か弱すぎる
よろしくお願いします。
あれ、ここはどこだ……?
目を開けると、やけにふかふかのベッドの上だった。見上げれば、豪華すぎる天井。どう見ても一般家庭じゃない。
――屋敷、か?
「ファルク様が目覚められましたぁあああああ!!」
耳元で絶叫。
うるさっ。
というか、ファルクって誰だ?
周りを見渡す。誰もいない。
……俺?
「ファルク……って、俺のことか?」
混乱していると、バタバタと大勢の足音が近づいてくる。
ぞろぞろと人が部屋に雪崩れ込んできた。
召使いっぽいのが大量に、その後ろに明らかに身分の高そうな3人。
和服…….
「ファル!よかった……!」
「お兄様、ご無事で……!」
え、もしかして俺の家族っぽい?
「……あのー、どなたでしょうか?」
空気が止まった。
「え?お兄様!?私です、長女のフィアーネです!」
「次女のセリーヌですよ、?」
「三女の、サーシュですよぉ……!」
末っ子のサーシュが今にも泣きそうな顔をしている。いや申し訳ないがほんとに誰ですかーーというかなんでそんな北欧っぽい名前で和服なんですか?
これ、もしかして。転生した感じ?
「記憶が……ないのね……」
フィアーネが、ゆっくりと俺の手を取った。
「少し調べますよ。手を出して」
言われるまま差し出す。
そしてーー彼女の顔色が変わった。
「……え?」
「どうしました?」
「HPが……」
その声は震えていた。
「……2・しか、ないわ」
ーーは?
「ん?に?」
いや待て待て待て。2??え、2!?!?
「それって、あと2減ったら死ぬってことですか!?」
「落ち着いて!回復すればいいの!本来あなたはHP10000なのよ!」
10000からの2!?落差やばすぎだろ!?!?
「ほら、この回復飴をーー」
手渡されたのは金色の綺麗な飴玉だ。
そして言われるがまま、口に投げ入れる。
ーーえ、思った以上に甘い。
……いや、ちょっと待て、でかくないかこれ。
でも結構うまい!!
ごくっ
「うぐっ」
あ……やばい。
ーー詰まった。
「ゔっ」
息が、できない。
「え?」
「え?」
「ファ、ファル!?」
やばい、これ。苦しい。マジで死ぬ。
息が……吸え…な……い………
意識が朦朧としていく。
ーーHP2のまま、のど飴で窒息死とか洒落にならないんだが!?
◇◆◇◆
あれ、ここは……って、え、ちょ、さっきと同じ……?
天井。ベッド。あのやたら豪華な部屋。
「ファルク様が目覚められましたぁあああああ!!」
ーーえ?いや、まてまて。そんなはずはない。
俺はさっき、のど飴で窒息してーー
「……死んだ、よな?」
手を見る。震えてる。
心臓は動いてる。息もできる。
なのに。
状況は、完全に巻き戻っていた。
え、どういうこと?
もしかしてHP2で生き延びなきゃ行けない感じ?
バタバタと大勢が部屋に雪崩れ込んでくる。
「ファル!よかった……!」
「お兄様、ご無事で……!」
いや、間違いない。同じパターンだ。
「あの、本当にどなたですか?というかここはどこですか、セリーヌ、フィアーネ、サーシュさん?」
あえて名前を呼んでみる。
少しでも“前回と違う展開”になるか試すために。
「覚えていらっしゃるのね!よかったわっ!お兄様!!」
フィアーネが叫ぶ。俺は正直びっくりした。顔立ちは穏やかそうなのに、急に大声で叫んだからだ。
それにしても、
——やっぱり同じだ。
記憶は引き継いでる。でも、状況はほぼ固定。
(なら——変えるのは俺の行動か)
俺はゆっくりと布団から起き上がった。
前回はここで、のど飴を食って死んだ。
なら、その前に動けばいい。
床に足をつける。
その瞬間ーー
「ーーは?」
さっきまで寝ていたベッドが、動いた。
いや、違う。
ベッドだと思っていたそれは、
巨大な“黒豹”の背中だった。
「グルルル……」
え。こんなことあんのかよ?
低く、腹に響く唸り声。
黄金の瞳が、ゆっくりとこちらを向く。
「……え、」
HP、2。
誰が怪我人(?いや知らん)を巨大な黒豹の上に寝かすか?
まあ、みた感じはすっげえかっこよくてかわいいけれども。肉食動物だぜ、?
はっきりと俺の顔が豹の黄金の目に映っている。
あれ?
こいつの右目と耳って……
「ちょっと待っーー」
ーーガブッ。
ฅ(ΦωΦ=)ฅ ガブッ




