教会にお姉様がやって来た
「そう…。舞踏会に行きたいのですね。分かりました。それでは神父様に私から報告をしておきますね」
「ユリナさん、本当にありがとうございます。感謝致します」
「カナリアさん、そんなに私にお礼をしなくてもいいですよ」
「ううん。ユリナさんは私のことをとても考えてくれているし、それに私、本当に踊ることが大好きだから」
そう言って私の得意のダンスをユリナさんに何度も披露すると、こんなお言葉をいただきました。私は踊りの天才だと。びっくりです。まさか、私が踊りで天才だなんて言われるとは思いもよらなかったですし、想定もしていなかったことです。
単に私は踊りが好きで踊っているだけなのに。それからというものの、私はユリナさんと距離がだんだん縮まっていき、親密な仲になりました。そして三日後のことです。神父様からお呼び出しが……。
いったい、何のご要件なのでしょうか?
「カナリアちゃん、お姉様のアンジェリアが来ているよ」
えっ!? お姉様!?
すると、本当にお姉様がいました。金色の瞳に、茶色の長いストレートの髪、そして大型の金色の星マークを頭帽に付けていて、黄金色の聖女らしさのある服を着ておりました。お姉様はひと目見て、私だとすぐに気が付きました。
「カナリア!」
「お姉様!」
私達は抱き合いました。すると、お姉様はすぐに真顔になりました。
「どうして、お姉様が此処に」
「神父様からのお手紙でこの教会にいることを知ってすぐに駆け付けて来たわ。それよりカナリア! どうしたの!? その頬の傷、それに歯も欠けてる……。可愛そう。何があったのか、私に教えて?」
「そ、それは……」
「言えないの?」
「ううん」
「じゃあ、言って。お姉ちゃんはカナリアの味方だから」
「実はね、お父様、お母様から傷つけられたの」
「お父様、お母様から…」
「うん。私の能力スキルが踊りだったから。お父様からおもいっきり蹴りをくらって歯が何本も折れたわ」
「くっ…あいつら…絶対に許せない!!」
お姉様の声が教会全体に響いたわ。私も驚いた。こんなにお姉様が怒るだなんて思いもよらなかったから。
「お、お姉様…」
「あっ、ごめん。カナリア、つい、私、怒っちゃって。でもね、私の大事な妹であるカナリアをこんな目に合わせたあいつらが絶対に、私、許せないから」
「お、お姉様はお父様、お母様のこと、嫌い?」
「うん。嫌いだよ」
「な、何で、だって本当のお父様、お母様だよ。どうして嫌いになれるの?」
「あいつら、本当は私の能力ばかりに拘り、あなたの心には真剣に向き合わなかった。だけど、そんなお父様、お母様を変えてしまったのは、こんな能力を持ってしまった私の責任…。だからカナリア、こんな私を許して…。もし私がこんな治癒魔法の能力を持ってなかったら、あなたにこんな辛い目に遭わさずにすんだから」
「お姉様…」
「あなたを苦しませてしまった。本当は私はあなたの姉としての資格なんか何もなくて」
「そんなことない! お姉様は私の立派なお姉様です。だから誇りを持って!!」
「カナリア、ありがとう」
「お姉様、大好き!」
お姉様は私を精いっぱい抱きしめると、私もお姉様を精いっぱい抱きしめました。
「っということは、あの夫婦は将来有望なその娘を今まで虐げていたということか?」
私達のお話に神父様が割って入ってきました。
「はい」
お姉様が答えました。
「ユリナから聞いているが、舞踏会に行きたいのだな、カナリア君? もし玉の輿に乗れたらあいつら夫婦はこの国には居れん。最悪、国外追放が待っているかも知れんな。まぁ自業自得だが…。一応、招待状も貰っておかないといかん。マリス一族の次女と言ったらいいのだな」
「あ、あの…神父様」
「うん?」
「私、お父様とお母様を国外追放したくて、舞踏会に行きたいのではありません。私、踊りを楽しみたいだけです。後のことはどうでもいいのです」
「分かっておる。カナリアちゃん。しっかりと舞踏会を楽しんでくるのだよ」
「はい! 神父様、ありがとうございます」
「カナリア、そんな傷で舞踏会に行くのは相応しくないわ」
パァァァー。
お姉様が治癒魔法を使って、私の頬に出来ていた傷を治してくれました。
「お姉様、ありがとう」
「姉として、当然のことをしたまでよ。それより、舞踏会、頑張ってね」
「はい!!」
こうして私は、舞踏会に行く日を楽しみに万全な準備をしました。そうして舞踏会を迎えた当日のこと…。
ゆっくりと更新していきます。よろしくお願い致します。




