次の手を打ってくるだろう。ここは離れたと見せかけは必要だ。必要だが………………。」


「お前にとってリィと離れるほど辛いことはないな。だが、お前といることでまたリィが単独で狙われる可能性がでてくるなら解決するまで頑張るんだな。」


クスクス笑いながらクリスが俺を見る。

いつもは言い返すが図星だったため何も言えない。


「俺の癒しの時間を奪って……根本から破滅させてやる。」


「お前のことだから大丈夫だとは思うが、カヴァル・シーファが接触してきてもあまり刺激はするなよ。()()()()()()()。」


嫌々ながらこくりと頷いた。

カヴァル・シーファとは直接あったことはない。舞踏会や学園で接近してきたとき以外は見たことがない。

話したこともない相手をここまで憎らしく思えるとは………クリスのこと言えないな。俺もリィのことになると我を忘れてる。絶対にリィを手離したくない。



――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――

―――――――――――――



なんでこんなことになってるの!?

今目の前には国王陛下に王妃様が座って一緒に食事をしている。

えーと…………まだ寝起きで頭が回ってないから状況についていけない。

国王陛下ってなかなか会えるものじゃないよー!

いくらグレイ様のお父様だからって遠くから見たことある!ってくらいで会ったことないからね。


目が覚めて言われるがまま支度してグレイ様とクリスお兄様が迎えに来てくれたけど、国王陛下に王妃様と勢揃いの晩餐は聞いてませんよー!!

とっても緊張するんですが……王妃様には会っていましたが、国王陛下はなかなかお会いすることがなく……グレイ様はどちらかと言うとお母様似ですね。

国王陛下も整った顔立ちだけどグレイ様の方が中性的な顔をしているな。でも、雰囲気は似ているからグレイ様が成長して大人になったら国王陛下みたいな雰囲気になるのかな。


「リーゼ、いつもグレイセドを支えてくれてありがとう。」


「ほんな………。」


ヤバイヤバイヤバイ!!!

優しい口調で国王陛下に声をかけてもらえたのに、口のなかいっぱいに頬張っていたので恥ずかしいことになってしまった。


「はははっ。リーゼは面白い子なんだね。」


「失礼しました。グレイ様にはいつも助けてもらってばかりです。私が逆に支えられてますわ。」


口の中を整えてから仕切り直しに…………もう恥ずかしくて数分前の記憶は無くし王様にお答えした。


「グレイセドは子供の頃から自分の好きなものには執着が激しくてな。リーゼのことを心から愛してるみたいだから覚悟しておくといい。」


「あっ愛…………。」


まさか国王陛下から『愛』何て言葉を聞くとは思わなかった。

国王陛下って堅物なイメージがありますが全然違うーーー。


「リーゼはグレイセドのこと愛してないのかい?」


…………まさかの質問が帰ってきました。

グレイ様のことは好きです。大好きです。あっ…愛してます。

ですがですが、みんなの前でこれを言うんですかぁぁぁぁぁ!?

私にとって羞恥プレイですよー!


「グレイ様のことあっあっあ………愛しております。」


ぎゃぁぁぁぁぁぁ。国王陛下も王妃様もクリスお兄様もグレイ様もみんな温かい目で見ないでください。

もう、恥ずかしいですよ。

愛してるなんて、みんなの前で言うのは恥ずかしくて恥ずかしくて穴に入りたいです。

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