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嘘つき英雄と嘘の妹 ~リメイク版~  作者: 野良犬タロ
プロテア編
53/67

#52 孤軍奮闘


~バンズ カザ~


「ふむ。」

 町の前に着くなり乗っていた馬を止め、門の入り口を囲うレンガ造りのアーチを見上げる。

 久しぶりに見る光景だ。

 新入りの兵士だったころ、文官の土地調査の護衛をしたときに来て以来だな。

 あの時は文官が馬に乗っている横で歩いていたが、今はこうして部下たちと共に馬に乗って此処にいる。

 なんだか奇妙な感覚だ。



「えッ、えぇ・・・?」

「?」



 声が聞こえて視線を落とすと二人の女を連れた冒険者と思わしき男がドギマギしていた顔で私を見上げていた。

「ああ、すまない。」

 状況を察して彼に謝罪する。

「突然大所帯で押しかけてすまないな。何分(なにぶん)、急な用事がこちらに出来たのでな。」

 大まかにだが自分たちの事情を彼に説明する。

「え、えと・・・つか、つかぬことをお聞ききになられますが・・・。」

 男は緊張しながら明らかに慣れていない口調で私に問いを投げる。

 無理もないのかもしれない。

 おそらくずっと片田舎にいるから王都の騎士などという相手と話をしたことがないのだろう。



「ハァ。」

「あだッ!!?」 

 連れの一人の武術家風の女が後ろから男の後ろ頭を平手でひっぱたく。



「ネカネッ! てめッ! 何しやがるッ!!」

「なにガチゴチに緊張してんのバカ。」

「いやお前ッ! 明らか偉い感じの人だぞきっと! 変な無礼働いたら・・・!」

「あんたのそのバカみたいなしゃべり方のほうが迷惑してるよきっと。」

「んだとてめッ!!」

 途端に口喧嘩を始める。

 なんだか漫才を見せられているような気がしないでもない。

「すまない、話を戻していいか?」

「ああッ!! すんませんッ!! マジで謝りますんでどうか死刑だけはッ!!」

「安心してくれ、私にそんな権限はない。話し方もできれば話しやすい話し方で頼む。」

「じゃあお言葉に甘えて。」

 私が男を諭すと先ほど『ネカネ』と呼ばれていた女がやれやれといった感じで男より前に出る。

「見たところ騎士様の団体みたいですけど、こんな田舎の町になんの用です?」

「ああ、王より勅命があってな、この町に危機が迫っているらしく、我々はそう言った事情で王都より派遣された騎士団だ。」

「!!」

 ネカネは目を見開く。

「おいそれって・・・。」

 後ろで話を聞いていた男は眉を潜めながらもう一人のローブ服の少女に何かを耳打ちする。

「うん・・・。」

 ローブ服の少女も耳打ちされた内容に納得したらしく、渋い顔で相槌を打つ。

「何か事情を知っているようだが?」

「ッ!! あ、あはは・・・。」

 私が問いかけると男はローブ服の少女から離れて私の方へ向き直り、気まずそうに後ろ頭を掻きながら愛想笑いをする。

「ふむ。」

(団長、問いただしますか?)

