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封印されて五百年、世界は俺に牙を剥く  作者: NAriS


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Reborn world

目を覚ましたとき、俺は立っていた。


 なぜ立っていたのか分からない。いつから立っていたのかも、分からない。


 周囲は静かだった。


 木々の葉が風で揺れる音が聞こえた。長剣


 頭がぼんやりとしている。記憶が曖昧だ。自分のことも、ここがどこかも分からない。


 だが、それでも一つだけ、妙に確かな感覚があった。


 ——戦っていた。


 そんな気がした。


 ……あのときの俺は、それだけを信じていた。


 


 そのときだった。


 頭上から、何かが落ちてくる。


 影。


 直感的に、それが敵だと分かった。


 重々しい鎧を着ていたが、兜から突き出た角と光る瞳孔を見て分かった。


 魔族だ。


 考えるより先に、身体が動いた。


 振り下ろされる長剣が、空を裂き、地を割る。


 


 剣を取る癖があったのだろう。


 瞬間的に距離を詰め、腰へ手を伸ばした。


 しかし——


 手は、空気を掴むだけだった。


 


 間合いに入ってから、それに気づいた。


 


 「……剣がない」


 


 それどころか。


 丸腰。


 ——裸だった。


 


 魔族はすぐに判断を変えた。長剣を捨て、短剣を抜く。距離を取るための動き。



 振るわれる刃。


 


 ——遅い。


 


 刃先を、見ていられる。


 


 身体が自然に前へ出ていた。


 踏み込み。


 視界が一気に詰まる。


 兜の奥、瞳孔が見えた。


 


 次の瞬間。


 俺の拳が、そこにあった。


 


 鈍い音。


 兜と頭部が同時に潰れる。


 手応えが、拳に残る。


 


 それで終わりだ。


 ...そう思っていた。


 気配がする。


 もう一体。


 


 木の影。


 聞き取れない言葉。


 だが、理解はできた。


 ——詠唱。


 

 地面に落ちていた長剣を拾う。


 ——壊れる。

 

 瞬間的に分かった。

 

 それでも構わない。

 

 そのまま、投げる。

 

 一直線。

 


 長剣は木ごと魔族を両断し、そのまま地面に突き刺さった。

 


 一瞬の静寂。

 


 直後。



 剣が、折れた。

 


 刃が砕け、地面に散る。



 ……やはり、か。


 

 それで終わった。


 

 静寂が戻る。

 


 俺は立ったまま、動かなかった。


 

 風が吹く。



 何もない。


 

 ——俺は、何のために戦っていた。


 

 言葉が、浮かぶ。


 

 ——何が、生きる意味だった。

 


 答えは出ない。


 

 だが。

 


 ……あのとき、俺はまだ知らなかった。



 この問いに、最後まで答えが出ないことを。

 


 俺は歩き出した。


 

 ——あと少しで、思い出せる気がしたからだ。

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