59.エピローグ
「何か良い案でも…」「はい、いくらでも有りますよ。例えば…ガス、電気、水道はいかがですか?電気などは雷を縮小し、カプセルに詰め込んだモノが440個も貯まってますよ。1カプセルで地球全体の約半年分がまかなえます。ガスも火山の中から頂いたモノが286個あります、内容は電気と同じです…水などは海水を無制限に飲み水に変える事が出来ます…地域によって、行き届いていない所がけっこう有るんですよ。その国、その地域の会社の半額で提供するんです…きっと喜ばれて、儲かりますよ…儲かったお金は、ベイ博士が全て自由に使って下さい」「ありがとうございます…前向きに考えます…」と言っている時に、匠から「ベイ博士、建物の改築工事が終了しました」と声をかけられた「匠さん御苦労様でした」と言うのと同時に…たくさん出ていたアームが全てスカイシップの中に消えて行った…その後に現れたのは…30階建のビルがデンっと建っていた。周りに集まって居た人達は「えっ…?さっきまで、何だか倉庫みたいな建物…だったけど…」と言っては見たが、その後の言葉が出てこない。ボブはオトール達に向かい「本当は、ジムの方に遊びに行くだけ…と思っていたんですけど、女将さんから「ジムが大変です」と聞いたものですから、ビルのオーナーになりました」と言った。オトールは頭を深々と下げ「ありがとうございます、空港からこの場所に来るまで、妻には「何とかするから」と言いながら、本当は不安でたまりませんでした」と言った。ボブの横からリンダが「奥様は…もう落ち着きましたか?」とリズに尋ねた、するとリズはサマンサの手を握りながら「…すみません…実は…私達は今も不安な気持ちでいっぱいなんです」と言った。リンダはボブの顔を見ながら「もし私達に出来る事が有れば遠慮なく言って下さいね」と言うと、今度はサマンサが「私の主人も、オトールさんも…数字に弱いんです…経営者に向いてないんです…」と言って涙ぐんでいる、リンダは(あっ、本当の悩みだ、マジな話しだ…)と思った。数字に弱いと言われたオトールとバレンは、恥ずかしさのあまり目を伏せてしまっている…ボブは2人に向かい「もし宜しければ…私達夫婦がジムの経営をしましょうか?妻のリンダは、数字が大好きです、カロリー計算の数字から、会社を発展させる為の数字の計算に至るまで…本人を前にして言うのは何ですが、本当に頭の回転が早い女性です…」と言った。するとオトールとバレンは満面の笑みを浮かべ「宜しくお願いします」と声を揃えて頭を下げた。ボブとリンダの申し出に…リズとサマンサの喜びようは…まるで子供のように飛び跳ねていた。その様子を観ながら、手を叩いて喜んでいるディックの肩を…ポンポンとたたく人が…ディックは「えっ?」と言いながら振り返った「ディック、試合、頑張っていたね、身体は大丈夫…」「…母さん?」「うん、2時間ほど前に…あちらの方が、私達の荷物を全部まとめて下さり、ここまで送って下さったの…」ディックは母親がしめす方に視線を向けた、匠と女将である。ディックは2人に駆け寄り何度も頭を下げながら御礼を言った…すると女将が「もう頭を上げて下さい、下げたままだと、大事なモノが見えませんよ…」と言って…女将と匠は左右に別れた…真ん中に立って居たのはディックの婚約者…ロゼである…「ディック…」「ロゼ…」抱きしめ合う2人…するとボブがソッと2人の耳元で「…はい、これはディックの部屋の鍵だよ、五階の503号室…君のママの寝室と、2人の寝室の間には、キッチンとお風呂があってさ、なおかつ…2人の寝室は防音室になっているからね」と言ってウィンクをした。ディックとロゼは真っ赤な顔で「ありがとうこざいます」と言って微笑んだ。すると今度は、周りに居る人達の肩の上で、しきりに手を上げているホタル達が居る…10人のシークレットファミリーはホタル達に目を向けた。ホタル達は誰の視線が自分達に向いているのかちゃんと分かっている…「〈男〉グレイさん、こちらの青年は腰のヘルニアで苦しんでます、〈女〉助けてあげてください」と言い。また違う所に居るホタルは「〈女〉アンジーさん、こちらのご婦人は乳ガンなんです、〈男〉治してあげてください」と言った。