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悪役令嬢、不死なる者

「それじゃあ行くわよ」


「「「はぁい!」」」


朝食も食べ終わったので、早速登校をすることに。

簡易的な寮なので、部屋で出来ることも少なくて暇なのだ。


登校し、雑談していると、授業が始まる。

今日の授業は、


「校舎の復旧作業をするぞ!」


「「「「おおおぉぉぉ!!!!!」」」」


校舎の復旧作業。

業者に任せて欲しいところだが、クレアたち生徒がやらなければならないらしい。


「クレアとガガーラナは、貴族方との連携を図ってくれ」


「「うわぁ。面倒くさっ!」」


クレアとガガーラナは声をそろえ、顔を歪ませた。

その様子に、流石の教師も苦笑い。


「……まあ、いいわ。ガガーラナと少し話もしたかったし」


「………ふぅん?」


不思議そうにしながらも、クレアにそう言われれば役割を拒否することも難しい。

おとなしく2人は教室を出た。


もちろん直後に、


「それで?話しって?」


隣で歩いているガガーラナが詳しいことを尋ねてくる。

クレアはチラリと視線を向け、


「ガガーラナ。あなたはこの間の襲撃が起こること、知っていたわよね?」


「………へぇ?どうして?」


ガガーラナは質問を聞いて、笑みを浮かべた。

これは試しているような顔。


 ーーどうして分かったのか気になる、って顔かしら?

クレアはそう判断して、


「まず、ギレの作戦を試す機会がすぐに来るって言うことを言ってた所から疑ったわ。まるで知ってるような言い方だったから」


「あぁ。確かに、そんなことを言った気がするな」


ガガーラナは笑みを崩さない。

 ーー余裕の笑み?って訳でもなさそうだけど。


「それから、指揮をやりたいって言ったところで怪しさはMAXよ。ガガーラナって、普段人をまとめる役割とか積極的にやらないのに、なぜか今回は積極的に立候補してたし………まるで、有効な対抗手段を知っているかのようだったわ」


「そうか。………やはり、そこは目立ったなぁ。俺としてもこれはバレるかと思ってたが、予想通りだったか。もう少したどり着かれるまでに時間はかかると思っていたんだけどなぁ」


ガガーラナはそう言って笑う。

どうやら認めるらしい。


「あなたは、何者なの?最初は襲撃者の仲間かと思ってたけど、やってることから考えて違うのよね?」


「あいつらの仲間ではない。俺は、………と、一旦話は中止だ。見えてきたぞ」


ガガーラナとクレアのめに、数人の人間の姿が見える。

そのものたちは、


「貴族寮の生徒たちね」


「ああ。ちゃんと敬語使って話せよ?首が飛ぶぞ」


「分かってるわよ。この間も殿下たちと話すときには敬語は使ったでしょ?」


「ああ。そう言えばそうだったな」


クレアたちはそんな雑談をしながら、軽く会釈をして生徒たちを通り過ぎる。

どうやら絡んでくるような生徒ではなかったようだ。


とはいえ、全員が全員そうなわけではない。

 ーーさて、誰に話しかけようかしら?


「見なよ」

「うわっ。平民か」

「何しに来たんだろうな」


しばらく歩いていると周囲から鋭い視線が飛んでくる。

あまり平民を快く思っていないモノが多いらしい。


 ーー私は昔からこういうのがあるって知ってたけど、実際に体験してみると嫌な感じねぇ。ガガーラナは大丈夫かしら?

少し心配になり、クレアは隣のガガーラナを横目で見る。


ただ、ガガーラナは相変わらず薄い笑みを浮かべたまま。

 ーー大丈夫そうね。


周囲から視線を受けながらもクレアたちは周りを見回し、話しかけられそうな生徒を探す。

 ーー位の低い貴族に話してどうにかしてもらうのも手ではあるけど、


クレアがそう思いながら、位の低い貴族に目を付けていく。

すると、


「やあ、クレアにガガーラナじゃないか」


「「殿下。お目にかかれて光栄でございます」」


クレアたちは揃って膝をつく。

 ーーいやぁ。たまにはいいわね。凄い臣下っぽさがあるわ。闇の頂点に生きるのもいいけど、こういうのも嫌いではないのよねぇ。


「ここに何か用かな?」


やってきたアロークスが用件を尋ねてくる。

クレアとガガーラナは目線で話し合い、クレアが発言することが決まった。


「これはこれは殿下。ご機嫌麗しゅう」


「ああ。大丈夫だよ。挨拶は不要さ」


クレアが臣下らしく長い挨拶をしようとしたが、最初で止められてしまった。

 ーーノリが悪いわね!