「!」

 近くにいたエレノアが小声で私に確認を取る。

「待て待て、下手に町の住人の不徳を買っては今後やりづらいかもしれないだろ。」

 すぐにエレノアの提案を却下する。

「え・・・えっと・・・?」

 男が顔を引きつらせながら苦笑いで私たちの様子を不審げに見ていた。

「詮索するようで悪いが、お前たちが知っている事は町の住民全員が知っているのか?」

「ま、まぁ・・・そっスね。あはは・・・。」

「ちょっと・・・!」

「ぃッ!?」

 男が気まずそうに相槌を打つとローブ服の少女が男を引っ掴んで何かを耳打ちする。

 話しづらい内容なのだろうか。

 仕方ないな。

「話しづらい内容なら無理に話さなくていい。どの道この町の責任者に挨拶に向かうつもりだった、その時に改めて責任者に話を通し、可能なら事情を聞こう。それで良いか?」

「ああ・・・んん・・・。」

 男は気まずそうに私と近くのローブ服の少女に目配せをしつつ少女と共に頷き合う。

「まぁ・・・それなら・・・。」

 男は苦笑いで渋々と言った具合に私の話を承諾する。

「よし、それなら責任者・・・この町の町長か? 住所を知っている者が居れば助かるのだが・・・。」

「あ、それなら私、案内出来ます!」

「!」

 ローブ服の少女が明るく提案してきた。

 意外にも話が早いようだ。

「それは助かる。」

「こっちです!」

 冒険者たちに案内されるまま町の門を潜った。




~メロ 森林~


「ッ!!」

 上昇(ライズ)を使って思いっきり跳ぶのです!!

 跳んだ先は近くの木のちょっと高いところの幹です!!

「ッ!」

 すぐさま木の幹を蹴って移動するのです!!

「ゴ・・・ゴアァ・・・?」

 獣人達はどいつもキョロキョロと私を探すように身体を振って視線を移動させているのです!

 よし、上手く攪乱できてるみたいです!!

 このまま相手が私の動きを捉えられない今のうちに攻撃を・・・!

「!!?」

 獣人が突然それぞれ三方向に跳んでいったのです!!

 奴ら、一体何を・・・!

 え、こいつら・・・!



「ええぇ!!?」

 獣人たちも私と同じように素早く木々を飛び回っていたのです!!



 これじゃ私もあいつらを上手く捉えられないのです!

「くッ!」

 一体の姿が見えたのです!!

「ハァァァッ!!」

 すぐに木を蹴った勢いで一気に斬りかかるのです!!

「グゥゥッ!!」

 けどすぐに止められるのです!

 けど・・・!

「ハァァァッ!!」

 こんなことで止まるわけにはいかないのです!!

 もう一本の剣で斬りかかろうとかか



「ガアアァァッ!!」

「ッ!!?」



 嫌な予感がして上を見ると獣人が上から襲いかかってきたのです!!

「ゴアァッ!!」

「くッ!」

 獣人が振ってきた鉈を止めるけど、空中で勢いがなくなったまま剣ででぶつかり合ったせいで・・・!

「あ”ぅッ!!!」

 地面に勢いよく背中から叩きつけられてしまうのです!!

「くッ・・・!」

 すぐに起き上がるとさっきと同じように木から木へと飛び移るけど・・・!

「うぅ・・・!」

 まずいです・・・!

 思ったより相手の動きが捉えられないのです!

 こっちが一人に対してあっちが三人・・・!

 同じ動きをされたら全員を視界に捉えられない分こっちの方が不利なのです!

 どうすれば・・・!



『メロ? 戦うときはいつだって頭を使うもんよ?』

「!!」

 母の言葉を思い出すのです!



「ッ!!」

 飛び回るのをやめてすぐ様走り出すのです!



『地の利を活かすのは基本中の基本! けどね? 私ら冒険者はいつも同じ魔物ばっかり相手するんじゃないの!』

 そうです・・・忘れてたのです!!



 相手の数が多い時は森や洞窟に誘い込んで引っ掻き回すのが基本です!

 けど森で戦うのが得意な敵だって居るのです!

 だから・・・!

「ハァ・・・ハァ・・・!」

 来た道を戻ると森を抜け出て、また平地の草原に出るのです!

「ハァ・・・ハァ・・・!」

 しばらく走ると・・・。

「グワァッ!!」

「くッ!」

 獣人の一体が追い付いてきて鉈を振り下ろして来てなんとか剣で止めるのです!

「ハァッ!」

「グアァッ!」

 もう一本の剣で獣人の脇腹を斬ると獣人が怯むのです!

 けど・・・!