ホタル達の上げている手の数は全部で128……10名は一斉に動いた、その時間…わずか97秒、フリーをまとっている10名は物体を通り抜ける事が出来る、当然人間も通り抜けられる、だから助けて貰った方からすれば、人を通り抜けて勢いよく自分の前に来てくれ、なおかつ病気を、アッと言う間に治してくれる、誰もが10名を「あぁ神様…」としか言いようがなかったが…10名はそのつど「お気になさらず、偽善者のする事ですから」と言って微笑んだ。治して貰った人の中には、リッチエンドを護衛をしているスーツ姿の男性も入っていた、それも3人…腎不全、癌、白血病である。リッチエンドは自分が働かせ過ぎたのかと、深く反省していた。ベイは「匠さん、建物も完成しましたし、病気の方達も治しましたし、ボチボチ帰りましょうか?」「はい、了解しました」と匠が答えると、フリー達は自分の主人の耳元に行き「スカイシップに戻る時間に成りました」と一斉に呟いた。ボブとリンダは、オトールと、バレンと、ディックに向かい「3日後にまた来ますので、その時に色々な取り決めごとを話し合いましょう。もしギンバレーさんの時間が空いていれば、誘って、一緒に来ますから…とにかく3日間、ゆっくり身体を休めて下さい」と言って握手を交わした。…そして10名は、ホタル達に手を振り…皆んなが見ている前から…突然姿をパッと消した…誰もが一斉にスカイシップを見上げた…スカイシップは一度…青い色にファっと光り…そのあと…音も無く、周りに風を起こすことも無く…わずか数秒で、その姿を天空に消し去って行った。見送る人達の間から(握手をしてもらった、病気を治して貰った、怪我を治して貰った、お喋りが出来た…会うことが出来た…)そんな思いの入った「おオォッ〜…」と言う声が上がった。。。デッキに戻った8人は、次の指示が出るのだろうと女将と匠の顔を見つめた…が…2人はピクリとも動かない、7人は一斉にベイの顔を見た、ベイは微笑みながら「大丈夫だよ、今2人で何かを相談してるんだよ…たぶん僕の予想だけど…この間…ボクシングの試合会場で、僕達8人の存在を世界中に知らさせたでしょう…きっと現場のホタル達から、色々な意見や要望が出て来ているんだと思うよ…」と言い終わると同時に2人が動いた。まず女将が「皆さんスミマセン、70億を超えるホタル達から…いっせいに報告が入って来まして、今まで匠と2人で分析をしていました」すると匠が「皆さん一度椅子に座って頂き…少しご相談したい事があるのですが…」と言った、ボブが思わず「凄い…ベイ博士の言う通りだ〜」と呟くと、ベイは笑顔で頷きながら「…さぁ皆んな…作戦会議だよ、心の準備はいいかな?」と言った、7人は少しドキドキしながら椅子に腰を下ろした。女将は小さく微笑んだ後に「…結論から申しますと…イジメの原因がほぼ、同じ方程式と言いますか、同じサイクルで動いているようなんです、あくまでも、ほぼ、ですよ。…例えば1人の女の子が、イジメられている対象だとします、女の子は少しだけ皆んなと違った意見を言っただけです…そこから複数の男女友達に目をつけられ、イジメのスタートです…イジメている子供達には共通点が有ります、家庭で親からイジメられているパターンと、親が子供に期待をかけ過ぎ、精神的に押さえ付けているパターンです。なぜ親が子供を抑圧するのか…仕事場でのストレスです、思うように結果を出せないと、上から叱責をされます…なぜ上司が部下を叱責するのか?…経営者(社長)から叱責を受けるからです…」リンダは頷きながら「業績が悪化すると会社の存続が大変ですからね〜経営者も必死ですね〜」と言うと、匠が「そうですね〜、でも…怒らない社長も居るんですよ、部長に対して「君のお陰で何時も社内が明るい、活気がある…ありがとう」と褒める、すると部長は嬉しくて、課長に「君が課をキチッとおさめてくれて居るから、会社の業績が伸びてるんだね、ありがとう」と言って褒める…すると課長は、部下を褒めて可愛がる…お父さん達は嬉しくて、家に帰ったら妻子を可愛がる…平穏な気持ちの子供達は、ほぼ、イジメには加担しません…と言う、女将が初めに言いました…サイクルと言う、ものに成っているようです」と言って8人の顔を見つめた。ベイは2人に向かい「でわ…具体的に私達はどうすれば…?」