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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
6章  初心忘れること無かれ

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229 暗雲

Tips:〈形代人形〉

 素材・作成方法等全てが謎の、見た目は等身大の木製のデッサン人形。

 事前に魔力を込めておけば、破壊されるまで魔力を込めた者の身代わりとして機能する。

 しかしこれは形代であり、身代わりとしての機能は副産物に過ぎない。

 形代は己を人とする魂を、その身が朽ちる時まで待ち続けるのだろう。



「「………。」」

モグモグ…、ゴクン


 ………、さて。

 特に会話を弾ませるでも無く、黙々と昼食を摂った俺とソーナ。


「「………。」」


 しかし昼食を食べ終えたというのに、ソーナは去るでもなく俺の隣に座ったままだ。

 これがカティアであれば…ふざけ半分で俺に甘えようとすり寄ってくるのだろうが、ソーナは付かず離れずの絶妙な距離にいる。


(俺は一体何を求められているんだ?)


 立ち去らないということは、まだ用があるということなのだろうが…。

 …まさか「景色を眺めていただけ」というのは、この寒い中で「ただ掘り返されただけの土を眺めるのが好き」という変わった趣味があるわけでも無いだろう。


「「………。」」


 生来からモテる奴はこういう時に察して話し掛けられるのだろうが、美人な婚約者が3人居ようが俺は本来モテない側だ。

 そしてそろそろ沈黙が気不味さに変わってきているため、俺は素直に用件を聞き出そうと口を開く。


「…なぁ─」

「ねぇ、考えてみたんだけどさ…」


(おっ、とぉ…?)


 が、俺が言葉を発するより僅かに早く、ソーナが独り言のように話し始めた。


「…本当はね?ニーニャが居ても居なくても、チャトランが私を選ぶなんてことは無かったんだと思う。」


 そしておもむろに聞かされた話の内容に俺は内心で驚くも、今はとりあえず聞き手に徹することにする。


(はてさて…、何でそんなことになったんだ?)


 …確かに、この村でチャトランと同じ年頃の娘はニーニャとソーナの2人だけだ。

 しかし未婚の女となると他にも、カティアやマリ姉が魔法を教えているデリラそしてあと1人の…合わせて5人がいたわけだ。


 カティア達未婚娘3人は本来は出稼ぎと伴侶探しを兼ねて、他の若者達同様に街へ出る予定だったらしい。

 しかし自衛を促すための脅しが効きすぎた結果…怯えて街へ行くことを拒否したのだとか。


 猫人族の村では通常はそんなこと認められないらしいのだが、この件ばかりは忠告が行き過ぎたという非がある。

 そのため、チャトランの妻候補として自分の家に居候させている…とはボスの談だ。


 そして猫人族に限らず“家族以外の異性との同居”は、ほぼ婚姻関係にあるものと認識される。

 つまりあのクソガキは3人もの年上美人が妻になるものとして、口煩いソーナは蔑ろにされてしまったのだろう。

 …俺はカティアの姿しか知らないが…ソーナがこれ程に自信を喪失しているとなると、俺の予想はそこまで外れたものでは無いだろう。


「なのに私は自分の居場所が無いことを認めたくなくて…、せっかく村に戻って来れたニーニャには辛く当たっちゃた…。」


 そう言うソーナは心から反省しているようで、そこには血の繋がりが無くとも姉妹としての情が感じられた。


「でも今はね?ニーニャがあいつと結婚することになっても、ちゃんと「おめでとう」って言えそう。」


「っ…!」


 そう言って晴れやかな笑みを浮かべるソーナとは逆に、俺は胸を突かれたような感覚を覚えた。


「だって、私の世界はこの村だけじゃないって気付けたから。」

 

(これ以上は─)

 

 ─言わせてはいけない。


 何の根拠も無い…それこそ俺が事実を認めたく無いだけなのかも知れない。

 だが何か嫌なことが起こりそうな予感を感じた俺は、自分の勘の警告に従いソーナの話を遮る方法を探した。


 だが焦りにより、それらしい理由が浮かばない。


「それで…ね、それを教えてくれたのが貴方なんだけど─」


「あ!っと、そろそろ─」


 そこへ、ぼちぼちと畑に集まって来た村人達が目に入り、俺は作業の再開を理由にその場から辞そうと声を掛けることにした。

 他の誰かに何と言われようと、少なくとも今は“それ”を受けてやれる余裕が俺の心には無い。


「─ねぇラスト…。」


(間に合え─)


「貴方の側に、私の居場所を作れる余地は無い?」


 ─っ、………あぁ。


バッ!

「…って、いきなり言われても困るわよね!?

 すぐにじゃなくて良いから、ちゃんと返事は聞かせなさいよね!

 それじゃあたし行くからっ!」

スタタタ…

 

 俺がソーナの告白に呆然としている内に、当のソーナは恥ずかしくなったのか、色々とまくし立てると駆けて行ってしまった。


(………、あ~…。)


 ニーニャとの関係に関しての悩みとソーナの告白により、俺の心は飽和(キャパオーバー)を起こし頭の中がぐちゃぐちゃだ。

 しかしこういう時にこそ厄介事が更に重なるわけで…。


「これはこれは、皆さんお揃いで精が出ますな。

 新しい畑の開墾ですか?」


 新たに村に訪れた人間種の男二人組。

 そのうち、もう1人とは正反対に戦えそうに無い草臥れた服の男が、畑に集まっていた村人達を見て声を掛けていた。


 こんな時期にこんなところにやって来るとは…おそらくあの草臥れた服の男が、猫人族の村に出入りしていた行商人なのだろう。

 となると…腰に2本の剣を提げた日焼けした男は、護衛かなんかになるのだろう。


(…中々に腕が立ちそうだな。)


 しかしまぁ…〈拡張袋〉のようなものを持っているらしいとはいえ、あんな草臥れた服を着る行商人が雇えるものなのだろうか?

 …等と俺が暢気に(推定)護衛の観察をしていると─


「ダマルお前っ…!

 …良くもノコノコと顔を出しやがったな!?」


 と、ボスが行商人に敵意を剥き出しにしていた。


「待て待て待て!?一旦落ち着け、な?」


 俺は慌てて割って入ると、今にも飛び掛かりそうなボスを宥める。

 すると頭に血が昇っているのはボスだけでは無く、止めに入った俺にいくつもの殺気が向けられる。

 

 村人達が殺る気満々な理由は理解できなくも無いが、ボスの号令で飛び掛かったが最後…血溜まりに沈むのは村人達の方だ。

 それもある意味自己責任ではあるのだが…数日一緒に作業をしただけの薄い関係とはいえ、そうでなくとも俺の知る範囲で人死にが出るのは気分が悪い。


 俺はそんなエゴ(自己都合)のもと必死で、村人達(主にボス)に思いとどまるように説得したのであった。



 

if ─もしラストが止めに入らなかったら─


ボス 「死ねぇ!」

護衛 「お前がな。」

ズバッ!

ボス 「アベシッ!?」

村人達「お前ぶっ殺シャアァ!」

護衛 「以下同。」

ズババッ!

村人達「死ーん…」



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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 ラストよ、時にはきちんと「無理ッス」と言ってやることも男の甲斐性やで? しかし後書き見る感じ、護衛の兄ちゃんは結構な手練れってことか…あんまり血生臭い事態にはしたくないですが、は…
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