「「グゥゥ・・・!」」

「ッ・・・!」

 獣人達に囲まれたのです!



 今の攻防の間に残りの獣人達にも追い付かれちゃったみたいです。

 けどそんなのは予定どおりなのです!



『平地で大勢の敵を相手にするのは普通は無謀だ。囲まれれば一溜りもない。』



 父の言葉を思い出すのです!



『だがそれを打開する手段がある! それが・・・。』



「・・・。」

 私は剣で地面を突くのです!

 ()()が魔法です!



「ガァァッ!!」

「ウェアァァッ!!」

「ッ!!」

 右前と左後ろの獣人が襲いかかって来たのですッ!!

「くぅッ!」

 身体を屈めて跳んで振り下ろしてくる鉈を二体の間を転がりながらすり抜けるですッ!!

「・・・。」

 またザクザクと剣で地面を掘るのですッ!

「グワァッ!!」

 残りの手斧持ちが飛びかかって来たのですッ!!

「くッ!」

 大きく横に跳んで回避したあとに走るのです!

「グアアァッ!!」

「ほッ!」

 立ちはだかる鉈持ちの縦振りを横にずれて躱し、すり抜けて・・・!

「ゴアァッ!!」

 もう一体の鉈持ちの横振りを前方に転がりながら回避して、その勢いを利用して転がったあと、地面に寝そべりながらまた地面を剣で掘るのです・・・!

「よし!」

 まだ広くは作れてないけど魔法の陣の起点は作れたのです!

「さぁ来いです!!」

 すぐに起き上がって獣人たちを迎え撃とうと構えるのです!!

「「「ガアアァァッ!!」」」

 獣人たちは吠えながら襲い掛かってくるのです!

 けど間抜けです!

 私と獣人たちの間には既に陣が張られてるのです!

 このまま誘い込んで・・・!

「!!?」

 え!?



「「「ガアアァァァッ!!」」」

 獣人たち・・・陣を避けて迂回してきたのです!!



「くッ!」

 襲い掛かってきた獣人の内の一体の鉈を弾いて距離を取るのです!

「グルルルルルル・・・。」

「うぅ・・・!」

 こいつら・・・()()()()()のです!



~ウルド 馬車~


「うぅ・・・痛てて・・・!」

 まだ下腹部が痛むがなんとか起き上がれるくらいまで回復は出来た。

 いやホント、なんだったんだ?

「ゼェ・・・ハァ・・・ああ、起きたか。」

「?」

 変な息遣いと一緒に男の声が聞こえるのでそっちを見ると・・・。

「は?」

 荷台の隅にボロボロの男が背中を預けながら腰かけていた。

「ッ!?」

 思わず身構える!

 こいつ、馬車を襲撃した敵か!?

「?」

 いや、じゃあ今こうやって目の前で悠長に腰かけてる時点でおかしいよな??

「あんたは?」

「ああ、俺はレイド・・・近くの町で冒険者やってる身でな、ちょっと訳あってお前の連れの女に世話になった・・・。」

「・・・。」

 レイドとか名乗るそいつの姿を見て何となく察する。

 頭や腕に包帯を巻かれていた。

 おそらくルタが応急処置したんだろう。

「おい、ルタは? あいつはどうした?」

 すぐに居ないと分かってレイドを問いただす。

「ああ、お前の連れか? あいつなら・・・。」

 


~メロ 平地~


「ハァ・・・ハァ・・・。」

 思ったより戦いが長引いて息が落ち着かなくなってきたのです。

「グアアアァッ!!」

「ッ!」

 獣人の一体が飛びかかってきたので横に跳んで回避するのです!

「グウウゥ・・・!」

「・・・。」

 唸りながら身構える獣人達を見ながら思うのです。

 さっき私が陣を敷いた三角の線上から絶妙にギリギリ外の位置にいるのです。

 やっぱりこいつら、私の狙いに気づいてるのです!