女将は微笑みながら「イジメられて居る現場に直接現れ…泣きそうな子を、泣いて居る子を…抱きしめて「大丈夫、私達がついてるから」と言うような…優しい声をかけて下さい、それだけでいいです…その光景を見たイジメっ子達は頭の中で(ヤベェ〜世界を救ったヒーローを敵に回しちまった、前にテレビのボクシング中継で言ってたよなぁ…)と思います…ただ…少し人数が多いいのですが…」と言うと、ボブがリンダの肩を抱き寄せながら「俺たちなら大丈夫ですよ」と言って親指を立てた、するとジョニーもグレイも自分の妻の肩を抱き寄せ…親指を立ててくれた。匠は嬉しそうな顔で女将を見つめた、女将は頷き「…世界中で、四億九千四百万人ちょいの人達が対象です、よろしくお願いします…」と言うと、一瞬ボブは、目が点に成ったが「よっしゃ〜全力で励ましますよ」と言って拳を顔の前に構えて見せた、7名はボブの勢いに合わせ「やるぞーー」と言って拳を高々と上げた。…8人はそのあと3分後から、世界中に瞬間移動で姿を現わす事に成る。。学校に向かう1人の女の子が居た…その7メートルほど後ろに11名の男女が付いて歩いている、彼らはわざと女の子に石や木切れを投げつけて居る…女の子は自分の頭をかばい…泣きながらトボトボと歩いていた…その時、女の子の目の前にベイとメリーがパッと現れた、メリーは両手で女の子の頬を包み込むと「何歳ですか?」と尋ねた、女の子は涙を流しながら「…8歳です…」と答えた、メリーは女の子をギュッと抱きしめた。ベイは11名の子供達を睨みながら「フリー・ベー、ストップモード、子供達の目と耳と口を塞いで…3分間」「了解しました」ベイはメリーと女の子と一緒に学校の教室に瞬間移動をした…教室の中には13名の生徒と先生が…突然現れた3人を見て腰を抜かした、ベイとメリーの事をテレビで見て知っていたからである。メリーは教師に向かい…静かな口調で「この子がイジメられて居る事を知っているわよね…先生…ガッカリさせないでね」と言った後に女の子を下に降ろし「私達は、貴女の味方よ」と言って教室の中からパッと消えた。…この後の話…11人の子供達は、両親と警察官3人を連れて学校に乗り込んで来た…親達は教員と校長に向かい「うちの子が何をしたと言うの、突然変な男女が現れて子供達が酷い目に有ったのよ、だから警察の方にも来て頂いたの…学校はどのような対処をしてくれるのかしら?」すると校長は穏やかな口調で「子供さん達は…1人の女の子をイジメて居ました、なので学校は、あなた方の申し出に対して、なんの対処もしません…」「そんなバカな、うちの子に限ってイジメなんて…そんな事はしません」と言って校長と教員達を睨み付けた、すると校長は「先程この学校に神様が来られました…私達は神様にケンカを売るような事は出来ません…もうあなた方の身勝手な理屈は聴きたくもありません、なんなら転校されたら如何ですか…」イジメっ子と親達は騒ぎ出した…するとその場に…ベイ達8人がパッと現れた…驚きながら敬礼をする警察官…申し訳無さそうに頭を下げる校長と教師達…腰を抜かす33人の親子「…お前達の顔…忘れねえからな…」とだけ言ってパッと消えた…校長と教員達は一礼すると、黙ってその部屋から出て行った…ホタル達はそう女将に報告を入れた。。。ある高校の…教室の後ろで、2人の男子が6人の男子から暴行を受け、お金を取られて居た…そこにボブとリンダがパッと現れた、教室の中はパニックである、そうテレビに出て居た神様が目の前に居るのだ、しかしボブは次の瞬間、一瞬にして6人を殴り倒した、教室の中はシーンと成った、リンダは黙って2人のケガを治した…ボブは6人以外の生徒達の顔を見回し「傍観と言う名のイジメも…タチが悪いよな…でも、まだ間に合うよ…」と言い…6人に向かって「お前達の顔、覚えたからな」と言い、更に2人に向かい「俺達は、君の味方だから…」とだけ言ってリンダと共にパッと消えた。…この後の話…6人は立ち上がると2人に殴り掛かろうとした、するとクラス中の男女が2人の前に立ち「させねえよ…」「どけよお前ら、どかねえと、今度は…お前達から金を取るぜ」と脅かした、すると「お前達、もう終わりなんだよ…神様のボブさんと、リンダさんに、ケンカを売ったんだぜ、もうお前達の言う事なんて…誰も聞かないぜ…」と言った。その時、学校で1番強くて、1番大きなグループのリーダーが…クラスの中に入って来た、彼はカツアゲはしない主義の男である「何の騒ぎだよ…」彼の登場でクラスの中は凍り付いた…誰もが怖いのである。