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トップシークレット  作者: toshimi1215
48/61

48.私のヒーロー


スカイシップが最後に向かったのは…日本の空軍基地である。軍の関係者達もパイロットの家族達も…黙って空を見上げていた…。ドローンの技術進化により太平洋上空の空中戦が、あまりにも鮮明にテレビ中継されていたので…日本のパイロットは誰一人として帰って来ない事を誰もが知っていたからである。地球を守る為に、日本を守る為に、愛する家族を守る為に…パイロット達は自らの命を惜しむ事なく捧げたのである。世界各国のメディアは英雄と言う言葉をふんだんに使い、彼らの行動を讃えてくれたが…父親を亡くした子供達や、夫を亡くした妻達は…(英雄なんかじゃなくていい…生きて帰って来て欲しかった…)と思っていたが…パイロットの名誉に傷つけてはいけないと、グッと下腹に力を入れ…泣かずに…涙が落ちないように空を見上げていたのである。その様子をスカイシップの中から見ていた日本のパイロット達は「…ごめん…本当にごめんな…」と家族に向かって謝る事しか出来なかった。ベイは微笑みながら「皆さん、今回の戦い、本当にありがとうございました。また、ご家族の方に悲しい思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした」と言って頭を下げた。パイロット達は(…生き返らせて貰って、こちらこそ、ありがとうございました)と思っていたが、感極まって声が出ず…自分達も微笑みながら頭を下げ返した。匠がベイの耳元で「皆さん罪の無い、善人ばかりで良かったですね」「はい、匠さんのおっしゃる通りです、悪い事をされた人は、亡くなった後に黒い影に連れて行かれますもんね、今の私達には連れ戻す方法が分からないですからね…今回の作戦に参加された世界中のパイロットの方達全員が、正しい方達で本当に良かったです」と言って、横にいるメリーの手をソッと握った。匠は静かに頷いた後に、女将と意味ありげに顔を見合わせた…。。スカイシップは滑走路に降りると透明シールドを解除した。いきなり目の前に現れた得体の知れない乗り物に、空軍の関係者も、パイロットの家族達も、そして数多くのマスメディアの人達も、驚きを隠せず…全員が身動き1つできずに…固まってしまった。ベイはパイロット達に向かい「…皆さん、今回の戦いに参加して頂き…本当にありがとうございました。家族の方達が首を長くして待っておられます、ここでお別れです、お元気で…」日本のパイロット達は、先に降りて行った各国のパイロットを見送っているので…ベイ博士の「お元気で」と言う言葉をきっかけに、全員がビシッと45度前方に頭を下げた…その後、隊長である田口が一歩前に出ると「生き返らせて頂き…本当にありがとうございました。なんと御礼を言えば良いのか、あの…ベイ博士は仏様なんですか?」と尋ねた、仏教の国…日本人らしい質問である、ベイは小さく首を横に振りながら「違いますよ、悪い人です。自然の摂理とか、色々な世の中の常識をくつがえすような事をしています、悪魔の使いだと思って下さい」「しかし地球を守ってくださいました」「気まぐれですよ、明日から悪い事をしますので…覚悟しておいてください」と言って微笑んだ、56人のパイロット達は小さく笑いながら(仏様のジョークって…今ひとつ分からね〜、何で悪魔の使い、なんて言うんだろう?)と思っている時…目の前の風景がパッと変わり、56人はスカイシップの外に出ていた…(えっ?)と思って振り返るとスカイシップは居ない、そしてもう一度振り返ると、目の前には家族が立っている…まずは絶叫、次に歓声を上げながら駆け寄る家族達、その後は…涙と抱擁とキスである。軍の関係者は驚きのあまりその場を動けず、マスメディアの中心者は「奇跡の映像をしっかり撮っとけよ!」と号令をかけた。。副隊長の村山利雄の胸の中に…妻の千代子が飛び込んで来た「あなた…テレビで日本のジェット機が次々と体当たりをして…大破している映像が流れていたの…もう絶対に死んじゃった、って…私ったら…取り乱してしまって…戦闘機から脱出する事が出来たのね…良かった、本当に良かった〜」と言って泣き出す千代子に…利雄は「いや、あの…ゴメン、本当は死んだんだよ」「お願い、悪い冗談はやめて、今ここに居るじゃないの…」と言って千代子は利雄の背中に手を回した。