「ガアアァッ!!」

「くッ!」

 鉈持ちが横振りに振ってきた剣を弾くのです!

「ッ!?」

 しまったのです!

「ガアアァッ!!」

「ッ!」

 斧持ちが飛びかかってきたので後ろに跳んで避けるのです!

「うぅ・・・!」

 迂闊だったのです・・・!

 そもそも()()()()で魔法を使うって考えが甘かったのです!

「グアアァッ!!」

「くッ!」

「グェアァッ!!」

「うぅ・・・!」

 鉈持ち二体が襲い掛かってきて一体の剣を弾いて跳んで二体から距離を取るのです!

 休む間もなく飛んでくる攻撃・・・!

 そもそも魔法を撃つ暇すら与えて貰えないのです!

 地の利を活かせる森の中でスピード使って引っ搔き回しながら距離を取るって手段もこいつらには通用しないですし、どうすればいいのですか!

「ゴアアァッ!!」

「ッ!!」

 斧持ちが迫ってきて斧を振り下ろしてきたのを剣で弾いて刃の行き先をずらして外させるのです!

「ッ!?」

 ヤバいのです!!

「くッ!!」

 すぐに跳んで距離を取るのです!

 誘いこもうとしていた陣から離れちゃったけど問題はそこじゃないのです!



「ハァ・・・ハァ・・・!」

 息を切らしながら右腕を押さえるのです・・・!



「くっ・・・うぅ・・・!」

 今にも落としそうな右手の剣を頑張って握り直すのです!

 手が痺れて上手く剣が握れないのです!

 多分さっきから防御の為に相手の武器を何度も弾いたせいなのです!

 このままだと・・・!

「ガァァァッ!!」

「ッ!!」

 獣人の一体がまた飛び掛かって来たのです!!

 まずいです!

 もう防御は・・・!



炎球(フレイムボール)

「ゴアァッ!!?」

「ッ!!?」



 聞き覚えのある声で魔法の名前が聞こえた途端、炎の球体が獣人の頭に横殴りでぶつかって獣人が吹っ飛ばされたのです!

「あ・・・!」

「・・・。」

 声のした方を見るとそっちにはやっぱりルタが居たのです!

 助けに来てくれたのですか?


業火(リフュー) (カーン)


 私が考える間もなくルタは次の魔法を詠唱するのです。

 するとルタの周りに小さな火の玉がたくさんルタの周りに現れるのです!


分解(ディモンタージュ) 展開(ディプロイメント)


「ガアアアァッ!!」

 獣人たちはすぐにルタが脅威だと分かって向かっていくのです!

 結構距離があるけど、それでも物凄いスピードで 一気に距離を詰めるのです!!

 けど・・・!


広域(ヴァスティゾン) 射出(エジャキュレーション)


 それでもルタは詠唱をやめないのです!

 そして・・・。



彗星矢一斉射( コメットレイン)!!」



 ルタが魔法を完成させるとと周り火の玉が一斉に獣人達に襲い掛かるのです!

「わわッ!」

 すぐに走って炎の雨の通り道から逃げるのですッ!

 運が良くてたまたま距離があったおかげでギリギリ安全な場所まで逃げられたのです!

「うぅ・・・!」

 ルタの奴、私の事お構いなしに魔法撃って・・・!

 けど・・・!

「グアァッ!」

「グガァァッ!!」

 獣人達はモロに火の玉の雨を受けて吹っ飛ばされ、余りの熱さに転げ回ってるのです!

 しばらく炎の雨に撃たれて炎が止むと獣人たちは地面に寝そべったまま動かなくなっていたのです・・・!

「やったですか?」

 思わず言葉が漏れたその時です!



「グウウゥ・・・!」

 獣人達が立ち上がったのです!


 

「こいつら・・・!」

 しぶといのですッ!

 あんな魔法を喰らったのに立ち上がれるなんて・・・!

(フラム) (カーン) 放出(ホレッシ)

 すぐにルタは切り替えて次の魔法を詠唱するのです!

