五十六話 希望と絶望と
世界最強種を統べる者―――龍帝、人間種最終進化到達かつ理を極めし者―――仙人・属性の頂点にして見えざる王―――精霊王の戦線参加により、戦況は一気に盛り返した。
戦線に参加した龍帝は四体(一体は封印中)、仙人は八人、精霊王は六体。
東方には、天空に住まう者【無色なる風】エラクティン、風仙、風の精霊王。
北方には、伽藍に潜む者【粉砕する巌】モードウィング、岩仙、土の精霊王。
南方には、煉獄を統べる者【爆熱の焔】ブレント、炎仙、火の精霊王。
西方には、大海を泳ぐ者【削り取る激波】アートラスカット、水仙、水の精霊王。
そして北東、北西、南東、南西には闇仙、光仙、氷仙、斬仙。
最後にそれらをカバーするように、光の精霊王、闇の精霊王が空を飛び回る。
いずれも、王宮の図書館にある古びた羊皮紙に書かれた物語や、子供の寝物語に出てくるような、この世界に住むものなら誰でも知っている伝説級の存在達ばかり。
その力は強大であり、いくら原初世界の巨人から生まれた怪物であろうと、彼らにとって見れば数だけが取り得の有象無象、障害ですらなかった。
更に加えれば、その後を連合軍が詰めている。
怪物たちは、まさに鎧袖一触で蹴散らかされていった。
絶対強者が通った後には、何も残らない。
偶然その牙を逃れることが出来た小動物程度の小物が通る程度であり、ありとあらゆる攻撃が致死性を持って怪物たちを掃討していく。
あまりにも圧倒的な力、それは全ての者に微かな希望を与える。
勝てるのではないか、生き残れるのではないか、あの巨人を―――討つことができるのではないかと。
世界最強国家の一角を滅ぼした魔神、それすらも呆気なく、まるで羽虫のように叩き潰した巨人。
そのことを認識した人々が最初に覚えた感情は絶望だ。次に感じたのは恐怖だ。
今までの全てを塗りつぶすかのような負の感情を、龍帝達は希望で照らしてくれる、勝利をもたらしてくれる、人々はそう無邪気に信じている。
そして、その期待に応えるように、龍は、仙人は、精霊は全てを滅していく。
だが、彼らは肝心なことを忘れていた。
まだ彼らの後には、帝、仙、王の上・・・天上、神がいるということを。
「お、おい、あれはなんだ?!」
一人が指差す先、それは巨人の頭。
いや、偶然にも雲が晴れ見える巨人の頭の更に上に立ち込める暗雲の渦巻き。
普通の雲よりも尚高き場所に位置する暗雲は、徐々に拡大し、巨大化を続ける。
その時、何かに気がついたように巨人が動き始めた。
行った動作は実に簡潔、手を上へと振り上げただけだ。
―――数兆トンの質量を持って。
ぶおおんっと風を切り、巨人の拳は暗雲を散らした。
そして、雲の暗幕が外された後に残ったものは、バチバチと弾ける光の球体。
『―――【雷龍群墜】』
誰かが呟いたその言葉の後、球体は光り輝く龍となり―――巨人へと落ちた。
光の球体から分裂した雷龍が次々に、まるで雨のように巨人へと降り注ぐ。
だが、巨人はそれに対し拳を乱雑に振り回し、雷龍を消し去っていく。
そして拳はついに、雷龍を落とし続ける球体を捕らえる。
パンと風船が弾けるような軽い音をたてて消えた球体から現れたのは―――白。
思わず見蕩れてしまうほど、この地獄の中でも輝く穢れ無き白。
六対の翼に、輝く白の鱗、頭の上では天輪が輝く。どの龍帝よりも巨大な白龍。
そう、あれは・・・
「・・・龍神・・・・・・」
誰も、その姿を拝んだことは無い。
どんな書物にも、その姿に関する詳細な情報は残っていない。
『その姿を言葉に記すには、我々が知る言葉では足りなさ過ぎる』そう最後に記されるのみ。
だが、人々は直感で理解する。
あの白き龍こそが・・・伝説の龍の神。龍神であると。
『スキルはほぼ無効化。魔神を潰したのもその力か。よかろう、巨人よ。原初世界の魔物、話しか聞いたことが無かったが、その力は本物だ。素直に認めよう。だが、ただでやられるほど我等も腐ってはおらんぞ』