すると利雄は千代子の耳元で「あのね…実は、田口隊長も俺も、ここに居る56人のパイロット全員…と言うか、今回の戦いに参加した世界中のパイロット達は、大半が死んでるんだ、それをベイ博士と言う方が…生き返らせて下さったんだよ…」千代子はジッと利雄の顔を見つめている「…信じられない話しだよな…実は俺も今だに、夢だか現実だかよく分からないんだ…だってさ田口隊長が「ベイ博士は仏様何ですか」ってたずねたらさ「悪魔の使いです」なんて言うんだぜ…」すると千代子が「…あなた私は信じる、と言うか、見た…」と言った「えっ?なにを…?」「3日前に、貴方が任務の為に軍の宿舎に行った後…親友の娘さんが危篤だって言う電話がかかってきて、私が病室に入って直ぐに娘さんが亡くなって、親友夫婦が泣きじゃくっていたら、壁から男性と女性が通り抜けて来て…死んだ女の子を…生き返らせてくれたの…私は腰が抜けちゃって、女の子は元気に走り回っていて…親友の旦那さんが「ヘビー級チャンピオンのボブさんですよね?ボブさん夫妻は仏様だったんですね」って言ったら「とんでもない、悪魔の使いですよ」って言った後に壁の中に消えて行ったの」「…そんな事かあったのか…あのな千代子、さっきまで俺達が乗っていたスカイシップと言う乗り物の中に…ボブさんと奥さんも乗っていたよ…」と言うと千代子は「仏様って天才科学者の事だったのね」と言って微笑むと…利雄は笑いながら「ベイ博士、御本人が仏様じゃないよって言っておられるけど…絶対に…悪魔じゃないよね…」と言って、千代子を力一杯に抱きしめた。。上空1万メートルのスカイシップの中から…喜び合っている人達を見ながら、ベイがポツリと呟いた「終わったなぁ…やっと終わった…復讐も…地球を守る事も…」隣に居るメリーは、ベイの左腕を自分の胸の中に抱え込み「良かった、ベイの復讐が無事に終わって。そして良かった、犠牲者が1人もいなくて」と言ってキスをした…5秒後「ベイ博士、太平洋の島々に張っていたシャボン玉シールドと、各国の沿岸沿いに立てたゼリーシールドを解除しました」と言う匠からの報告が入った「ありがとうございました」と言う博士の言葉に、匠と女将はニッコリと微笑んだ。今回…空軍基地まで送ってもらった各国のパイロット達は、生き返らせて貰えた事を感謝しながら、心の中で(もう二度とあの方達には会えないんだろうなぁ…)と言う一抹の寂しさ感じていた…しかし先の話になるが…彼らは自分の生涯の内に2、3回スカイシップファミリーの誰かに会う事になる、それはパイロット自身が病気になったり、妻が事故に遭ったり、子供が災害に巻き込まれたりと、事情は様々であるが、何時もの通りに…壁から出て来たり、空から降りて来たりして…そして助けてもらう事になる。その中で、1番会う機会が多く、1番最初に再会したのはリチャードスミス氏である。彼は今、車の中で小さく震えていた。…10ヶ月ほど前に、最愛の妻マーガレットが原因不明の病気だと診断され、入院を余儀なくされていたのである。空軍基地に戻り仲間達と無事帰還できた事を喜び合っている時に「…すみません、今、病院から電話があり…奥様の容態が…」リチャードスミスは軍の車で病院に送ってもらい、車から降りると三階にある妻の病室まで…駆け上がって行った…病室のドアを開けようとすると先にドアが開き、中から三人のドクターと四人のナースが出てきた「…あの、家内は…」「お気の毒ですが…詳しい事は後ほど、説明させて頂きます」と言って病室から出て行った。部屋の中に入ると…18歳になる一人娘のパトリシアが、母マーガレットの手を握りしめながら泣きじゃくっていた…「すまない、パパ、間に合わなかったな…」と言って後ろから声をかけると、パトリシアは顔を上げ「…パパ。…ママがね…「パパは地球を救う為に戦うヒーローの…一人なのよ…だからママの側にいてはいけないのよ、って…ママね、学生時代からパパの事が大好きで…今日までとっても幸せだった…」って、2分前までパパを待っていたのよ…パパ、ママに触って…まだ温かいわ」そう言うと自分は立ち上がり母の手を父に渡した。リチャードは妻の右手を両手で包むと「…遅くなってごめん……」そう言うのが精一杯で…後は声を押し殺して…泣き出してしまった。そこにベイ達8人が、黒い衣装を身にまとったままで病室の中に入って来た…リチャードの肩にも、パトリシアの肩にも、そしてマーガレットの肩の所にも、ホタル達がチョコンと6匹で立って、笑顔で手を振っている、8人は微笑みながら、小さく頷き、手を振った。