「ゴアアァッ!!」

 獣人の一体がルタに襲いかかったのです!!

「ッ!」

 ルタはすぐに反応して横に跳びながら・・・!


炎球(フレイムボール)!!」

 

 魔法を放ったのです!!

「グアァッ!!」

 放った炎は別の獣人に襲いかかり、獣人を怯ませたのです!!

 しかし・・・!

「ガアァァッ!!」

 さらに別の一体がルタに襲いかかったのです!



「はぁッ!!」

 しかしそれをさせるほど、私も甘くないのです!!



「グウゥッ!!?」

 背後から襲い掛かり、獣人の背中を斬り裂いたのです!!

「ッ!」

 獣人の体勢が崩れた隙にルタは走って離れて距離を取るのです!!

 そして・・・!


(フラム) (カーン) 放出(ホレッシ)


 ルタは、魔法を詠唱して・・・!


炎球(フレイムボール)!!」


 魔法を放ったのです!

「グアァッ!!」

 火の玉がまた獣人の一体にヒットしたのです!

「グウゥゥ・・・ウアァッ!!」

 流石に鬱陶しかったのか、獣人の一体がルタに遅いかかろうとするけど・・・!

「ハァッ!!」

「グゥッ・・・!」

 私が遅いかかろうとした一体に斬りかかった所を獣人は忌々しそうに鉈で止めるのです!

「ゴワァァッ!!」

「ほッ!」

 斧持ちの獣人がすぐさま振り上げて振り下ろしてくるので回避するのです!

 けど、あまり距離を取りすぎず、付かず離れずな距離を取るのです!


(フラム) (カーン) 放出(ホレッシ)・・・炎球(フレイムボール)!」


「グゥ・・・!」

 ルタが魔法放つと、今度それに慣れてきたのか、獣人は回避するのです!

「ガァァッ!!」

 今度はルタに襲いかからず、私に襲いかかったのです!!

「くッ!」

 私はまだ無事な左手の剣で鉈を払い、距離を取るのです!

 今度は()()に距離を取るのです!


(フラム) (カーン) 放出(ホレッシ)・・・炎球(フレイムボール)!」


「グゥ・・・!」

 ルタが、また魔法を詠唱すると火の玉が獣人に飛んでいき、獣人もまた回避するのです!

 そこへ・・・!



(グラス) (エペ) 放出(ホレッシ)・・・!」



 私は魔法を詠唱するのです!

「グガッ!!?」

 獣人の一体がギョッとして私を見るのです!

 それでもお構いなしなのです!!



氷弾(アイシクルバレット)!!」



 私は魔法で氷の弾丸を放つのです!!

「ウグゥゥッ!!?」

 ちょうどルタの方を向いていた獣人に当たると、獣人の左肩から腕にかけて凍らせてやったのです!!

「グルルル・・・!」

「グゥゥ・・・!」

 獣人たちはと私を交互に目配せするのです。



「・・・。」

「・・・。」

 ルタと私は獣人たちの前後から、同じようにそれぞれ剣と杖を前方に構え、いつでも魔法を撃てるように構えていたです。



「グゥゥ・・・!」

 交互に目合わせをしながら獣人たちはどっちに襲いかかろうか考えていたのですけど・・・!



「「「ゴアアアァァッ!!!」」」

 獣人たちは一斉に()に襲いかかったのです!!



 きっと私の方が手負いで倒しやすいと思ったからです!



「むふっ!」

 けど、それは()()()()()だったのです!!



「今だよメロ!!」

 ルタが合図をすると・・・!



(グラス) (エペ) (イクイップ) 放出(ホレッシ)・・・!」

「「「ガアアアァァッ!!!!」」」

 私が魔法詠唱しているうちに、獣人たちは三方向から囲んでおそいかかってくるのです!



 私が防御できないように仕掛けたつもりですけど、それは寧ろ()()()()()()()()だったのです!!



