ユイの独白 生きるための決意
しばらくして圭とアカネさんは戻ってきました。その時にはもう全てが片付いていたのでした。そして圭は平然と、世が明けたら自首すると言いました。
「そんな・・・。何でなの?今更だし、私のせいだけどさ・・・もっと他の方法あったんじゃないの?」
私は耐えきれず圭を責めると、圭は優しい眼でゆっくりと話し始めました。
「ユイ・・・俺な。どうせもうすぐ、ここにはいられなくなると思う」
「・・どういうこと?」
「・・・見てはいけないものを見てしまったから」
「・・・なに?」
「お前は知らなくて、いや、知ったらいけない。・・・この世界で俺が普通に生きていくことは恐らくもう出来ない。今まで俺は母さんのことも・・・・。いや。とにかく。お前の近くにいてやることは出来ない。だから・・・。もし今日温田がお前を襲わなかったとしても、俺はあいつを殺していた・・・。お前がやり直して、安心して生きていけるように」
私は、溢れてきた涙を止めることが出来ませんでした。アカネさんは口を挟まず黙って見守っていました。
「どうして?ずっと一緒に居たわけでもないし・・・どうしてこんなに私を?私は支えられてしかない・・・」
「俺が生きてこられたのはお前のおかげだから。子どものころ、どうしようもない生活で、いじめられて・・・それでもお前がいるから生きられた・・・。母さんが再婚してどうしようも無くなった時も、死んだときも、お前を思い出した。俺にとってお前は誰にも代えられない・・・。支えられていたのは俺なんだ・・・・。だから、今の状況でお前を助けるにはこうするしかなかったんだ・・・。」
圭はそう話して深くため息をつきました。私は圭の話を聞いて自分の人生を振り返っていました。そうすると確かに、子どもの頃、苦しい時はいつも傍に圭がいたことを改めて思い出しました。私たちが黙ると、アカネさんが現実的な話を始めました。今の所大丈夫だとは思うがとにかく今の私たちには危険が付きまとうこと、明日以降は今日のことは必要最低限以上は絶対に公言しないこと・・・そして。
「ユイちゃんは、圭の気持ちを忘れないこと、だから今日のことは何も知らない・・・。いいね」
「・・・はい」
アカネさんと約束して、私たちは静かに最後の夜を過ごしました。そして朝が来て、約束通り圭は自首するために警察に向かいました。