パトリシアは8人を見てとっさに(…パパは同僚の方が来て下さった…)と思ったのか、こぼれ落ちる涙を必死でぬぐいながら、平静な表情を作ろうとしたが、とにかく涙が止まらない…その時、母性本能が人一倍強いリンダが、スッとパトリシアの前に行くと…黙って両手を大きく広げた…お互いに初対面なのだが、パトリシアはリンダの胸の中に大きな愛情を感じたのか、吸い込まれるように入っていった。強く抱きしめるリンダ、背中をさするアンジー、頭をなぜるルーシー、周りを囲むボブとジョニーとグレイ…パトリシアはとうとう大声で泣き出してしまった。ベイとメリーはマーガレットの眠るベットの横に向かった。顔を伏せて泣いているリチャードスミスは、妻と初めて会った時から今日までの事を順番に思い出しているのか、周りに人が来ても…何も気付かない、メリーはその間にマーガレットを生き返らた。ベイはリチャードスミスの肩を…ソッと触った「リチャードさん…」スミスは声のする方に目を向けた「改めまして、今回は本当にありがとうございました。貴方の助言が無ければ、大統領は動いて下さらなかったと思います」と言う言葉に、リチャードは涙を拭きながら立ち上がると「とんでもないです…」と言って恐縮した。ベイは微笑みながら「急に押しかけて来たのは、リチャードスミスさんと、お友達になりたくて…あの奥様とお嬢さんを紹介して頂けませんか?」と言った。するとリチャードは妻を亡くした事で気が動転しているのか「…さきほど妻が無くなりまして…」と完全に自分が生き返らせてもらった事を忘れていた。ベイが更に「あの、リチャードさん…」と言った時である、後ろから「はじめまして…私はマーガレットと申します、リチャードスミスの妻です」と言う声が…リチャードは(えっー)と思いながら振り返った「あなた、お帰りなさい、出迎えが出来なくてごめんなさい、私ちょっと死んじゃってて…」と言う妻の言葉に「いいんだよマーガレット、実は僕も死んでしまっていたんだ」「そうなの?」「あぁ、こちらに居られるベイ博士に生き返らせて頂いたんだ、マーガレット良かった…君が居ない毎日なんて僕には耐えられないよ」と言ってリチャードはマーガレットを強く抱きしめ…そしてキスをした。パトリシアを抱きしめているリンダは、その様子を見ながら(よし一回キスをした…二回目もキスをしたな…3回目、よし、もういいかな?)と思った時に、パトリシアを胸の中からソッと離し「もう泣かないで、ほら…お母様が帰って来られたわよ」と言ってパトリシアの身体をベットの方に向けた「えっ?ママ?」と言う声に気づいた両親は娘を手招きした、パトリシアの奇声、喜びの足ぶみ…なかなか前に進まないので…リンダとアンジーが左右から手を添えてパトリシアを両親の元に連れて行ってあげた。母と娘が抱きしめ合う隣で、リチャードスミスはベイに何度もお礼を繰り返した「どれだけ感謝してもしきれません、何と御礼を言えば良いのか…」と言って涙ぐんでいる時に、リチャードスミスの携帯電話が鳴った、見覚えのない電話番号が表示されている(誰だろう?…イタズラ電話か…何らかの勧誘か…間違い電話なら…出ない方がいいかな)と考えている時に、フリー・ベーがベイの耳元で「ベイ博士、リチャードスミスさんに電話を掛けておられるのは、アメリカ大統領です」「ありがとう、フリー・ベー」ベイはリチャードスミスに向かい「その電話は大統領からです、出られた方がいいのでは…」と言う言葉に、リチャードスミスは慌てて電話に出た「…出るのが遅くなりまして、すみません…はい、ありがとうござます…そうです、アメリカ空軍だけではなく各国のパイロット全員が…生き返らせて頂きました…すみません私には分かりません…はい…と言われてましても…」フリー・ベーが…ベイの耳元で「無事で良かったと言う事、どうやって生き返らせてもらったのかと言う質問、ベイ博士に会えないだろうかと言う大統領からのお願いです」と内容を教えてくれた。ベイは頷きながらメリーの耳元で「僕がどこか特定の国の代表と仲良くしたらマズイよね」「そうね…かなりマズイわね…」と言った。その小さな声の会話を聞いたリチャードスミスは「…すみません大統領、気が動転していたのか、何も聴く事が出来ませんでした、申し訳ありません…はい…はい…失礼します…」と言って電話を切った。ベイは微笑みながら「ありがとうございます、助けていただいて」「とんでもないです、助けていただいたのは私と妻と、各国のパイロット…そして地球全体です。先ほどベイ博士と奥様が、特定の国の代表と仲良くしたらマズイ、と言われている声が聞こえたものですから」。。。。。

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