プロローグ 「日常」
当たり前の日々、所謂”日常”と呼ばれるものだが、これに対して今の自分の日常を思い出してほしい。
通学して授業を受ける人もいれば働く者もいる。友達や同僚と遊びに行く人もいれば、一人することもなく明日のために早々に眠りにつく人もいる。
さて、ここで皆に一つ質問がしたい。
その”日常”は皆にとって満足できるものと言えるか?
回答は言わなくていい。”日常”は人によって全く別物であり、満足か否かも個人の物差しが違う以上は判断できないものだから。皆の答えは心にしまったままにしてほしい。
補足をすると、個人の満足というのは己の欲求がいかに満たされているかどうかで決まると、個人的にそう考えている。人間の三大欲求に加えて物欲、生存欲、承認欲など、調べるといくつも見つかる。
当たり前に感謝を、と言われてもおそらく感謝をしている人は滅多にいないだろう。明日に希望を持って眠りにつくのも同様だ。
それは大半の人々が”当たり前の日々”が明日も続くのが当然だと、明日にその当たり前が崩れ去る可能性を思考から排除してしまっているからである。
これは二人の男女が各々崩れ去った”日常”で共に自分の生き方を探していく物語だ。