6人の中の1人が怯えながら「いや…あの…こいつら全員生意気でさ…絞めてやろうかと思って…」すると殴られていた男子が「さっき…神様のボブさんとリンダさんが来てくれて、僕達お金を取られて居て…6人がボブさんに殴られて…」リーダーは6人に向かい「お前らまだカツアゲ何てしてるの、金が必要ならバイトすれば…でなに、神様にケンカ売ったの?…バカなの?」「…なんだよ、アンタはこっち側の人間だろ…」「違う…俺は弱い者には手を出さない…。あのな…信じて貰えないと思ったから…今まで黙っていたけど…俺の親父…死んだんだ。でもな、悪魔の使いだと言いながら…8人の神様が現れて、親父を生き返らせてくれたんだ。俺は、オレ達のグループは…お前らみたいな奴をぶちのめして…で…何もない時は勉強して…上を目指すんだ…言っとくけどお前ら、さっさとバイトにつけよ、毎月給料の7割を俺の所に持ってこい、取り上げた金は、被害者に返さないとな…いいか命令だ…お前らの家、知ってるからな…」と言って6人を睨んだ。腰を抜かす6人、歓声が上がる教室…ホタル達はそう女将に報告を入れた。。。子供達が友人と喋りながら、楽しそうに昼食をとっている…その部屋の、後ろの隅で…彼は今日も1人でパンを食べて居た。家が貧しく、ちゃんとした昼食を持ってこれない彼は(アイツの家、貧乏なんだぜ、ランチボックスの中にパンの端っこが2枚入っているだけなんだぜ)と皆んなから陰口を叩かれていた。しかし今日の彼は少し微笑んでいる、いつも通りの…パンのヘタが2枚だか…母親の機嫌が良かったのか?パンの間に、細かく刻んだキャベツとマヨネーズとハムが1枚入っているのだ(えへへ…今日はサンドイッチだ…)そう思いながら…パンを口にほおばった。昨日の夜9時に与えられた、スープとパンのヘタ3枚から15時間ぶりの食べ物である。彼は嬉しそうに半分まで食べた(美味しいなぁ…)と思って目をつむった瞬間、イジメっ子3人に囲まれ…パンを取られ…床に叩きつけられ…グチャグチャに踏まれた…こんな事は初めてではない…だから彼は(味わって食べるんじゃ無かった…急いで食べたら…もう少し食べれたのに…)と思った。3人は汚い言葉を使いながら彼の頭を叩いた…その時グレイとルーシーがパッと現れた…ルーシーは3人のイジメっ子に「離れて…」と言った、3人の身体は滑るように3メートル離れた。部屋の中に居る73人の生徒と、3人の教師は絶句した…(テレビで見た…神様って本当に居るんだ…)と思ったからである。ルーシーは「貴方の年齢はいくつかしら」「あの、ぼ、僕は、15歳です…」と言って…屈託の無い顔で微笑んで居る、彼からすれば(テ、テレビに出ていた、か、神様だ〜)と心の中で叫んでいた。しかしグレイは(とても15歳には見えない10歳くらいの体型じゃないか…)と思った、すると彼の肩に居るホタルが「〈女〉グレイ様、この子は家庭内暴力を受けています〈男〉食べ物は1日二食です、主にパンのヘタです」とグレイの耳元で話してくれた、すると更に部屋中のホタル達が、グレイとルーシーの元に飛んで来て、匠から色々機能を追加してもらいイジメっ子達の夢枕に立ち、さんざん驚かせたが…自分達は未成年だから、人をイジメても神様にケンカを売って居る事にならないと、勝手に変な理屈をつけている…と言う事を伝えてくれた。グレイはあえて彼を立たせて上半身を裸にした…ガリガリの身体、殴られた跡、切り傷や火傷の跡…グレイは彼が両親から受けている暴力を、部屋の中に居る全員に聞かせた。「辛かったね…」とグレイが言うと、彼は「い、今は嫌な事が多いいけど…お、大人に成ったら、た、楽しい事が有るかも…知れないから…」と言って微笑んだ…ルーシーは彼の身体を治して行った…彼のお腹が「グゥ〜…」と鳴った、グレイが指を鳴らすと、彼の目の前にハンバーガーとポテトとコーラが…「このハンバーガーは僕が作ったんだ」するとルーシーが横から「これは私が作ったスイーツよ…私達はもう行かないといけないの」「僕達2人は…君の味方だよ」と言ってパッと消え…そして3人の教師の前にパッと現れ…「何時も観ているからね…」とグレイが言えば、ルーシーは「本当は…皆んな、良い子達なのにね…」と言って2人はパッと消えた。3人の教師は震え上がった。