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【改訂版】夢のつづきを見にいこう  作者: 羽藏ナキ
第三章:恋する少女

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お家デート

 寝る支度を済ませ、明日の授業に合わせて鞄の中身を入れ替えているとクリアファイルに入った紙が目に付いた。そういえば、と思い出してクリアファイルから紙を抜き取り、枕の下に置く。

 あぶない、すっかり忘れるところだった。

 わたしは今日立ち寄ったあのお店のことを思い出した。あの時はまるでどこか違う世界に迷い込んだような不思議な感覚だったけど、こうしてあのお店で書いた紙が手元にあるのを見ると、現実での出来事だったのだと分かる。


 わたしはそわそわしながら部屋の電気を消してベッドに横になった。望んだ夢を見ることができるという摩訶不思議な紙。もし本当にそんな力があるなら、これからわたしはスガッチとデートをすることになる。完全に紙の力を信用しているわけではないけど、可能性があると思うだけでも落ち着かなかった。

 このまま緊張で眠れないかもしれない。そうしたら夢を見ることができない。いままでにない危機感を覚えて余計に目が冴えてしまっていたけど、どういうわけかしばらくすると強い眠気が襲ってきて、わたしはいつもよりも深い眠りに落ちていた。



 夢だということはすぐに分かった。

 現実で過ごす時とどこか感覚が違うということもあったけど、それ以上に現実ではありえない景色が広がっていたからだ。ベッドで眠っていたはずのわたしはローテーブルの前に座っていて、すぐ隣にはスガッチが座っていた。お互いがあと一歩くらいずれたら肩がぶつかるくらいの距離にいる。


 わたしはなんとなくスガッチの手にそっと触れてみた。どういう反応をするんだろう。そう思ってスガッチの顔を見ると、スガッチは微笑んでわたしの手をキュッと握り返した。わああっと感動したのも束の間、スガッチはゆっくりと今度は恋人繋ぎのように指を一本一本絡ませてきて、わたしはもう興奮でなにも考えられなくなってしまった。

 スガッチが近づいたのかわたしが近づいたのか分からないけど、いつのまにか二人は肩がぴたっとくっつくほどの距離にいた。顔を向き合わせればお互いの吐息が当たり、唇も触れてしまいそうだった。わたしは勇気を振り絞り、目を瞑ってそっと顔を突き出した。すると意図を察してくれたのか、スガッチは手を握っているのとは反対の手でわたしの頬を撫でて、「千沙、好きだよ」と呟いてから優しく口づけをした。



 わたしは勢いよく飛び起きた。部屋を見渡してもスガッチはいない。枕を持ち上げてみると、夢野さんが言っていた通り、置いていたはずの紙はきれいさっぱりなくなっていた。

 そっと胸に手を当てると普段の数倍鼓動が早くなっているのが分かった。

 ……すごい! すごい、すごい!

 わたしはガバッと布団に顔をうずめた。目を瞑ると今朝の夢が鮮明に再生されて顔が熱くなる。


「千沙? そろそろ起きないと遅刻するわよ」


 一階からお母さんの声が聞こえて、バッと顔を上げて机の上の時計を見た。気づけばそろそろ準備をしないと間に合わない時間になっている。わたしは急いで布団から出て支度をした。


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