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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
6章  初心忘れること無かれ

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208 運搬依頼

Tips:〈拡張袋〉

 遺物である〈収納袋〉の再現を目的として作成された魔道具。

 〈収納袋〉のように重量の無効化や、内部の時間停止といった機能の再現は現段階では不可能であり、劣化品となった。

 また付与術式の刻印の関係で、懐に収まる革袋サイズが基本の〈収納袋〉に対し、〈拡張袋〉は穀物袋サイズとやや嵩張る大きさが限界であった。

 〈収納袋〉の完全再現とはならなかったが、これはこれで有用であり、拡張10倍の小・50倍の中・100倍の大の3種が量産されており、容量はそれぞれ100kg、500kg、1000kg(1t)となっている。

 また重量軽減の付与は成功しており、軽減率は一律で50分の1。

 量産品と言っても素材加工や付与・各術式刻印の難度から、半端な貴族では手の出ない高額での受注生産となっている。


 そして聞いた依頼の内容だが、報酬のオマケとなる〈拡張袋〉に満載した食糧(穀物)500kgを、荷車の通れない山合にある村に届ける…というものであった。


 険しい山道を500kgもの荷物を担いで行けとか馬鹿か!?…と思うだろうが、どうやら〈拡張袋〉には重量を50分の1…つまり今回(500kg)の場合10kgにまで軽減する効果があるようだ。

 普段の装備に10kgの荷物が加わるとなると、その荷を担ぐ1人は文字通りお荷物(・・・)になるため、この依頼が残ってしまうのも納得だ。


 それは俺たちとて同じなのだが…しかし俺はこの厄介な依頼を受けることに対し、珍しく前向きな姿勢となっていた。


 というのも、この依頼で荷の届け先となっている山合の村。

 30人ほどが寄り集まって暮らす村というよりは集落だが、ここに住む住民の全てが獣人…しかも猫人族の村であるのだ。


「この村って…」


 まぁ…これだけの情報が有って察せない者がいる筈も無く、素直なリタは気まずそうにニーニャに視線を向ける。


「…ん、わたしがいたとこ()。」


 リタの呟きを自分への質問だと思ったのか、ニーニャはなんてことも無い様子で頷いた。


(ニーニャの故郷か…。)


 それはつまりニーニャを奴隷として売った村ということなのだが、食糧支援を必要としているほど困窮していたのなら一概に悪とは言えない話。


 だが、狩猟民族故に土地(故郷)に執着が薄いのは分かるが、その分仲間意識が強いと言われている割にはニーニャの反応は薄い。

 不思議に思ってこれまでの会話を思い返せば、ニーニャの淡白な態度と「奴隷として売られた」という事実もあって、ニーニャが猫人族の村で不当な扱いをされていたのでは?…と疑ってしまう。


(いや、ニーニャは普段からわりと淡白だったな。)


 仲間意識が強いという獣人種のイメージは大体が犬人族のせいであるとも聞くし、猫人族は淡白な性格がスタンダードだったりするのだろう。

 それに「不当な扱いをされていた」とするには、ニーニャに猫人族の村に行くことを忌避するような雰囲気は無い。


 人間種にも色んな性格の奴がいるように、ニーニャもそういう性格の獣人種だったというだけだろう。


「…で、どうだ?」


 村人達の命に関わってくる依頼ということもあってか、前のめりに受注の可否を尋ねてくるギルマス。


「受けるべきよ、絶対!」


 俺が皆に意見を聞く前から、「受注」に強硬な姿勢を見せるマリ姉。


「わっ!?マリアさん、落ち着いてください…!

 あ、私も賛成でっす!」


「私も受けるべきだと…。

 …飢えは忌むべきものですから。」


 マリ姉に驚き宥めるリタと、実感の籠ったことを呟いたアデリナも「受注」に賛成…と。


「俺も問題は無い。…ニーニャも良いか?」


 この時点で「受注」は決まったようなものだが、一応俺も自分の意思を示してニーニャにも確認をとる。


サクサク…

「ん?ゴクン、…ん。」


 マイペースに茶菓子のクッキーを頬張っていたニーニャは一瞬何のことか考えるが、すぐに口の中身を飲み込んで頷いた。


「決まり、だな。

 …んじゃ、これ持って行けな。」

ペラリ


 〈白の大樹〉全メンバーが「受注」に頷いたのを見届けたギルマスは、何処からか出した依頼票を俺に押し付ける。


「はあ~、これでこの件のケリが着いたな!

 …なんだ?話は終わりだ、俺も忙しいんだ。

 ほら、さっさと─」


 と、当て付けのように多忙アピールして俺たちを執務室から追い出そうとしたギルマスだったが…


サクサクサクサク

「モグモグ…。」


 クッキーを口に詰め込むようにして食べるニーニャを見ると、


「…出て行くのはそれ食ってからで良いから。

 落ち着いて食えよ…、な…?」


サクサク、サク…

「モグモグ、…。」

コクッ


 「え、良いの…?」とでも言うように口の動きを緩めたニーニャは、何も咎められないことを確認するとギルマスに頷く。

 茶請けにクッキーを用意しておいてニーニャに「食うな」とも言うのも大人げ無く、ギルマスの子供染みた“意地悪”は不発に終わったのである。


 ニーニャのマイペースの前に、ギルマスの(不当な)権力が敗北した瞬間であった。

 





















─ とある商人の会話 ─


 〈商人ギルド・フラワーフィールズ王国支部〉にある、機密性の高い商談室の一室。

 〈クレク連邦〉所属の都市国家に本店を構える奴隷商と、伯爵領と辺境伯領との領境周辺を廻る行商がとある品について相談を行っていた。


「お前の取引している村に、獣人種の村があるというのは真か?」


「それは…いえ、…真です。」


 飯の種である取引先を尋ねるという無作法をする奴隷商に、答えを黙しようとして睨まれた行商は渋々と答える。


「ふむ…。

 して、その村からはまだ絞れそうかね?」


「………、いえ…領主が動いたそうで。

 そろそろ退き時かと思っていたところです。」


 自分の稼ぎ方を知っていることを仄かされ、奴隷商に素直に情報を渡す行商。


「そうか…。

 なら、最後に大仕事を頼みたい。」


「…それは、どういった?」


 終始威圧的だった奴隷商の急な「頼み」に金の匂いを嗅ぎ取った行商は、平静を装って奴隷商に訊ねる。


「それは私の商売に関わることだ、と言っておこう。

 なに…、初めて扱うわけでもあるまい?」


 行商の偽装などお見通しな奴隷商だったが、敢えて商品の仕入れだと明かすことで、行商を強引に巻き込んだ。


「…采配のほどは?」


 引き返せなくなった行商はせめてもの抵抗に、自分はあくまでも協力者という体をとる。


「手筈も人足も此方で用意する。

 …お前は其奴らの紹介をしたら、最後の商売に励むといい。」


 つまり行商は「最初の手引きだけで良い」、…とのことだ。

 あまりにも旨い話に、逆に勘繰ってしまう行商。


「…安心しろ。

 上手くいった暁には、本国での商売の口利きを約束しよう。」


 警戒した行商だったが結局は奴隷商と契約を交わし、奴隷商と別れた後、最後の商売に備えて仕入れを行うのであった。




サブタイの読みは、依頼→クエスト


狩人「さっきまでそこ通れたやん!?

   黒猫、ギィ族!…おのれ生肉!!

   おや…?親ぁあアァ~!?」

  [○○がっ!]



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