この後の話…彼が一生懸命にハンバーガーを食べていると…3人のイジメっ子が彼の前に来て「…ゴメン…そんな辛い目に合っているなんて…オレ達ぜんぜん知らなくて…本当にゴメン…」と謝った、彼は屈託の無い顔で…「いいよ…」と言った、3人は、こんなに弱い彼をイジメていた…自分の馬鹿さ加減が情けなくて…テーブルに思い切り頭を打ちつけて、もう一度「ごめんなさい…」と謝った、その後の3人は、彼に寄り添う…良い友達になった…とホタル達はそう女将さんに報告を入れた。。。何の心当たりもない…もう何年も前から、先生以外の人と…お喋りをした事がない…施設の中でも…話し掛けたら無視をされる…「はて?私の姿は見えて無いのだろうか…私って透明人間なのかしら?でも廊下に設置されて居るロッカーの前で…」何度も「どけよ気持ち悪い女だなぁ…」と言って突き飛ばされた…「見えて居るのね…」と小さな声で呟きながら、散らばった自分の教科書をカバンに入れた…そして誰とも話をせぬまま…今日、卒業の日を迎えた。誰もがパーティーがあるとか言ってさっさと教室から出て行った…教室に1人残った彼女は「…映画のように…誰かに誘われる…なんて言うキセキは…起きないのよね…」と呟いた…誰もいない廊下…何気なく鏡に映る自分に向かって「…私ってそんなに気持ち悪いのかなぁ…確かに左眼は半分しか開かないし、少し顔が歪んでいるわね…昔母親が連れ込んだ男に、ビール瓶で殴られたって…赤ちゃんの時の事なんて…覚えてないけど、施設の寮母さんが教えてくれたのよね…もう18歳なのよね…施設に居れるのは、あと1か月か…住込みの就職先が見つかるといいなぁ」と独り言を言った…すると誰も居ないと思っていた隣の教室のドアがいきなり開き「アンタの事なんか誰も雇うはずがないでしょ、バカじゃないの」と言っていきなり突き飛ばされ、床にベチャッと倒れた瞬間…バケツの水を頭から掛けられた。帰ったはずのクラスメートが全員そこに居た。3月のまだ寒い昼さがりである、彼女は震えながら一刻も早くこの場を去りたかった、しかし皆んなに囲まれて…さんざん悪口を言われ、挙げ句の果てに「ねぇアンタに夢なんてあるの…?」「…あるわ…」「アンタが夢なんて見ちゃダメよ、なるべく早く死んだ方がイイわよ…ところで夢ってなに?」「…なるの…」「えっ聞こえないけど」「ラジオのDJになりたいの…ジョニー&アンジーさんみたいな…」すると全員から「バカな夢、なれる訳ないじゃん、今やあの人達は、神様だぜ」と言って笑われた。そこにジョニーとアンジーがパッと現れた。絶句して動けない生徒達…「遅く成ってゴメンよ、少し忙しくてね…お嬢さん、御名前は」とジョニーが尋ねた、彼女は震えながら「ピ、ピーチです…」と答えた、アンジーはしゃがんでピーチの手を握り「可愛い名前ね…ピーチはDJに成りたいの」とアンジーが尋ねるとピーチは泣きながら「はい…」と答えた。ジョニーはピーチの頭を撫ぜながら「僕達のアシスタントから初めてみない…色々な勉強をしないと行けないけど…頑張れるかい」アンジーはピーチを抱き起し「頑張れるわよねピーチ、私達2人が教えてあげる。今日、卒業したのよね、御祝いをあげないとね…」と言ってマシンを起動させて…眼と顔を治した「フリー・アー、鏡をお願い…ピーチ見て…ほら…可愛いわよ…」ピーチは鏡を見た後に、アンジーにしがみついて泣き出した。ジョニーはピーチに「住込みが希望だよね…ボブとリンダがビルのオーナーに成ってるんで、住む所は大丈夫だよ、今から施設に行って荷造りをして…部屋に送って行くよ、それと今夜…少し遅く成るかも知れないけど、僕達10人で、ピーチの卒業パーティーをするからね」と言う言葉を残して、3人はパッと消えた。ジョニーとアンジーは、周りの生徒達の顔を一度も観なかった、アンジーはジョニーの耳元で「ねぇ、学生達をワザと無視したの?」「そうだよアンジー…でもフリー・ジーに言って彼等の写真は撮って有るよ…彼らは、残念ながら、不測の事態の時…生き返る特典を失った人達だよ」と言って微笑んだ。。8人はこういった瞬間移動作戦を4ヶ月続ける事に成る…その為、8人をたとえ…チラッとでも見る人達が40億人を超え…彼等の存在感は、かなり身近なものになった。 第17 〈…エピローグ…〉
