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農家のデブ三男、兄に実家を追い出されて街で冒険者始めたらモテ始めました!?  作者: FURU
5章  忍び寄る戦争の影

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205 達成報告と勧誘

5章最終話です。



 2日後。

 〈ベビーリーフタウン〉に帰還した俺たちは事実確認のためにベアトリスを連れ、ギルマスであるオットーさんに今回の依頼の件について報告を行っていた。


「───というわけで、俺の背後から襲ってきた村人の男を、マリ姉が『火球』で撃退した。」


 いや、依頼の盗賊団討伐については早々に報告を済ませ、今はベアトリスから受けた直接依頼のことからの“正当防衛”について話し終えたところだった。

 盗賊団の副官だったサブは、既に門で憲兵に引渡し済み。


 移住したことで対象外となったとはいえ、ギルドの制裁対象の村でベアトリスから依頼を受けたことについてなのだが…。

 これについてはオットーさんの小言と、正式な依頼だった場合の仲介料(ギルドの取り分)となる額の罰金を支払うことで手打ちとなった。


「はぁ~…、お前たちは行く先々でトラブルを起こさんと気が済まんのか?」


 「たち」と全体を指すことを言いながら、深く溜め息を吐いたオットーさんが視線を向けるのは俺。


「そんな、俺たちが悪いみたいに言われても…。」


 と、抗議しようとした俺だったが…


(いや…、待てよ?)


 俺が冒険者となってから最初に巻き込まれたトラブルと言えば…、奴隷だったニーニャを保護した1件か。

 そして次に、ニーニャのチュートリアル中にマリ姉から『火球』の誤射。

 昏睡から目覚めれば、貴族(ケイン)とマリ姉を巡っての決闘にスタンピード。


 迷宮都市に行けば非認可クラン解体の一因となり、迷宮で暗躍していた自称「魔王の右腕」の〈悪魔〉の討伐。

 帰ってきたら領主様の依頼でギルドの制裁対象の村に赴き、現地でトラブル。


 これまでのことを振り返ってみると、ざっくりとこれだけのことが挙げられた。

 冒険者となって1年足らずで…、実に7件。


 これは確かにオットーさんが俺たち…のようで実際は、俺をトラブルメーカーみたいに思っても仕方ない…のか?


「お、俺は悪くねぇ…っ!」


 憲兵に捕まった悪党の三下みたいなことを言った俺だが、俺が故意で起こしたトラブルは無い。

 基本的に俺ないし俺たち(〈白の大樹〉)は巻き込まれた側だし…そうでなくともニーニャの一件のように、実質的には選択の余地が他に無かった事なのだ!


「分かっているさ。

 …だが優秀な冒険者である義息子で弟子が厄介事に巻き込まれ過ぎで、話を聞く度に心配する俺の身にもなってくれ…。」


(それは…まぁ、心配されて悪い気はしないが…。)


 面映ゆい気持ちになる俺。

 …だが決闘や今回の依頼など、貴族関係のトラブルにはギルマスが関わっていることを指摘するのは…野暮というものか。


「…ま、おかげ様で Cランクになったんだ。

 だがまぁ…、しばらくは穏やかに過ごす予定だ。」


 トラブル続きとは言うが、特にスタンピードでの活躍や〈悪魔〉の討伐の実績が無ければ、一年未満でランクを Cにまで上げるのは余程の実力者だ。

  Aランクを目指す俺としては都合が…いや、怪我はアデリナのおかげでそこまで心配する必要が無くなったが、命に関わる危険は本当に勘弁して欲しい。

 「舐めたことを言うな!」と怒られようが、命有っての物種というやつだ。


「そうか…、俺は大忙しだってのに…。

 チクショウめが!…良い休暇をっ!」


「ああ、じゃあまた。」


 長期休暇を匂わせた俺たちに、自棄糞気味に話の終わりの言葉を掛けるギルマス。

 その意図は無かったとはいえ…これ以上、執務に忙殺されているギルマスを煽るわけにもいかず、俺たちはギルマスの執務室から追い出されるように退出したのであった。



 … … … … … … …。


 … … … …。


 …。



ガヤガヤ…、カチャカチャ…ガチャンッ!


