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一話め

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

10時30分に連日投稿する予定です。場面転換で次話に進むので、各話は短めです。


 西野めぐみが教室に戻ると、瀬戸彩香が話しかけてきた。

「にっしー、何持ってるの? すんごいキラキラしてるけど」

「うわー、何これ?」

 佐藤唯も不思議そうな顔になる。めぐみが手にしているやたらとキラキラしたシールでデコられているノートは絶対に彼女の趣味ではない。

「押し付けられたんだよねー、交換日記だって」

「え〜、断ったんじゃないの?」

「断ったよ、何度も。でも、しつこくてさあ」

 めぐみがはあっと思いきりため息をついた。


 今、隣のクラスでは交換日記が流行っている。隣のクラスの担任は女性教諭だ。担任が若かりし頃に友達とハマったとか話したら、クラスの女子の間でブームになったらしい。

 めぐみたちの通う中学では授業中の携帯電話の使用は禁止だ。朝のホームルームで携帯ボックスに入れて担任が預かり、帰りに返してくれることになっている。どうしても、緊急連絡がしたい場合は職員室の電話を使わせるから授業中というか、学校にいる間は我慢しろというお達しだ。

 そのせいか、友人とのやりとりに交換日記というアイテムは物珍しく映り、興味を引いたのかもしれない。


 隣のクラスの太田美沙は去年のクラスメイトだ。太田にはめぐみよりも親しい友人がいたはずなのに、隣のクラスでは交換日記をしてくれる相手がいないと声をかけられた。

 太田とは顔を合わせれば挨拶するくらいの仲で、好きなアニメの話で盛り上がったことはあるがそう親しくはない。交換日記をやりとりしようにもネタがなくてめんどくさい。

 何度か断ったのに休憩時間にトイレに行った帰りに渡された。なんだか、待ち伏せされていたみたいで怖いのだが。


「西やん、数学の教科書貸したりしたから、懐かれたんじゃないの〜」

 瀬戸がケラケラと笑う。悪気はないが口が悪いヤツで、めぐみの呼び方もテキトーだ。 

 確かに数学の教科書を忘れたから貸して、と声をかけられて貸した。知らぬ仲でもないし、断る理由もなかったからだ。

「なんかねえ、わたしが美術部だからってお絵描きのやりとりしたいみたい。わたし、人物画は苦手だって言ったのにさあ」

 めぐみはうんざりとしている。

 瀬戸も佐藤も美術部だが、佐藤は面識がない。瀬戸はというとーー


「あいつ、嫌いだもん。ぶりっ子しててキモい」

「ぶりっ子って死語じゃん。お母さんたちの時代の言葉らしいよ」

「あざとくかわい子ぶってるヤツを略したと思えば合ってるんでない?」

 瀬戸はすっぱりと切って捨てる口調だ。

 佐藤とめぐみは同じ小学校の出身だが、瀬戸は別の小学校だった。太田と同じ小学校なのだが、前から嫌っているらしい。

「あー、なんか面倒。ねえ、何書けばいいと思う?」

「えー、知らんよ」

「テキトーに書けば? 何回か付き合えば気が済むんじゃない?」

 めぐみは友人の頼りにならないアドバイスにうんざりとした顔になった。

お読みいただき、ありがとうございます。

面白かったら、いいねや評価してくださると嬉しいです。


このお話は実話で、きっかけは活動報告にあげてますので、興味がありましたら覗いてみてくださいませ。

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