「ッ!!」

 私は足の上昇(ライズ)を使って思いっきり、高く跳躍するのです!!



「ッ!」

 五~六メートルほどの高さで飛び上がりながら、獣人たちの一斉攻撃を回避したのを確認して、宙返りしながら、剣を獣人たちに向けるのです!!

 そして・・・!



氷結牢(フリーズプリズン)!!」



「グゥッ!!?」

「グガァッ!!?」

 私が魔法の詠唱を完成させると、獣人たちの足元が青白く光り出したのです!!

 その光は上から見ると()()()だと言うことがよく分かるのです!!

 そう、獣人たちはまんまと陣の中に入っていた私に誘い込まれていたのです!!

「グゥ・・・!」

 獣人たちは慌てて人から飛び出そうとするけどもう遅いのです!!



「グワァァッ!!」

「ガァァァッ!!?」

 物凄い速度で獣人たちは足元から凍ってしまい、氷の中に閉じ込められて動けなくなったのです!!



「・・・ッ! ふぅ。」

 着地すると全部終わった安心で、軽く息を吐き出すのです。



業火(リフュー) (カーン) 座標(コードニ) (リパラディ) 降下(ドロップ)

「ッ!!!?」

 ルタが魔法詠唱していたのです!!



 するとルタが天高く掲げていた杖の指す上空に巨大な炎の球体が現れたのです!!

「ルタッ!! 何をしてるのですかッ!!?」

 もう決着はついたはずなのに・・・!

「・・・。」

 ルタは杖を掲げたまま獣人たちを静観していたのです!

「??」

 何事かと思って獣人たちの方を見ると・・・!

「えッ!!?」

 さっきの私の魔法で獣人たちを覆っていた氷がピシピシと音を立ててヒビが入っていたのです!!

 まさか・・・!



「「「グアアアアゥッ!!!!!」」」

 獣人たちは咆哮と共に氷から飛び出したのです!!



 けど・・・!



隕炎降来(メテオストライク)



 ルタが魔法詠唱しつつ杖を振り下ろすと、上空にあった炎の玉が思いっきり獣人たちの頭上から叩きつけられてものすごい爆発が起きたのです!!



「「「グワアアアアァァッ!!!」」」

 断末魔と共に獣人たちはに炎の爆発に包まれたのです!!



「・・・。」

 仕方ないとは言え、容赦がなさすぎなのです・・・!

「え!!?」

 目の前の光景に目を疑うのです・・・!



「グゥゥゥゥ・・・!」

 獣人の一体が生き残っていたのです!!



 二体の獣人が黒焦げのまま倒れて動けなくなっている中、立っていたのです!!

 どんだけしぶといのですかッ!!

「グゥ・・・ウアァ・・・!」

「!」

 獣人がフラフラ足でルタに向かって歩いて行くのです!

「ルタ!! ・・・!?」

 私が声をかけるけど、ルタの姿に目を疑うのです!!



「・・・。」

 ルタは杖を下ろしていたのです!



 魔法を詠唱する気配もないのです!

 もしかして体術で仕留めるために誘っているのですか・・・?

「グゥゥ・・・!」

 そう思ったのもつかの間、獣人は、ルタの目と鼻の先にいたのです!

 獣人が斧を振り上げたその時です!

「え!!??」

 信じられない光景が私の目に映ったのです!!



「ふふ♪」

 ルタはあろうことか、笑顔で両手を広げていたのです!!



 まさか抵抗しない気ですか!!?

「グウゥ・・・ウアァッ!!」

 そんなルタに容赦なく、獣人は斧を振り下ろすのです!!

 ルタッ!!?

 なんで―――



「ハァ・・・ハァ・・・!」

 私は息を切らして今の状況に気づくのです・・・!



 私が今いるのは、重人の背後・・・。

 左手には一本の剣・・・!