 ギルマスの執務室から退出した俺たちだったが、時間も丁度良いこともあり、ギルドに併設された酒場で昼飯と洒落込んでいた。


「ゴクゴク…、プハーッ!

 やっぱどんな時期でも冷えたエールは最高だぜ!」


「ああ!

 特に今の時期はありがたいことに、キンキンに冷えてやがる…!」


 そんな昼間から呑んだくれている、近くの席の野郎二人組の会話を小耳に挟みつつ。


「………。」


「浮かない顔してどうした?ベアトリス。」


 果実水の入ったジョッキを、口を付けるでもなく見つめるベアトリス。

 賑わう酒場には相応しくない沈んだ表情をするベアトリスに、気になった俺はわけを訊ねた。

 

「…どうして?」


 訊ねた俺に返ってきたのは、短い疑問の言葉だった。


「何がだ?」


 俺はベアトリスの質問の意味が分からず、ベアトリスの質問に俺は二度(ふたたび)の質問で返す。


「何がって…私は私の依頼であんた達に迷惑を掛けたのに、その私になんでこんなこと(昼食の奢り)までするのよ!?」


「いや…依頼は迷惑と思うならそもそも受けなきゃ良い話だし、一緒にいるのに俺たちだけ飯を食うのも意地が悪いだろ?」


 …とはいえ、陰で傲慢と言われていたベアトリスの態度は、裏を返せば誇り(プライド)の高さの表れだ。

 顔見知りである俺に施されているような今の状況が、ベアトリスのプライド的に拒否感があるのだろう。


 しかし箱入り娘だったベアトリスはこれから街で暮らしていくにあたり、誰かの助けが必要であることを理解できない愚か者では無い。

 そして自分を助けてくれる誰かとして一番の候補が、顔見知りとなった俺たちなわけで…。


(こんなの、放っておけるかよ…。)

チラッ


…コクッ


 俺が視線でお伺いを立てれば、全員が許可を出してくれたので、俺はベアトリスに提案する。


「お節介ついでに…ベアトリスが良ければ、俺たちの拠点の管理をしてくれないか?」


 迷宮都市への遠征から帰還した際、長期間放置されていた家の掃除が必要だった。

 遠征から帰って即休めないというのは、俺だけでなくメンバー全員がゲンナリしたものだ。


「私に家全体の管理なんて無理よっ…!」


「いや…管理って言っても、拠点にいる時は俺たちも持ち回りでやるさ。

 ただ俺たちは冒険者だから、拠点を空けている時に埃を掃いてくれるだけでも助かるんだ。」


 家の管理と聞き実家のお手伝いさんの仕事を思い浮かべたのか、即首を横に振るベアトリス。

 そんな彼女をなんとか頷かせようと、俺たちが求めているのはそこまで大変なことではないことを必死で伝える。


(もう家中の高所の雑巾掛けは嫌だっ…!)


 身長的に仕方のないことだったとはいえ、半日中背伸びを繰り返すのは、夜寝る際に背中がつって大変だった…。


 そんな俺の切実さが伝わったのだろうか?


「そう…どうしてもと言われたら、やってみるしか無いじゃない。

 …慣れないことをするんだから、文句は言わないでよねっ!?」


「勿論さ~。」

「ええ。」

「ん。」

「はい、よろしくお願いします。」

「やった~、新しいメンバーですね!」


 …こうして、〈白の大樹〉の仲間にツンデレ(?)なハウスキーパーが加わったのであった。




次は閑話を挟んで6章。


※5章のキャラクター紹介は、特にコメントが無ければ無しになります。

(ストーリーの主要キャラの紹介が既出の為)



いつも読んでいただきありがとうございます。


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