白の腕から鋼色の爪が伸び、美しき純白の翼がボロボロになったマントのようなまるで悪魔の翼に変化し、全身に紫電が迸る。
全ての龍は、龍神によって生まれる。
今ここで怪物を蹂躙し続ける龍帝すらも、龍神が生み出したものでしかない。
つまり、その全ての龍を生み出す龍帝の力とは―――全龍の力。龍の全て。
鋼の爪は鋼龍のもの、悪魔の翼は次元龍のもの、紫電は雷龍のもの。
世界最強種たる龍、その力全てを自在に操ることが出来る龍神に勝てるものは―――この世界には存在しない。
巨人は、目の前にいる龍神を脅威と見定めたか拳を振りぬく。
だが、龍神は既にその場所から消えていた。
パンっと空気が弾ける音共に、巨人の頬に一筋の赤い線が刻み込まれる。
パパンっと今度は連続して破裂音が鳴る。今度は、巨人の耳たぶが裂ける。
『オオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
巨人は怒りの雄たけびを上げ拳を振り回すが、雷と同じ速度で移動する龍神を捕らえることは出来ない。
むしろ、拳を振り回せば振り回すほど隙が生まれ、その巨躯に傷跡が刻み込まれていく。
「あれが・・・伝説の龍神の力・・・・・・」
『呆けているところ悪いが、我等も龍神様の元へ参る。後は頼んだぞ、若き戦士よ』
「・・・・・・えっ?」
突然の龍帝の発言に理解することが出来ず、呆然とする騎士を置いてエラクティンは龍神の元へと飛んでいってしまった。
「ちょ・・・待ってくれ!この戦線は、情けないことだがあなた方の力をもってして保っている!今抜けられたら戦線は・・・!」
「大丈夫ですよ。ここで戦っているのは・・・我々だけではありませんから」
空に座りながら浮かぶ風仙は、巨人の足元を指差す。
見えるのは、多種多様すぎる怪物たちの姿だけ。今の状況を打開するものなど欠片も見えない。
「そっちじゃありませんよ。もっと奥。・・・いや、あっちから来てくれたようですね」
言われたとおり、怪物たちの更に奥。その先に見えるのは・・・燻る紅色の炎。
紅色の炎は、徐々にこちらへと近づき。
ドンっと、周囲一帯を滅し、爆炎と煙と焦げた肉を撒き散らしながらこちらへ突き進んでくる。
新手の敵かと、全員が獲物を構えると紅炎は四馬身ほど離れた場所で停止した。
紅色の炎は、徐々にその勢いを衰えさせていき中から現れたのは・・・紅色の鎧を身に纏った騎士。
その姿は、実に見覚えのある姿であった。
つい最近、バジリスクに襲われた王国の第三王女を救った謎の騎士。
絶対強者たる龍を殺したことでその身に宿した力の代償たる竜呪すら自らの手中に収める、理不尽とも言うべき強さを誇る王国騎士団長をもってして、世界でも五本の指に入る強者であると断言された騎士。
「・・・もしや、貴方様は紅騎士なのですか?」
見るものを引き付ける、血に濡れても尚美しく輝く紅色の鎧。
あまりにも長大であり強大なオーラを放つ骨の斧。
以前より片腕が肥大化して変形してはいるが、その姿はまるで変わりは無かった。
紅騎士は、確認するように辺りを見渡し・・・ふと目に留まったからか、一人の騎士に何かを渡すと、再び戦場へととんぼ返りしてしまった。
急すぎる展開に、全員がぽかんとした表情をしていた。
「・・・・・・何がしたかったんだ?」
「さ、さあ・・・とりあえず、何を渡されたんだ」
「手紙みたいだな。ちょっと開いてみる・・・」
手紙を渡された騎士は周りの視線に急かされ、慌て気味に手紙を開ける。
ちなみに、先ほど紅騎士の蹂躙のおかげか周囲の怪物たちは灰と炭の芸術的彫刻になっていた、そのため騎士たちにも手紙を確認できる程度には余裕ができていた。
「えーと、何々・・・『主様が残された命により、前線はなるべく我等が支える。とりこぼした怪物たちを頼みたい』・・・って書いてあるぜ」
「・・・随分と上から目線だな。まあ、それだけのことを言える実力はあるみたいだが」
「あの斧一回振っただけで、周辺が灰になってるからな・・・お、ちょっと待ってくれ。まだ手紙の裏に何か書いてあるぞ」