「……では、要件をお伝えさせて頂きます。この度、私ども平民寮の作業と貴族寮の皆様での共同作業における調整について話し合いに参りました」


クレアがそう言うと、周りからの視線が鋭くなる。

その理由は、


「平民と共同作業だと?」

「汚らしい平民と?ありえませんわ」

「我らの手を煩わせるとは何様のつもりだ?」


自分たちが作業したくないとか、そんな感じの理由だ。

 ーー貴族として育てられてきてるんでしょうから、気持ちは分かるわぁ。でも、私は公爵家の令嬢よ?………ここで私がエリーだっていうことを伝えたら、どんな顔をするかしら?


想定通りではあるものの、嫌がる貴族たちの様子を見てどうすればうまくいくものかと考えていると、


「……ふむ。良いではないか。どこかの情けなく逃げ出してしまったモノたちは、きっとこの機会に挽回してみようと思っているはずだろうしな」


アロークスは笑顔で言う。

これによって、辺りはしんと静かになった。


 ーーうわぁ。貴族たちがオロオロとしてるわ。おもしろぉ~。

自分たちの名誉挽回が掛かっていると言われると、やらないわけにはいかないだろう。


それが、どれだけ嫌いな平民との共同作業であっても。

なぜなら自分の感情よりも、家の名誉の方が大事なのだから。


自分たちが王子を置いて逃げ出したことで傷ついた家の名誉のためならば、どれだけ不満があろうと成し遂げてくれることだろう。


「では、詳しい調整をさせて頂いても?」


「ああ。順番なども決めないとね」


クレアたちは、それから詳しい調整を行った。

そして、調整が終わると、


「それじゃあ、2人はあちらをよろしくね」


「はい。必ずや」

「承りました」


それぞれ返事をして、また平民たちのいる方へと向かう。

 ーー連絡係って、辛いわね。何往復することになるのかしら?


とはいえ、それは今回に限っては悪いことではない。


「さて、話の続きをして貰いましょうか」


貴族たちから少し離れたところで、クレアはガガーラナに続きを促した。

まだガガーラナの話を忘れてはいないのだ。


「ああ。どこから話そうか。……そうだな。まずは、俺のスキルから話すか。実は俺、『不幸視』っていう特殊なスキルを持ってるんだ」


「不幸視?初めて聞いたわ」


特殊なスキルらしいが、そんなモノに覚えはない。

ゲームでも1度も出てこなかったスキルだ。


 ーーもしかしたら、ガガーラナの攻略をもっと色々やってたら出てきたのかしら?……うぅん。ガガーラナルートを攻略してた子が言ってたことをもっとちゃんと聞いておくんだった。


「俺の不幸視は、近い未来の死ぬ運命が見えるんだ。ただし、不幸な死因に限って、な」


「は?死ぬ運命が見えるの?」


それはクレアも欲しかった。

何処で使うかは分からないが、罠に掛からないための保険としては欲しい。

もちろん、あまり今のステータスで罠にかかっても死ぬ気はしないが。


「ああ。そこで俺は見たんだよ。あの襲撃者たちに校舎を破壊されて、俺がズタズタに切り裂かれて殺されるのを」


「へぇ。それで、自分で指揮を執ろうと思ったわけ?」


「そうだ。ただ、指揮を執るだけで勝てるか不安だった。そんなときに、お前のギレを強化する計画の話が出てきたわけだ」


「へぇ」


クレアは納得した。

 ーー自分が死ぬことを回避するために、ギレは都合が良かったって事ね。……って、あれ?でも、それなら、


「わざわざ戦う必要はなかったんじゃないかしら?逃げても良かったんじゃない?」


クレアはそれが1番楽なのではないかと思った。

わざわざ危険に立ち向かうより、危険から逃げた方がよほど楽だ。


「それは俺も考えた。が、寮に引きこもっても寮も壊されただろうし。というか、現に今寮は壊されてるわけだ。それに、学校から無理矢理離れたとしても問題がある。俺が犯人の計画を知ってたんじゃないかと疑われる可能性もあるわけだ」


「それもそうねぇ」


クレアは同意する。

ガガーラナの言うとおり、逃げれば事前に知っていたのではないかと疑われるだろう。


「………で、ここからは、逆に俺が聞きたい」


「ん?何?」


クレアに質問があるらしい。

 ーーそろそろ私のスリーサイズが気になるお年頃に!?って、そんなわけないか。


「実は、何度も死亡の瞬間を見ていく中で気になることがあってな」


クレアは焦りを感じた。

どんな秘密がバレたのだろうか、と。


クレアには秘密が多い。

エリーであることも、クラウンであることも。

そして、転生者であることも。


一体どんな秘密がバレてしまったのか。

 ーー何?どうやったらごまかせるの!?


クレアが焦りを最高潮にしながら、ガガーラナの口を見る。

ゆっくりとその口は開き、


「どうしてお前は、死なないんだ?」


「………はぁ?」


どうして死なないのか。

 ーーえ?私も死ぬと思うんだけど。

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