 それを獣人の背中に刺し、もう片方の右手はそれをさらに押し込むように剣を持った手に添えられていたのです・・・!

「ハァ・・・ハァ・・・!」

 自分のしたことに気づいて剣を放し、一歩、二歩と下がると腰が抜けて地面に尻餅を着くのです・・・!

「グゥ・・・ァ・・・!」

 獣人は振り向いて私を見るのです・・・!

「・・・!」

 その眼は物凄くガンって感じに開いてて恨みなのか、驚きなのか、よく分からない何かが籠った視線にも見えたのです!

「ゥ・・・グ・・・!」

「・・・!」

 獣人は私に向かって歩を進めてきたのです!

「ァ・・・!」

「ヒ・・・!」

 獣人は斧を振り上げるのです・・・!

 訳が分からなくて怖いです!!

 か、身体が動かないのですッ!!

「ヒィッ!!」

 思わず身体を縮めて防御姿勢をとるけど・・・!

「??」

 斧が手から落ちたのです・・・!

「ッ!!?」

 突然の事にまた訳が分からなくなるのです!!

「?? ・・・!!??」

 獣人が急に倒れ込んできて私に覆いかぶさってきたのです!



「・・・・・・ラ・・・・・・めん・・・・・・。」

「・・・????」

 何か言って・・・!



「え・・・?」

 獣人は力が抜けたように私から身体をずらすとそのまま地面にうつぶせの状態で倒れたのです・・・!

「・・・? ・・・??」

 こいつ、何を言ってたのですか?

 って言うか、喋れたのですか?

 え?

 もしかして私、狂っても無い相手を・・・!

 えぇ・・・?

「・・・?」

 突然、頭に何かが乗るのです・・・!

「!」

 手です!

「??」

「ふふ♪」

 ルタです・・・!

「ありがとね~♪ メロ~♪」

 ルタが笑顔で私の頭を撫で・・・いや、そんなのどうでもいいのですッ!!



「あああああああぁぁぁぁぁッ!!!」

「ッ!!!?」



 頭がパニックになってルタの胸倉を掴んで押し倒したのですッ!!

「ルタッ!! なんでッ!!」

 ルタに罵声を浴びせるのですッ!!

「なんで私にッ!! 私にやらせッ!! やらせたのですかぁッ!!」

 大声でルタを非難するのですッ!!

 え、私、何を言ってるのですか??

「あ、えと・・・あぁ・・・!」

 なんで私、相手は狂ってた獣人ですッ!!

 そう、私、狂った獣人・・・狂戦士(バーサーカー)をやったはずです!!

「私・・・えと・・・うああぁぁッ!!」

 訳も分からず叫びながらルタの胸倉を掴んだまま揺さぶるのです!!

 獣人、最後に言葉を、何かを喋ってたのですッ!!

 だから狂ってなくて・・・!

 いや、そんなことないのです!!

 だってさっきまで私を殺そうと襲い掛かって・・・でも何か喋ってて・・・!



「ああ・・・ああああああぁぁぁッ!!」

 もう訳が分からないのですッ!!



 ルタから手を離しながら頭を抱え、ひたすら叫んだのです!!

「メロ・・・。」

「ッ!!?」

 突然、ルタに声を掛けられながら頭に手を乗せられて目の前を見るのです!

「ッ!!?」

「ふふ♪」

 ルタは笑ってたのです・・・けど・・・!



「うふふふふふ♪」

「・・・!」

 ルタの笑みは優しい笑みなんかじゃなかったのです・・・!



『慰める』とか『励ます』とか・・・そんな意思は一切なく、奴隷とかそう言うのを虐めて楽しんでる奴みたいな、相手を嘲笑うような不気味な笑みだったのです・・・!

「大丈夫だよメロ♪」

「ッ!?」

 その不気味な笑みのままルタは、心にもなさそうな言葉を耳元で囁いて私をあやしながら抱きしめて頭を撫でて来たのです・・・!

