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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
5章  忍び寄る戦争の影

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閑話 国際情勢

5章枠ラスト!



─〈聖ブレイブハート及びリィンカ教皇王国〉─



 聖ブレ(以下略)…通称〈勇者教国〉王城の一室。


「ふぅむ…、大地のマナの流れ((レイライン))に異常…か。」


 〈勇者教国〉現国王であるクラウン十三世は、〈魔導国家ワイスマンス〉がアルペジオ大陸の主要国全てに送りつけた報告を読んで唸る。

 

 その報告書によると、とある時期から魔力運用効率が僅かに低下しているとのことで、調査の結果…大地のマナ濃度が低下していることが判明したとのことらしい。

 そして大地のマナ濃度の低下には、大地を巡りマナを循環させているレイラインに異常が起きている可能性が高い…という主張であった。


「…魔導師長、実感はあるか?」

 

 クラウン十三世は自身の護衛として控えていた〈勇者教国〉の魔導師部隊長に、報告書の「魔力運用効率の低下」の部分を指しながら問う。


「………正直申しますと、何も…。

 ただ…言われてみれば、恥ずかしながら…最近の訓練では以前より疲労を感じるようになってきていました。」


 そう気不味げに答える男は〈ワイスマンス〉で学び、30代手前で魔導師として認められて以来、スカウトされた〈勇者教国〉で20年近く魔導師部隊を務めたベテランだ。


 50代ともなれば、ほとんどの兵士は引退している年齢だ。

 訓練の疲労を体力の低下によるものだと勘違いしていて、一体誰が責められよう。


「…恥じることではない。

 寧ろ、熟練の魔導師であるそなたでも気付きにくい些細な変化だというわけだ。」


 最近、資料に書かれている文字に見えにくさを感じるようになったクラウン十三世は、長年仕えてくれている魔導師長をフォローする。


「陛下…っ!」


 失態に首を斬られることを覚悟していた魔導師長は王自らのフォローに感激し、クラウン十三世により一層の忠節を心に誓うのであった。




 …………………。



 …………。



 …。





 魔導師長は知らない。







 この出来事の切欠となった大陸の魔力濃度の低下、その原因とされるレイラインの異常。












 その“原因”に、クラウン十三世には心当たりがあったことなどは…。







 

 
















─ 同国 後宮 ─


「〈蘇生薬(エリクサー)〉ですって!?

 しかも発見だけでなく、同時期に2つも使用されたですって!?」


 クラウン十三世が内心で冷や汗をかいていた頃。

 その妻たる王妃は、個人的に各地に放っている「耳」からの報告に我が耳を疑った。


 〈エリクサー〉自体は聖堂の聖遺物保管庫に幾つか保管されているものの、聖遺物と言うようにそれらは『古の勇者』が〈勇者教国〉の祖である『聖女』に渡した物だった。

 この「勇者のエリクサー」が聖遺物保管庫に納められて以来、見つかったとされる〈エリクサー〉は全てが発見された国の宝物庫の中。


 「勇者」への支援を大義として流通する〈ハイポーション〉は独占状態と言っても良いが、〈エリクサー〉ともなると“支援”に求めるには価値が高過ぎた。

 しかし「勇者」の支援に〈エリクサー〉が無いというのも、〈勇者教国〉の名折れである。

 

「陛下に〈エリクサー〉が発見されたというダンジョンの、国を上げての探索を奏上いたしましょう!」


 跪いたままの「耳」の報告者をその場に放置し、王妃は執務に勤しむ王の元へと急いだのだった。



 … … … … … … …。


 … … … …。


 …。



「───というわけで是非とも〈楔の宮〉とやらいうダンジョンを、我が国の管理下に置くべきです!」


 王の執務室に突撃した王妃は国是(勇者への支援)を名分に、「〈エリクサー〉を産出するのダンジョンの占有」を夫にアクセサリーをねだるような軽さで熱弁する。

 …が、執務を中断させられたクラウン十三世は、妻の短慮に頭を抱えてしまう。


「…妃よ、それは無理な相談というものだ。」


 『勇者』…言い換えれば「人類の守護者」への支援を国是とし、「勇者」への支援を名目に〈ハイポーション〉の実質的な独占を見逃されている〈勇者教国〉。

 その〈勇者教国〉が「〈エリクサー〉がダンジョンから産出した」というだけの理由で他国へ派兵…況してや他国領土の占拠など、各国にそっぽを向かれるなら良い方で、〈エリクサー〉が産出した記録がなくともダンジョンを有する国々が敵対する危険性が高い。


