【番外編】戻ってきた宮廷魔法使い
災厄の日から三年ーー、
西の大魔女ユラによる被害から、王都も復興の兆しが見えてきていた。
刻が止まっている間のことは誰も覚えておらず、失われた十年の間に、一人の少女が世界を救ったことなど知る由もなかった。
ウィルトール王国では、難を逃れた王子が新しい国王となり、穏やかな治世が始まった。
そんな中、辺境の屋敷を訪れる男が一人......
「なぁ、ルーカス。いい加減、宮廷に戻ってくれよ〜。魔族がいなくなって平和になったとはいえ、まだまだ魔法使いの数は足りないし、仕事も山積みなんだよ〜」
泣きつくエレンを見ることなく、ルーカスは魔導書を読み続けていた。
「...またその話か、そのことだがーー、」
何かを言いかけたルーカスの後ろから、笑顔のステラが現れた。
「よ!久しぶりだなステラ...あれ?なんか雰囲気変わった?」
「お久しぶりです、エレン様...ふふ、実は」
ステラが何か言おうとしたが、すかさずルーカスが立ち上がって、ステラとエレンの間に入った。
「ステラに話しかけるな、見るな、寄るな。...ステラも、まだ寝ていろ。顔色が悪い」
そう言うと、抵抗する彼女をお姫様抱っこして別室に連れていく。
「まだその面倒くさい嫉妬続いてるのか。せっかく久しぶりにステラに会えたのに...」
エレンが呆れた顔でルーカスに言う。
「今は大事な時期なんだよ」
「大事な時期...?」
エレンが先ほどのステラの姿を思い出した。
少しふっくらしたお腹...ルーカスの異常なまでの過保護っぷり......まさか!
焦るエレンが口をパクパク動かして何かを言おうとしたが、驚きのあまり言葉が出ない。
「...お、おめでとう?...なのか...?」
「ああ...、ありがとう。でもまだ体調が安定しなくてな。宮廷に戻る話だが...先日、国王がここに来たんだ」
「こ、国王陛下が!?ここに!?」
「先王と、異母妹である王女の件を謝罪された。俺は追放された宮廷に戻る気など微塵もなかったんだがーー、ステラが許す代わりに追放される前の地位に俺を戻してほしいって。俺の力で自分だけが幸せになるんじゃなくて、この国のみんなを幸せにしてほしいってさ。...アイツらしいよな」
「そっか.....じゃあ、戻ってくれるのか!」
「子どもが無事に産まれてからだけどな」
「大丈夫さ。なんたって世界を救った偉大なる元魔法使いと、宮廷から追放された最強の宮廷魔法使いの子なんだから」
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その後、ルーカスは再び宮廷魔法使いとなり、ウィルトール王国は歴史上で最も栄えた時代を迎えた。彼に最愛の妻と娘がいることは国中の誰もが知るほどの溺愛っぷりであった。




