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封印されて五百年、世界は俺に牙を剥く  作者: NAriS


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火蓋を切る Ⅲ

集団の中の一つの魔力が強く波打っていた。


 

 その瞬間、嫌な予感がした....。


 

 「代償強化――」


 

 周囲がざわめいた次の瞬間――


 

 「——風魔法」


 

 集団の奥から音を立てて風が迫る。

 そして、爆風が身を軽々と持ち上げた。


 


 視界から地面が消えた後に空へ投げ出されたことを理解する。


 

 風は周囲の魔族ごと吹き飛ばし、遥か上空まで浮き上がる。


 


 そこから見えた景色は一面の魔族の群れだった。


 

 一国の兵を補えるほどにはいるだろう。


 それほどまでに地面が魔族一色で染められていた。


 

 あれ全部が敵――。


 

 そんなことを考えている間に身体は地面へ向かって落ち始める。


 


 地面が迫っている。

 落下を相殺しなければまずいな...

 


「——反発魔法」

 


 地面に衝突する直前、魔法を発動し、地を弾く。

 

 身体はわずかに浮き、落下の速度を打ち消した。


 着地を成功させるが周囲の魔族達は――


 

 着地に失敗し、全身が潰れて肉塊となっている。


 


 集団奥から声が聞こえる。


 

「お前達!!代償を使え!!」


 


「力がないなら何かを犠牲にしろ!!」

 


 魔族達に言葉が届いた瞬間、空気が変わり。


 

 魔力の塊が激しく波打つ。


 

 途轍もない速度で魔力が迫っていた。


 

 咄嗟に躱すと凍った地面が一直線に出来上がる。


 避けたつもりだったが触れていたらしい。

 


 

 右足が凍る。


 

 治すほどではない...

 それでも足は重く、俺の動きを鈍らせる。


 

 直後、またもや魔力が激しく波打つ。

 代償で倒れる魔族もいる中、


 無数の炎が蛇のようににうねりながら迫る。

 

 まだ動ける....

 そう言い聞かせながら避ける。



 この程度なら問題無い。


 だが魔族達はなりふり構わす突っ込んでくる。


 突っ込んでくる大抵の魔族は俺に近寄る前に炎に呑み込まれ、灰になる。


 

 一部の魔族は炎をくぐり抜け、俺に接近した。


 左右と背後から、

 右と後ろは殺せた。


 左から来た魔族は俺の腕を掴んだ。


 「――氷魔法」


 左腕が鈍る。


 咄嗟に振り払い、魔族を炎へ落とす。


 そして正面の炎の中に影が見える。


 魔族だった。

 炎を耐えるなんて...


 いや......

 そもそも炎を避けないなんて...


 ...やはり考えていない。


 肉体強化...

 理性の無い魔族、それが3体...


 

 炎を越えて迫る。


 正面から突進、

 動きが鈍ったこの身体では防御しきれず重い衝撃が身体中に響く。


 吹き飛んだ身体が岩に叩きつけられる。


 少しずつ後退させられている。


 未だに炎がこちらを狙って襲いかかる。


 理性の無い魔族3体にも追いつかれる。


 1体を攻撃しつつ、残りの2体は魔力探知で位置を把握しながら距離をとる。


 この魔族でも炎ではやや焦げる。


 炎はこちらを狙うので誘導できなくはない。


 2体は炎で削る...

 


 ここで消耗するわけにはいかない。


 回復魔法もまだ残しておきたい...


 3体とも疲弊してきた頃、

 


 激しい魔力の波打ちに気づけなかった。


 空に巨大な光――


 

 ――雷だった。


 この足では逃げ切れない....

 そう断言できるほどの威力を確た。

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