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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
6章  初心忘れること無かれ

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217 マウント合戦

Tips:〈サウザンド・ナイフ〉

 〈勇者教国〉の保有する〈聖女の聖仗〉と同様に、現存が確認されている『古の勇者』パーティーが使用していた武具の一つ。

 『古の勇者』がパーティーの斥候である、通称『盗賊』に送ったと云われている。

 元は名も無き武器の一つであったが、実体の持った幻影の投げナイフが無限に生成される能力から、後にその名が付けられた。

 また、使用者の手から離れたナイフは一定時間で消失するため、副次的に出血を強いる効果がある。

 幻影の元となるナイフ型魔導武器が本体と思われているがそれは誤りであり、本体は使用者の身体に刻まれた紋章であるというかなり変わった魔導武器。

 これ類する紋章型魔導武器は他に存在が確認されておらず、現存は確認されながらも所在の特定がなされない原因となっている。

 所有者自体は、『盗賊』の古巣である暗殺者ギルドのグランドマスターが代々継承していることが、暗殺者ギルドより各国のトップ層に周知されている。


 それから婚約者3人とたわいもない話を楽しんでいると、何事も無かったようにニーニャが戻って来た。


「ただいま。」


「おう、お帰り。…良かったのか?」


 いつもの帰りのやり取りの後、俺は思わずそう訊ねる。

 この村でニーニャが微妙な立場にいることは知ったが、ボスとその倅は他の村人達とは別のようだった。


 ボスと話していてその話の端々から、どうやらこの村の長は人間の村長に比べて、かなり強い権限を持っていることが伺えた。

 …あのクソガキと結婚しようがしまいが次期長をあまり蔑ろにしていては、ニーニャが更にこの村に居辛くなってしまうのではないか?


「ん…大丈夫、しめて来た。」


 だが俺の心配を他所に、ニーニャは「バッチリ!」と親指を立てながら、次期長を〆て来たと誇らしげに言う。


(ちょっ…ニーニャ、何やってんだ!?)

「あぁ…うん。そうか…。」


 明日はパーティーリーダーとして謝罪にボスの元を訪ねるとして、今晩はもう寝ることにしよう。



 … … … … … … …。


 … … … …。


 …。



 翌日。

 携行食糧の朝食を手早く済ませた俺は、「何かあれば」と教えてもらっていたボスの家に訪れた。


 村長の家というのはそういうものなのか、でかい丸太小屋といった感じの他の家に比べ、一軒だけ街にあるような家だったのですぐに分かった。


ドンドン ドンドン


 呼び鈴どころかノッカーも無いため、拳で戸を叩くという少し乱暴な方法で訪問を知らせる。


ガラガラ

「はいはーい…って、え?」


 出てきたのは俺と同じくらいか少し上の年頃の、小色っぽい女性だった。

 ボスの妻…にしては若過ぎるので、あのクソガキの姉だろうか?


「…どうも、長は居るか?」


 気になりはしたが「初対面で訊ねることでは無い」と、俺は女性に当初の予定に従ってボスの所在を訊ねた…のだが。


「ひゃああぁ…!」

パタパタパタッ!


「え!?ちょまっ…」

パタパタ…


 出てきた時のままの姿勢で固まっていた女性は俺に声をかけられると、か細い悲鳴を上げると慌てた様子で奥に引っ込んでしまった。

 俺の前で半分ほど開かれたままの戸が、その慌て様を示していた。


シーン…

(どうすんだ?これ…。)


