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34. 転生者

「もう、なんなのよ。あの悪役令嬢がグレイセドにぴったりで出会いのイベントでもよくわからないことになるし…………他のクリス様にサムウィル様にカシリス様、リファエル様……みんな完全スルーされてなかなか好感度が上がらないしもう最悪。」


「また、お前が言ってたゲーム小説の話か。」


「そうだって何度もいってるじゃない。はぁ~ヒロインは私なのに全然うまくいかない。舞踏会のことだってせっかくドレスまでグレイセドの色にしたのに上手くいかず………みんな役立たずなんだから。」


「………お前のせいで面倒なことになったがしかし…お前がヒロインか、純情でもないのにな。」


くすくす笑いながらヒロインを見ると顔を真っ赤にしてこっちを睨んできた。


「あんたなんか親の力で偉そうにしてるだけじゃない。」


「その力を借りたくて俺を誘ったくせによく言うよな。お前の性格じゃ相手にされないだろ。滲み出てるもんな、悪いオーラが。」


「ふざけんじゃないわよ。あんたにはおいしい思いさせたでしょ。」


「はっ。お前なんかを相手しなくても俺はたりてるんでね。他の連中とも関係持ってるお前なんかこっちから願い下げだ。」


そう言ってベッドから出て支度をすませ、振り返りくすりと笑いながら伝えた。


「なっ…………………。私はヒロインよ。最後は必ずハッピーエンドなんだから。」


「誰にも振り向いてもらえないヒロインやってろよ。もう連絡してくるなよ。お前といるとこっちまで目をつけられるからな。じゃあな。」


何か叫んでたが振り向きもせずドアを閉めた。あんな女どうだっていいんだよ。

舞踏会の件も俺の知らないところで動いたあげく、家の関係者(ハムロ侯爵家)を使いやがってバカな女だ。

捕まってるあいつらは俺が始末したいくらいだ。特にあいつはリーゼ・ウォレットに触り口説いた…………始末したい。

あの時は本当にあの女をどうしようかと思ったが……時が来れば結果は同じだろう。


ゲームだの小説のヒロインだからが口癖の頭のいかれた女と誰が真剣に恋愛するかよ。

攻略対象に悪役令嬢か………ヒロインじゃなくてあいつが悪役令嬢みたいだよな。

それに………悪役令嬢がリーゼ・ウォレットはあり得ないだろ。どうみてもヒロインだ。

入学式に近づいてきた時、男爵の娘がうちの力を利用したいのはわかったんだがあの時は………目の当たりにしてむしゃくしゃしてたんだよな。

………俺が唯一心がときめく女性。

一目惚れだったんだ…手が届かないのはわかっているが忘れられない。

誰にも言えない恋を俺がすることになるとは…………。

これから先もこの気持ちを越える相手には出逢えないだろう。



―――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――

――――――――


「グレイ様、…………重くありませんか?」


今日は学園は休日ですが、今私はグレイ様のお膝に座り一緒に本を読んでいます。


「重くないよむしろ軽くてきちんと食べてるか心配になるな。」


にっこりと笑顔で言われ後ろから抱きしめられていた腕がさらにぎゅっと強くなる。

グレイ様は舞踏会のあの日からずっとおかしい。私といるときは離れようとしない。

嬉しいけど………………心臓に悪いんです。

何度だって抱きしめられると『ぎゃーーーーー』と心のなかで叫んじゃうくらいきゅんきゅんです!!慣れません!


あの日の帰りは…………………………………………………馬車の中でもお姫様抱っこ状態でした。

私も色々あってグレイ様に抱きついて首元の匂いを嗅いでいた変態でしたね。


「グレイ様、助けてくれてありがとう。」


「もっと早く気づいていればあいつがリィに触ることなかったんだが…………。」


「いいえ、手だけですから体を触られたわけではないですから………大丈夫ですよ。」


グレイ様安心してくださいと思いながら微笑んだが悔しそうな顔をして私の手を握る。


「握られたのはこっちだよな?」


「はい。」


「消毒しとかないとな。」


私の手にグレイ様の長い指を絡めてきた。

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!ちょっ……………ぐっグレイ様!?

私の指をなぞったり擦ったり………………グレイ様ヤバイです!

私がヤバイです!!もんもんとしてしまいます!!


「感触も消したい。」


そういうと、私の指を舐めだした!!

…………………………………………思考回路が飛びます!

グレイ様の整った唇が私の指を舐めてるーーーーーー!


「きっ……………汚いですよ………………。」


「リィに汚いところはないよ。」


いやいやいや、そんなはずないじゃないですかーーー!

そんな丁寧に舐めなくていいからーーー。

私もグレイ様の指舐めちゃいますよ!私を変態にしたのはグレイ様です。


「はい、終わり。綺麗に消毒できたかな!?」


グレイ様…………完璧です。もう感触はグレイ様のものしか残ってません。

私は真っ赤になっている顔で自分の舐められた指をジーーーと見つめる。

これ、もったいない洗わずにとっておこうか………………と思っていたとき、


「リィ変なこと考えないで、きちんと手洗いはすること。」


いやぁぁぁぁ!恥ずかしいことバレてる?!変態と思われる!

いや…………もう思われてるのかもしれない。

心を読まれたことに目を見開いてグレイ様を見た。


「心は読んでないよ、顔にかいてあるからな。リィいつでもしてあげるからきちんと洗うんだよ。」


「……………………………………はい。」


後に洗っても指の感触は残っていて、自分の手を見るたびにグレイ様の最後に言われた言葉と感触が甦り、一人で真っ赤な顔でにやにやしながら部屋中を歩き回っていたことは私だけの秘密である。

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