そして…それから6年が、あっと言う間に過ぎた…。…ギンバレー氏は呼ばれれば、テレビでもラジオでも、何にでも出て行った。自由気ままに好きな事を言うのだが、奥さんと子供を大事にしている優しい所が視聴者からウケるのか、常に色々な所からお呼びが掛かった。彼は今も、テレビ出演やコマーシャルなどで稼いだお金を、あいも変わらず…自身が住む地域の活性化と、青少年育成に使っている。こういった事も人気の1つなのかもしれないが…とにかく1週間の内に4回くらいはテレビに出ている。…そして自身の楽しみとして、3週間に1回、ギンバレー夫妻はボブ夫妻と一緒にオトールのジムに行く、ボクシングをしたいのだ。ギンバレーとボブ…2人がヘッドギアを着けてリングに上がる…するとジムの中はネットで調べたのか?…2人のファンでいっぱいに成る…試合は6ラウンドまで…「いくら好きでも無理はやめて」と言う2人の婦人の意見を尊重している。レフリーはバレンコーチが行う、内心ドキドキである…オトールがゴングを鳴らす…試合は現役の時より激しい打ち合いが続く…ファンの人達は2人が好きなのだ、だから声も出さず…泣きながら拳を握りしめて試合を見つめる…6ラウンド終了のゴングが鳴った。ボロボロの2人は…お互いを讃えてハグをする。ファンの歓声と拍手がなかなか鳴り止まない…満身創痍の2人にリンダがマシンを当てる…3秒で復活する。その後はサイン会、グッズ販売、写真撮影会と…2人はとにかくファンを大事にする…ギンバレーもボブも、この日が大好きである。。。リチャードスミス氏は5年前に空軍を退役し、現在は軍の評論家としてテレビやラジオなどで活躍し…また講演会などでも沢山の所からお呼びがかかって居る。けっして空軍が嫌になって辞めた訳ではない、世論がマスコミを通じてリチャードスミスという人間を、メディアに招集したのだ、早い話が人気があったのである。外見は…少し怖そうな顔、がっしりとした体格、なのに礼儀正しい話し方と、たまに見せる優しい笑顔…視聴者はこのギャップがいいらしい…。当初、軍の上層部は困惑した、しかし「軍の外側から、如何に軍が地域社会の治安維持の為に活躍しているのか、有事の際にはどれだけ世の中に貢献するのか、その事を語ってくれる人が居ると、軍のイメージアップにつながる…彼に…こちらからお願いしよう」と言う事になり、リチャードは軍を退役し…軍の評論家と言う、第二の人生をスタートさせる事に成った。リチャードは家に帰るとさっそく妻に相談した「マーガレット、僕のマネージャーに成って欲しいんだけど…ずっと君と一緒に居たいんだ…」「リチャード、私の心の中には「はい」と言う答えしかないわよ、貴方が言ってくれなかったら…自分から立候補するつもりだったのよ」と言ってキスをしてくれた。一度死んでいるモノ同士…離れる事が怖いのである。マーガレットはマネージャーとしての腕をふるった、夫の身体に無理の無いように、スケジュールは常に余裕のあるものにした。テレビ局の控え室に案内される2人、打ち合わせが終わり2人だけになると…マーガレットはスケジュール帳と時計を見る、そしてドアの鍵をかけると…一直線にリチャードの膝の上に股がり、お呼びがかかるまで…ズッとキスをしている。リチャードは心の中で(パイロットの後輩達、ごめん…俺は君達に「ジェット機に乗っている時が一番幸せだ」と言ってきたけど…今は、妻を膝の上に乗せて居る時が一番幸せだ…本当にゴメン…)と思いながら…マーガレットを抱きしめる、と言う毎日をおくっている。。。そして…ボブとリンダの間には、5歳の女の子と、3歳の男の子がいる。女の子はママに似て頭が良い、毎日ニーナに数字の勉強を見てもらい…ニコニコしている。男の子は絵を描くのが好きなようで「これパパとママの絵だよ、キスしてるの。こっちは、お姉ちゃんと僕…パパとママがお仕事してるの…見てるんだよ」と言ってボブに見せる、ボブは目を潤ませながら「とっても上手く描けているよ…将来は絵描きさんかな?」そう言って抱きしめながら頬ズリをする。しかし血筋とはすごいモノで、ボブとリンダがジムのオーナーの仕事をしている時…息子はジムの中に入って行き…気が付けばいつの間にかバレンコーチからボクシングの指導を受けていた。リンダは微笑みながら「ボブ…画家とボクサー…どっちかいいと思う」ボブはリンダの腰に手を回すと「画家がいい」「なんで?」「綺麗なママの絵を描いて貰うんだ」「もぅ〜ボブったら…」と言ってキスをする。あいも変わらず、ボブはリンダが大好きである。。。