 そして王妃が占有を提案する〈楔の宮〉…このダンジョンを有するのは〈フラワーフィールズ王国〉、このことが更に無理が重なる要因となっていた。

 というのも…


「例の件でかの国より抗議が届いていることを、妃も知っておろう?」


 例の件というのは、〈クレク連邦〉に所属する都市国家の軍により、〈フラワーフィールズ王国〉の辺境都市〈カクタス〉が攻め落とされた戦いのことだ。 

 この戦いに於いて〈勇者教国〉が召喚し支援している「勇者」が連邦側で大々的に活躍していたのだ。

 これに対し〈フラワーフィールズ王国〉は、〈勇者教国〉を敵対国とし食料の輸出を停止する…ということを示唆した抗議文を送ったのだ。


 前年の不作により食料難が懸念される今、食料の輸出停止は国の存亡に直結する。

 そうでなくとも「世界の食料庫」とも呼ばれる農国〈フラワーフィールズ王国〉に敵対したとなれば、かの軍事国家〈インペリアル帝国〉が嬉々として〈勇者教国〉を攻めて来ることだろう。

 …どちらにしても、〈勇者教国〉を待っているのは滅亡だ。


「だから言ったではありませんか?

 「勇者」が連邦側で参戦したのは、かの国に非があってのこと。

 そのことを反省するどころか我が国に抗議してくるなど…、人類の敵として各国一丸となって罰するべきでは?…と。」


 罰する…つまり攻め滅ぼせと王妃は言っているのだが、そんなことをすれば〈魔王〉復活の前に飢餓と食料を巡る戦で人類は滅びてしまう。


「…お前は少し頭を冷やした方が良い。

 近衛、妃を搭に。」


「「はっ!」」


 クラウン十三世は過激な発言をする妃に反省を促すべく、近衛騎士に一時的な王妃の幽閉を指示する。

 国王の指示に従い、王妃の両脇を固める近衛騎士。


「陛下!?待って下さいませ!

 わたくしはただ、この国を思って…っ!」

ジタバタ…


 連れ出そうとする近衛騎士に抗いながら、必死に弁明しようとする王妃。


ズルズル…、バタンッ!


 …だが精鋭の騎士2人に抗える筈も無く、王妃は執務室から連れ出されていった。


「…そなたが美容のため、「薬湯」と称して〈ハイポーション〉を不正使用していること。

 わたしが知らぬとでも思ったか?」


 無情な音を立てて閉じられた扉に向かいそう呟いたクラウン十三世は、僅かに憔悴した様子を見せるのであった。

 


 

 

 
















─ 〈精霊郷・フォレストリア〉 ─


 アルペジオ大陸の南北を分断するように存在する、広大な〈中央樹海〉と称される大樹海。

 その中に一族毎に住まう森精人(エルフ)達の都、それが〈精霊郷・フォレストリア〉である。


「あら?これも枯れてしまっているわね…。」


 樹海に住むエルフ達の憧れである〈フォレストリア〉の、更に限られた者しか入れない〈真域〉。

 そこで秘草を栽培するハイエルフのエイルは、栽培している秘草…その名も〈エリ草〉が枯れてしまっているのを“また”発見し、深刻な表情をする。


(土の養分も…水はしっかりと〈魔水〉を与えている、…なのに何故?)


 〈エリクサー〉の材料となる〈エリ草〉の栽培は人間の国では不可能とされる程に難しいが、いつか訪れるであろう「勇者」のためにここでは長年栽培されてきたのだ。

 植物のスペシャリストであるエルフの…更に上位種であるハイエルフのエイルも、秘草の栽培を引き継いで数十年。


 引き継ぎ期間のおよそ10年間は失敗もあったが、前任者から栽培を完全に引き継いで以来、秘草が枯れることなど初めてであった。


「エイル様!」


ビクッ!

「は、はいっ!…ここに居ます。」


 突然大声で名前を呼ばれ、肩を跳ねさせるエイル。


「こちらでしたか。

 …オンベロン様がお呼びです。」


 秘草栽培農場にやって来たのは、森精王の住む〈王域〉を守る守人だった。


「え、えぇ…。

 …今行く準備をしてくるわ。」

(まさかもう知られてしまったの?)


 森精王の急な呼び出しにエイルは内心でドギマギしながら、守人について〈王域〉へと向かうのであった。




[国際]と銘打ちつつ、大半が〈勇者教国〉の話…。


 そしてようやく出てきた、ファンタジー2大種族の片割れ〈エルフ〉!

 ファンタジーといえば、エルフにドワーフは必須感がある作者です。


 …ということは、次章のメインは──



いつも読んでいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 なんか隠してるクラウン十三世……勇者がクソ人間なのは周知の事実ですが、案の定そいつを抱え込んでる国自体もクソの極みっぽいですなぁ…。 エルフもレイラインの異常でとばっちりを喰らっ…
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