 これがただの不在であれば、戸を閉めて一旦戻って出直すのが普通だろう。

 だが突然訪れた俺が悪いとはいえ、何か重大そうな誤解をされた気がするため、誤解が広まらない内に弁明しておきたい。


「おいカティア、何騒いで…って─」


 と…これは本当の偶然に、今一番話したかったボスが横からひょっこりと姿を現した。


「よう、…今話せるか?」


 しかし出て来たボスは手に弓を持ち腰には鉈と矢筒と、いかにも今から狩りに行くという格好をしていた。


「ラストじゃねぇか、こんな早くからどうした?」


 これから狩りに向かうのなら忙しいのではないかという俺の心配は無用だったようで、ボスは「何でも言え」と言うように俺に用件を聞いてくる。


「ああ、…昨日の晩のことなんだが─」


 俺は狩りの準備の迷惑にならぬよう、手短にニーニャとボスの息子が喧嘩…もといボスの息子がニーニャに一方的にやられたかも知れないことを説明した。


「ああ、あれはそういう…」


「俺のパーティーメンバーが済まなかった。」


 やはり心当たりがあったようで、俺はボスに頭を下げた。


「いや、頭を下げる必要なんか無いぞ?」


「…え?」


 てっきり、「俺の息子に何してくれてんだテメェ!」と一発殴られるくらいは覚悟していたのだが…。


「…大方、チャトランがニーニャを構い過ぎただけだろうよ。」


 まさかの「お咎め無し」に驚く俺に、ボスが苦笑いしながら説明してくれる。


 …なんでも、ボスとボスの妻は一粒種の息子…チャトランにどうしても甘く、幼馴染みのニーニャとソーナが叱り役となっていたらしい。

 特にソーナは、チャトランの悪戯を見つけては長時間の説教をするなど熱心だったらしい。


 反対にニーニャは基本的に我関せずであったが…そのためソーナに叱られたチャトランは、ニーニャに避難場所であることと慰めを求めるようになる。

 出自のせいか今よりももっと物静かであったニーニャはチャトランを特に拒絶することは無かったが、チャトランが調子に乗って絡み過ぎた時…ニーニャは無言&無表情でチャトランをボコボコにしたことがあったそうだ。


 最初は息子を心配しニーニャを叱ろうとしたボスと妻だったが、一部始終を見ていた村人の証言とチャトランへの聞き取りの結果…どうみても「自分たちの息子が悪い」と言わざるを得なかったとか。

 それから何度か同じことがあり…その全てでチャトランが悪いことが判明して以来、幼馴染み3人が10才になるまで「ニーニャの教育的指導」は村の風物詩であったらしい。


 そして長らく見られなかった“風物詩”であるが、ボスは息子がニーニャと再会した時の様子から、こうなることが分かっていたと言って話を終えた。

 

「てなわけで…お前さんらやニーニャにどうこう言うつもりなんか無いんだ。

 むしろ息子が迷惑をかけたな、あっはっはっ!」


 そう言って笑うボス。


「あ、ははっ…」

(言っていることは分かるんだが、なぁ…。)


 加えてボスが態とらしいまでに笑っている理由も察するが、俺まで一緒になって笑うのも気が引け…俺はとりあえず愛想笑いで場を濁した。


「まあ、どうしても気になるってならアレだ。

 今日の狩りに付き合ってくれないか?」


 俺たちが運んで来た食糧は、あくまでも最低限。

 狩りで食糧を増やせば余裕ができ、より安心出来ることだろう。


「お前は強い冒険者なんだろ?

 “その腕を見込んで”、な?

 もちろん、獲物が獲れたら報酬も出す。」


 つまりこれは単なる狩りへの誘いでは無く、俺個人への直接依頼というやつだろうか?

 …正直なところこういう話で俺は録な目に合ったためしが無いため、普通であれば迷い無く拒否したことだろう。


「…ああ、分かった。」

 

 しかし何故かボスの言葉に挑戦的なものを感じた俺は、狩りの誘いに応じる返事をしていたのだった。



 

実体の持った幻影?どこかで聞いたような…。



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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 実体を持った幻影…つまり食らった側はウルトラセブ○みたいなトサカの付いた鉄仮面を被りながら「質量を持った残像というのか!?」と驚愕しながら、自分にビームぶち込んで自爆しなきゃいけ…
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