ジョニーとアンジーの間には、5歳の男の子と、4歳の女の子がいる。両親の影響をしっかり受けている2人は、音楽鑑賞と映画鑑賞が大好きである。ジョニーとアンジーは6年前から週に2回…世界各国に向けて、ラジオ番組を流している。スタジオはボブとリンダのビルの27階。2人が世界中の言語を話せる訳ではない、2人には世界最高峰の同時通訳者がいるのだ、その名は…女将。今、ラジオを買えない人達の家にも必ずラジオがある、それは何故か、適当な理由をつけて…[抽選の結果ラジオが当たりました]と言う事にして…どの家にもラジオを置くようにしたのだ。さて、ジョニーとアンジーのラジオ番組の中に[子育て何でも質問、相談コーナー]と言うモノを設けている。リスナーからの質問に答える、と言うモノではなく、ジョニーとアンジーが子育ての疑問点を提示して…リスナーが答えてくれると言うコーナーである「お姉ちゃん、逆じゃないの…」と言ったのは弟のグレイである「きっとお姉さんには考えがあるのよ」と、グレイはルーシーに叱られた。するとジョニーが「今ね…子育てが苦手だとか、中には子育てをしたくない、何て言う人が結構いるんだよ…だから、僕とアンジーも苦戦してますよ、って言う感じにしておけば「えっ〜あの人達も苦戦してるんだ、じゃあ私も頑張ってみるか」なんて思ってくれたらいいなぁって思ってさ…」グレイは大いに納得したのか「すみません、そこまで深く考えて居られたんですね…」「いやグレイ、これは君の姉さんの考えた事だよ」と言うと、グレイは姉に向かい「分かりもしないクセに、口を挟んで、本当にごめんなさい」と言って頭を下げた。ジョニーとアンジーの番組の中にはリスナーに向けてプレゼントコーナーがある、クイズに答えてもらうと、毎回の番組の中で抽選し…10名の方に500ドルをプレゼント…みたいな感じである。コレはベイ博士が、10人のファミリー会議の席で提案した事である。世界中で働いて居るホタル達からの報告で、経済的に大変な人達がどれだけ居るのか、当然把握している…その方達が喜んで受け取ってくれる方法が、プレゼントコーナーと成ったのだ。しかし、このコーナーには嘘がある、当選者の数は10名ではなく毎回、10万名である。週に2回のラジオ番組…ジョニーとアンジーの掛け合いトークを楽しみにしているリスナーも多い「御二人の大ファンです、放送時間の3時間を4時間に増やして下さい…」と言うリスナーの声に、アンジーとジョニーは嬉しそうに微笑んだ。そして番組の中には毎回ゲストを招いてる、今回のゲストは、テレビで人気ナンバーワンの女性アナウンサー…グロリアである。「グロリアさんスミマセン…あと5分後にスタジオの方にお願いします」と言って頭を下げるアシスタント「はーい了解です。あっ…ピーチ、アンジーさんに聞いたわよ、来週から1つの番組を受け持つのよね、おめでとうピーチ」「ありがとうございます…」と涙ぐむピーチを抱きしめるグロリアは、今回で8回目ラジオの出演である。。。グレイとルーシーは、インターネットで料理教室のサイトを立ち上げた。値段の高い材料で無くても、スーパーで売っている食材でこんなに美味しい料理の数々が…と言うモノである、コレがかなりの人気を集め、沢山の人達が観てくれている。実は番組の中で作った料理も、抽選で10名の方にプレゼントしている、しかし、コレにも嘘がある、本当はグレイとルーシーが作ったモノと、同じモノを、女将が隣の魔法の部屋で作り上げ…10万食分を、匠が瞬間移動で当選した人の家に送る、するとホタル達がホログラムで宅配サービスを装い「すみません、お届け物です」と言って玄関先で手渡す…食べた後の食器はそのままプレゼント、料理の味も食器のセンスも、不評だった事は一度もない。ちなみに2人の厨房はボブとリンダのビルの26階である。グレイとルーシーの間にも、3歳と2歳の女の子がいる、2人ともパパとママに良く似ているせいか、お人形遊びよりもママの隣で、生クリームやチョコレートを混ぜる方が楽しいようである。