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メタモルフォーゼス  作者: 新町 東
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第54話『それは許さんぞぉぉぉぉ!!』

第54話『それは許さんぞぉぉぉぉ!!』


 それは魔法協会に連れて行かれた時の事。


 九条と宇佐美さんは今回の事について事の顛末を説明すべく、個室に優しそうな魔法師さんと一緒に入って行った。


 だが、俺たちは違った。ニコニコ笑顔の由樹さんに『ちょっとツラ貸せ』と言われ個室に連行。


 しかも周りの魔法師たちに対し、


「ちょっと説教しないといけないから誰も入れるな」


 と睨みを利かせる始末。


「大まかな状況は察している。友人が拉致されてそれを助けに向かったと言う事で大体あっているな?」


「はい、そうです」


「別にいいだろ姉貴。悪いことした訳じゃ無いし」


「あ?」


 智樹の軽愚痴に由樹さんのアイアンクローが炸裂する。


「痛ってぇ!!」


「友人を助けようとする気持ちは決して悪い事じゃない、寧ろ良い事だ。そんなことはわかっている」


「ならどうしてぇ!?」


 泣きそうな智樹の顔を一瞥し、俺の方を睨むと、


「普通に考えてみろ、魔法を使ってくる複数の相手に対して魔法を使えないDランクがたった一人で無力化させた事実を、私は一体どうやって上に報告すればいい!!」


「「……」」


「智樹が『アレ』を使って無力化した。それは知っている。と言うかそれしかないだろ?」


「そう……ですね」


「じゃあ私は報告書に『アレ』に関する事を書き連ねて良いのか? その結果として俊、おまえが実の両親にも隠し続けている事が世間様の日の目を浴びる事になるとしてもか?」


 嫌な汗が額を流れ落ちるのを感じる。


「そこを……何とかなりませんか?」


「……条件がある」


「何でしょうか?」


 そう答えるしかなかった俺の顔を見てニヤリと笑うと、


「私も久しぶりにヘルツへクセンに会いたいなぁ」


「……」


 智樹の頭に掛けていたアイアンクローを解き、


「久しぶりに見たいなぁ、あのあざとカワイイポーズ。『魔法少女ヘルツへクセン、可愛く参上!! シャッキーン』が見たいなぁ……」


「…………それで許していただけるなら」


「よし、交渉成立だな」


 そう言って成立の証の握手を求めて来る由樹さんの顔はとても悪い顔をしていた。


 だが、俺はその手を握り返すしかなかった。


たとえそれが、またあのポーズをするあいつの姿を見る羽目になっても俺には、背に腹は代えられなかった。




 その後、本題に入っていくつか話をした後に俺たちは解放された時だった。


 ドアの向こう側から、


「かーずーとーしー!!」


 と、よく聞く声が聞こえた。


 そして予想通り乱雑にドアが開けられ、


「どうして俺を呼ばなかったぁぁぁぁ!!」


 そこにはいつも通りの兄貴がいた。


「弟のピンチとあれば俺は地球の裏側だって駆けつけると言うのにぃぃぃ!!」


「いや、だって兄貴呼ぶと逆に面倒になるしここは由樹さんに頼ろうかなって……」


「おのれ由樹!! 俺から和俊を奪う気か!!」


「奪う訳無いだろ。落ち着けよ昌」


「うわぁ、昌さんが来たらあっという間にいつもの感じになった!!」


 智樹がまるで他人事の様に笑っていたが、


「じゃあ俺が智樹貰っても良いのか!?」


 と、飛び火した上に、


「良いよ、あげる。だけどその代わりにみーちゃん貰うね」


「それは許さんぞぉぉぉぉ!!」 


 あっさりと実の姉から見捨てられ、


「……俺の扱い、雑過ぎじゃねぇ?」


 そう呟きながら一人悲しみに浸る智樹なのであった。




「終わったなぁ」「終わったね」


 車で自宅まで送ってもらった二人はそこで言葉が重なった。


「今日の晩御飯は何?」


「また買い物に行きそびれてなぁ。まぁ問題は無い、これから見繕って適当に作る」


「私も手伝うよ!!」


「そうかぁ……なら」


 宇佐美の頭にポンと手を置くと、


「頼りにさせてもらうぞぉ。それに……」


「任せてよ!!」


 宇佐美はその言葉を最後まで聞かない内に嬉しそうに受け取ると一早く家の中に入って行った。


「最後まで人の話を聞けと何度言えば……まぁいい後で手伝わせながら叱ってやればいいからなぁ。それに……」


 九条は帰りの車内である事を決めていた。それは、


「ある程度の物は作れるようになってもらわないと、俺のやらなきゃいけないことが達成出来なくなるかもしれないしなぁ」


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