ランク上げ
まずはダンジョンの場所を聞く為に攻略者専用の受付へ向かいます。
「ダンジョンの場所を教えてください」
「こちらがダンジョンの見取り図になります」
街の中と町周辺にあるダンジョンの場所を示した地図をもらいます。
「新しく攻略者となった方ですよね。よろしければ攻略者ランクの上げ方を教えますが」
「お願いします」
「はい。それぞれのダンジョンには攻略するための条件があります。例えばBランク以上ならば攻略者ランクをBまで上げないと入れません。ダンジョン自体から弾かれます。
ランクの上げ方ですが自分と同等のランクもしくは自分以上のランクのダンジョンをクリアすればそのダンジョンと同じランクに上がります」
ならば僕は今入れる制限までのランクのダンジョンを片っ端からクリアすればいいですね。Fランク攻略者が入れるのはどうやらFランクのダンジョンだけのようです。
「ありがとうございました」
まずはFランクダンジョン初心者の洞窟へ向かいます。道すがら街並みを見ます。案内されている時には気にもとめませんでしたがここは活気にあふれた街です。どの人も充実感に満ち溢れいい笑顔をしています。ダンジョンのおかげでしょうか。
ダンジョンに攻略者が潜り素材やアイテムを持ち帰る。その物資を加工、販売する。それを人々が買い攻略者が買い喜びさらなる高みへ登る。そうしてこの世界は回っているのでしょう。
さてここが初心者の洞窟ですね。町外れに佇むこの洞窟です。早速入りましょう。
どこか試験の時の洞窟と似ています。岩肌が多く違いといえば苔が生えていることぐらいです。あまり楽しめそうもありません僕は洞窟内を把握します。下へ続く階段を見つけました。どうやらこのダンジョンは二階層のようです。中には人がかなりいます。
僕は階段前へ転移します。そこには髭面の男とヒョロヒョロの男と小さなどんぐりのような体型をした男がいました。急に現れた僕に驚いているようでしたが、先に行ってもいいと言ってくれます。僕は階段を降りました。
階段を降りた先のドアを開くとそこには粘液の塊のようなモンスターがいます。どうやらスライムのようです。ただその大きさは全長10メートルは超えていそうです。それにその体からは小さなスライムがどんどん生まれています。
僕はその巨体を殴ります。その巨体に衝撃が伝わり弾け飛びました。それで終わりかと思われましたが、飛び散ったスライムの欠片からスライムが生まれます。
「これはキリがないですね」
体についたスライムを振り払い一斉に倒す目処をつけます。失敗すればこのダンジョンが使えなくなりますが別にいいでしょう。
腕を軽く振りました。その瞬間洞窟内を埋め尽くすような爆炎が広がります。青い炎がスライムを焼き尽くしました。どうやらうまく調整できたようです。以前のように世界が壊れることもありません。おやスライムから何かドロップしたようです。
水色の玉のような物を拾います。さて次に行きましょう。
その時、階段のそばにいた三人の男が降りて来ました。降りてくるのはわかっていましたが何をしに来たのでしょう?
「どうやら終わったようだな。持ちもん全部よこせ。命は助けてやるからよ」
「ひひっ。よこせ」
「スライムコアだな。高く売れるだな」
どうやら僕の持ち物と、ボスのドロップアイテムを狙っているようですね。
「これは何ですか?」
僕はボスのドロップアイテムを掲げて言います。
「それは使えばスライムを召喚して使役出来るだな。スライム好きに高く売れるだな」
「そうですかなら使います。」
「くそっ使われたら売れねぇだろうが!」
水色の光を放ちながら玉から粘液が溢れて来ます。どうやら魔力を使うようです。少し減った感覚があります。光が消えると僕の前には水色の体を震わせる通常サイズのスライムがいました。
「殺せっ!召喚されたスライムを殺せば少しだがドロップするらしい!」
「ひひっ!お嬢ちゃん、死んだら楽しませてもらう。ひひっ」
僕はスライムに倒すよう命令して次のダンジョンへ転移しました。
◇◆◇◆◇
「くそっあいつどこに行きやがった!これでドロップしなかったら金にならねぇ!」
「ひひっ。残念。ひひっ」
「とりあえずスライム殺すだな」
僕、スライム。ご主人様に召喚された。あいつら倒すよう言われた。ちっちゃいやつハンマー振り下ろしてくる。こんなの揺れるだけ。
「あれ?潰れないだな」
僕、スライム。身体伸ばして体当たり。ちっちゃいやつに穴空いた。あと二人。
「あれオカシイだな」
「何だこのスライム、ドグリを殺しやがった」
「ひひっ、ひひっ」
僕、スライム。また体当たり。二人一緒に穴空いた。僕、ご主人様の命令守ったよ。褒めて褒めて!僕、スライム。ご主人様どこ?