「パパ見て…私達の手形ケーキ」ルーシーがせっかく作ったケーキの上に2人の手形が4つ…だがグレイは怒らない「ワォ…こいつはスゴイぜ、世界に1つしかないケーキの誕生だ〜」するとルーシーは、2人の手形の周りに生クリームをササっとあしらい「ほら観て、3人の合作よ」2人の娘はママとの合作が嬉しくて満面の笑みで飛び跳ねている…グレイは小声で「フリー・グー、三人の写真とケーキの写真を…お願い…可愛すぎる…」と言った、するとフリー・ルーがグレイの耳元で「グレイ様、常に皆さまの映像を撮って居ますよ、後でグレイ様の机の上に…写真を置いておきます」と言ってくれた、グレイは微笑みながらフリー達にウィンクをした。ルーシーは子供達にワザと小さい声で「世界にただ1つのケーキよ、皆んなにはナイショにして、4人で食べようか?」と言うと…娘達は嬉しそうに頷いた。。。そしてベイとメリーの間にも5歳と4歳の男の子がいる。皆んなと楽しく遊ぶのも好きだが…本を読むのはもっと大好きなようである。ベイとメリーが並んでソファーに座っていると、必ず息子達が膝の上に乗って来る、1人はパパで、もう1人はママの膝…2人とも一生懸命に本を読んで聞かせてくれる…パパとママは微笑みながら息子達の頭を撫ぜる、可愛くて撫ぜる、ひたすらに嬉しくて撫ぜる…そんな幸せを噛み締めながら、読み終わるまでズッと息子の頭を撫ぜた。。そんな8人の子供達を…見守り、遊び、躾け、教育してくれているのが、トムとニーナである。2人は、今年の1月1日…結婚式を挙げた。19歳のトムと17歳のニーナ…赤ちゃんの時に、親同士が結婚を望み、物心がついてからは、お互いが大好きどうしに成り…17年間の時を経て、やっと結ばれたのである。ベイは匠に頼んで、2人の部屋を用意してもらい…女将に頼んで、夫婦の夜の営みの講習会をコッソリと開いて貰った。やらしい話ではない、大人としてチャンと知らないと、いけない事なのである。結婚式が終わった後、2人は5日間の新婚旅行に行った、護衛役にはフリー・ベーとフリー・メー、そしてブレス達が着いて行った…ヨーロッパの新婚旅行から帰って来た2人に、8人の子供達が駆け寄った「先生、おかえりなさい」と言って…男の子達がニーナを見上げた「…ニーナ先生…お首…虫にいっぱい、かまれているよ」と言った。ニーナはとっさに(しまった…)と思った、すると女の子達は、腰に両手を当てて「大丈夫よ、あれはトム先生が吸ったの、キスマークって言うのよ、ねっそうでしょトム先生、ニーナ先生…」2人の顔は真っ赤に染まった。するとレイチェルが2人の耳元で「あらあら、因果は巡るのね、昔…あなた達2人に「パパとママは裸で抱きしめ合って居ます」って皆さんの前で言われたの、ねっ、人前で言われると、けっこう恥ずかしいでしょ…」ニーナは真っ赤な顔で「ママ、あの時は…ごめんなさい」と言ってトムの胸の中に顔を埋めた。ブラウンは2人に「恥ずかしがらなくていいんだよ、大人なんだし、愛し合っているんだし、新婚なんだから」と言った、すると女将はその言葉を受けて「そうですよ、この場に居る大人達は、愛し合っていると言う一点で、もう新婚でもないくせに、所かまわず、ズッーとベタベタしてるんですから…でも、夫婦は…それでいいんですよ」と言って微笑んだ…大人も子供達も皆んな素直に納得した。。。匠さんと女将さんは5年前に、ガス、電気、水道の会社を立ち上げ巨万の富を得ている、其れもそのはずである、世界各国、約30億の家庭に供給しているのに、配管、配線の工事は要らず、人件費などの経費は一切かかってないのだ。電気、ガス、水、などは全て瞬間移動で各家庭に届ける…それに料金の支払い方法も、ホタル達がホログラムを使って人間になり、集金業務をしてくれているのだから、もう笑いが止まらない状態である。其れで得た巨万の富は、世界中の経済的に困っている人達の手元に…8人のホログラムを使い、直接…さり気なく…湯水の如く配られて行った。。。ブラウンとレイチェルは、そんな20人の食事のお世話を、楽しみながらこなしている、5年ほど前からブラウン一家は、スカイシップの中に一部屋もらって住んで居る。皆んなで一緒に暮らしたいと全員がそう思ったからである。なのでホワイトホテルは現在…別荘として使っている。メリーが「レイチェルさん、ブラウンさん、毎日22名もの食事の用意、疲れていませんか」と尋ねると、レイチェルが「スカイシップのキッチンは魔法の国ですから、疲れるどころか毎日が楽しくて…」と言った。するとブラウンも「…毎日が夢のようです…下ごしらえが終わると、レイチェルと2人で窓辺のソファーに座って、外の景色を眺め…るんです……