「ふふ♪」

「・・・?」

 またルタ・・・笑って



「殺しちゃったね♪」



「・・・!」

 あ・・・!

 あああ・・・・・・!

 あああああああぁぁぁ!!!!!



~ウルド 平地~


「くそ・・・手こずらせやがって・・・!」

 レイドが教えてくれた方角を適当に走って魔覚で索敵しながらルタ達を探していた。

 しばらく見つからずに手こずったが、なんとかルタとメロらしき魔力の反応を感じてそっちに向かう。

「お・・・!」

 ルタの姿を見つけた!

 なんだ?

 あいつ、倒れて身体を起こすような恰好で何をして・・・!



「あああああああああああああああぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!!」

「ッ!!!!!??」



 急に叫び声!!

 な、なんだッ!!?

「ッ!!!?」

 よく見るとルタの上にメロが伸し掛かるように乗っていた!!

「ああああぁぁぁッ!!!!」

 叫びながらメロはルタの胸倉を掴んで激しく揺さぶっていた!!



「ああああぁぁッ!!!!」

「おい落ち着けッ!! 何があったッ!!!!」

 すぐにメロをルタから引き剝がす!!



「おいルタ!! 何があっ・・・!」

 すぐにルタに事情を聞こうとしたが、目の前の光景に目を疑う・・・!



「ふふ♪ うふふふふ♪」

「・・・!」

 ルタの奴・・・笑ってやがる!!?

 


「おいルタッ!! てめぇッ!!!」

 すぐにメロをルタから離し、メロの代わりにルタの胸倉を掴む!!

「お前ッ!! メロに何したッ!!」

「なんにもしてないよ♪」

「ッ!!」

 白々しいルタの言葉に頭の中の線がキレた!

「ッ!!!」

 ルタを拳で思いっきりぶん殴る!!

「・・・ふふ♪」

「!!」

 仰け反った顔を下に垂らしながら視線を俺に戻すがルタは尚も笑っていた!!

「こんな時にふざけてんじゃねぇッ!! 何もしてなかったらメロがこんな事には



()()!! なぁんにもしてないよ!♪」



「・・・!」

 ふざけた口調で何か含みのある言い方で言いやがった・・・!

「・・・。」

 どう考えてもちゃんと言う気の無いルタをほっといて周りを見て推理することにする。

 近くには背中を剣で刺された獣人の死体・・・。

 離れたところに黒焦げで倒れている獣人の死体・・・。

 戦闘があったことは間違いないがこれって・・・?



「師匠・・・私・・・私ッ!! あああぁぁぁ!!」

「!!」

 メロがまたパニックになってその場に崩れ落ちて頭を抱えたまま叫びだす!!



「ああッ!! くそッ!!!」

 もう考えるのはあとだッ!!

 メロを力いっぱい抱きしめてなんとか落ち着かせようとする!

「ふふ♪ うふふふ♪」

「・・・ッ!」

 後ろから笑い声が聞こえてすぐにルタに怒りの視線を向ける!

「あとで事情はちゃんと聞くからな・・・!」

「いいよ~♪ うふふふ♪」

 ルタは下卑た笑みのまま俺を見ていた。



 こいつ・・・やっぱりイカれてやがるッ!!





~リメイク前との変更点~

・ウルド復活時のパート追加

理由:時系列上の不自然を減らす為&メロが陣を避けられて区切りがよく、何かパートを挟みたかった為

・ルタはトドメ要員ではなくメロのサポート要員

理由:旧版はあまりにもメロの元へ駆けつけるのが遅すぎたため、あとルタとメロが連携して戦ってる所も書きたかった為

・獣人を殺した際、『冒険者でも人殺しで犯罪や罰則がある』と言う描写を削除

理由:『狂戦士は有事の際、自衛の為なら正当防衛が成り立つ』と言う設定があり、メロが罰則があると怯えるのはどう考えてもおかしい為

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