◇◆◇◆◇
ギルドカードを見るとEランクに上がっていました。ここはEランクで来れる限界のCランクダンジョンです。見渡す限りの森です。地下なのに森があるのは不思議です。ただ霧に包まれています。
「よっ!お前さん。攻略者になれたんだなよかったぜ。」
ダンジョニアに来たとき初めて会ったおじさんです。
「それにしてももうここに?お前さん今ランク幾つだ?ここはCランクダンジョンだから危ねぇぞ」
僕はギルドカードを見せます。
「Eランクかい。もう上がったのはすげぇが、他のダンジョンでランク上げてからの方がいいぞ。命は大事にしなきゃな」
おじさんが忠告してくれます。優しい人です。
「問題ありません。おじさんはいい人ですね。」
「よせやい照れるぜ。それにおじさんじゃねぇボルサだぜ」
「色々ありがとうございますボルサさん」
森へ入ろうとする僕をボルサさんが引き止めます。
「待て待てお前さんも戻ってきた口だろ。ここは通称迷いの森。いくら進んでもいつの間にか戻ってきちまうんだよ」
「そうですか」
構わず突き進む僕をまた引き止めます。
「待て待てお前さん聞いてたか?」
「聞いてました。問題ありません」
「うーむならいいか」
ボルサさんは僕を心配するようについてきます。僕は正解の道を知っているようにズンズン進んでいきます。進むうちに霧は晴れ、迷いの森を抜けました。
「なんてこった、迷いの森を抜けやがった。しかもモンスターと出会わない道だと。」
森を抜けると砂浜です。輝く海の底にボスがいるみたいです。僕は海をさしながら言います。
「この下にボスがいるみたいなので行ってきます」
「らしいな。攻略情報によるとこの下に海底神殿があるらしい。まさか迷いの森を抜けられるとは思ってなくてな。海中の装備を持ってきてねぇぜ。俺はいいから先に行ってこいよ」
せっかくなら一緒に行きたいです。海がなければ行けるようですね。
僕は垂直に手を振ります。手の動きと連動するかのように海が割れます。
「さぁ行きましょう」
呆然としているボルサさんの手を引き海底を歩きます。鮫のようなモンスターが跳ねていましたが蹴り飛ばしておきます。
「ここですね」
海底神殿の中は不思議と空気があります。中へ入った後、海を戻しておきます。
「一体何じゃありゃあ!!お前さん何をした!!」
僕の両肩を掴み激しく揺らします。血眼になりありえないものを見たかのようなボルサさんに答えます。
「海を割りました」
「そんな訳があるか!そんなアイテム聞いたこともねぇ!」
「それよりもボスを倒しに行きましょう」
「ちょっと待てよー」
僕自身の力だと言ってもどうにもならなさそうですね。先を急ぎましょう。
海中にありながら海藻やフジツボの類は一切見当たりません。ただただ水晶のような美しい薄い水色の宮殿があります。迷路状になっていますが中心に進むようですね。壊せば早いのですがこれ以上刺激することもないですね普通に進みましょう。
途中水晶のゴーレムが出ますが殴り壊します。なにやらボルサさんが「ガーディアンがこうもあっさり」と呟いていますがどうしたのでしょう?
ついに中心にたどり着きます。水晶の柱が何本も立ち並ぶ広間です。そこに浮かぶのはこれまでの人型のゴーレムではなく菱形のゴーレムです。水晶の硬質な体と中心には青い光が灯っています。
「気をつけろ!こいつは何故か消えるんだ!」
ボルサさんの言葉通り周りに溶け込むように薄くなります。ただ僕の目には映っています。
「中が気になります」
僕は中心の隙間に指を入れ、上下に開きます。バチバチと青い光を撒き散らしながらその体は割かれていきます。中心に大きな魔石があるだけで他は特別な金属というだけです。そこそこ丈夫なようですが僕の力に耐えられる剣は作れなさそうです。
ボスを倒した後転移ゲートが現れます地上に通じているようです。
「信じられねぇ、こんな無茶苦茶な倒し方をする奴がいるなんてな。信じられねぇがお前さんみたいな奴がいるんだな。名前聞いてもいいか?」
「シロです」
「シロか。ありがとよおかげで何年も上がってなかったランクが上がった。また会おうぜ。」
そうしてボルサさんはゲートをくぐり帰っていきました。ふらふらとした足取りですが何処か早足です。
さて僕は次のダンジョンにいきます。転移した先のBランクダンジョンはまた岩肌です。似たようなところが多いですね。洞窟は鉄板なのでしょうか。
特に代わり映えもしないようなので階段ごとにいる中ボスと連戦していきます。強靭な鱗を持つリザードマンは手刀で切ります。石化の魔眼を怪しく光らせるコカトリスは逆に石化しました。これまで数多の攻略者を食い殺してきたであろうキマイラは破片も残らず殴り潰しました。罠を活用し死霊を使役するリッチはその全てを正面からねじ伏せました。そして最下層これが最後のボスです。
ヴリトラと呼ばれる邪竜です。禍々しい逆立った紫の鱗を持つ巨大な竜です。
ゴァァァァァァァア!!
空気が震えるほどの咆哮を飛ばします。僕を敵対者と認識しているようです。ヴリトラは開幕のブレスを放ちます。紫色の紫電は僕を飲み込みます。
煙が晴れた後そこに佇むのは当然のごとく無傷の僕です。
「その使い方はなかなかいいですね。雷は使えますが色を変えたりするのはあまりやっていません。お返しします。」
僕は先ほどのブレスの倍以上はある紫電を返します。その巨体を飲み込みます。煙が晴れた後そこに佇むのはあちこちが炭になり傷ついたヴリトラです。ヴリトラが傷ついたことで怒り先ほどよりも大きな咆哮をあげます。
丸太のような大きな尻尾でなぎ払ってきました。僕はそれを掴みヴリトラを振り回します。片手でおもちゃを振るようにします。抵抗できず振り回されていたヴリトラは壁に投げ飛ばされます。いえ力を入れすぎました。尻尾を握り切ってしまいました。
ヴリトラはバランスの取れない体を起こし最後の抵抗とばかりに鋭い牙で噛み付いてきます。そろそろ終わりにしましょう。十分遊びました。
僕はヴリトラの首から上を消し飛ばしました。