短く簡潔な文が書かれた手紙の裏を見ると、これまた実に簡潔な文が書かれていた。
この手紙に、流せるだけ魔力を流せ、と。
「魔力を流せって書いてある。ちょっとやってみる」
「おい待て!そんなわけのわからないものに・・・うお!?」
静止の言葉を耳に入れるよりも早く、騎士は残っていた魔力全てを手紙に注ぎ込む。
すると、手紙から魔方陣が浮かび上がり・・・虚空から五十の白き従僕が召喚された。
立て続け様に何かが起こっていき呆然とする人間たちをよそに、白き従僕は己の武器を胸元に掲げる。
手紙に魔力を流した騎士に向けて。
「もしかして・・・召喚具だったのか!?」
「ちょっと待て!手紙はまだ残ってるぞ!」
落ちた手紙を、傍にいた騎士が拾い魔力を流せば、先ほどの光景をリピートしたように、虚空から白き従僕が召喚される。
間違いない。これは・・・
「アーティファクト・・・」
誰かがそう呟く。その言葉は、今ここにいる全員の声を代弁するものであった。
伝説級の魔道具、神器とは違う、かつて存在した超文明が残した復元不可能な遺産。
簡素なものでも、金貨が千枚単位で吹き飛ぶ道具。
そう認識したとき、誰もが僅かに震えた。
「おい、ここにいるってことは全員小隊以上の指揮訓練を受けたものってことだよな?」
「・・・・・・ああ、そうだな」
「・・・できるか?即席隊長方々?」
「できるかじゃねえ。やるんだよ。おい、このアーティファクトを直ぐに全隊に回せ!勝利が・・・見えてきたって!!!」
騎士達は次々と白き従僕を召喚し、前線へと突き進んでいく。
重大な問題、人数不足は解消された。これがあれば、龍帝達が抜けてしまった穴も埋められる。
ちなみにだが、この紙は紅騎士―――コーカサスが創った物ではない。
現在、星巨人が生み出した怪物を止めている主力はアルゼンの兵隊蟻だ。
しかし、初めての大規模部隊の運用と全力出撃のためか指揮が乱れ、戦線に綻びが生まれ始めていた。
そのため、ベルゼが簡易式の召喚陣をつくり、人間たちに兵の一部を分け与えて使役させているのだ。
まあ、ざっくりといってしまえば、現地で即席の店長を無理やり雇っている感じだ。
多少騙している感じもするが、どちらにとってもwin-winな関係を保っているのでそう悪いことではないだろう。
人間たちにとって見れば、戦力の増強ができる。更に、負傷者も減らすことが出来る。
ベルゼ達にとって見れば、巨人による死者を減らすことが出来るし、怪物をより効率的に殺すことが出来る。
どこからどう見ても、win-winな関係である。
こうして、龍帝達が抜けてしまった穴は埋められ、時間当たりの負傷者は二十分の一以下に抑えられ、最初の魔神の攻撃から生まれた怪物、龍神の猛攻による怪物の侵攻はは抑えきれるようになってきた。
希望は、生まれた。
龍神の参戦、紅騎士によってもたらされたアーティファクト。
魔神が破れた時とは比べ物にならないほどの士気が、騎士達を酔わせていた。
『オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
龍神と龍帝の猛攻により、巨人の体には次々に傷が刻み込まれていく。
その傷は浅い。それに、巨人の生命力を持ってすれば、刹那の間に埋まってしまう程度の傷だ。
だが、問題がないかと聞かれればノーであった。
自分は触れることさえ出来ず手も足も出ないのに、相手は次々と自分に攻撃をする。
一体に集中しようとすれば、仙人と精霊王が目潰しに光玉をばら撒き、他の龍帝の攻撃が集中してくる。
巨人の苛立ちは、最高潮に達していた。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』
頭が沸騰しそうなほどの苛立ちに耐え切れなかった巨人は、その鋭い爪で頭を掻き毟る。
ぶちぶちと指に絡んだ墨色の髪の毛がちぎり抜け落ち、ばらまかれていく。
その行動は無意識のもの。しかし、巨人は気づかぬうちに最高の一手を打っていた。
抜け落ちた髪の毛は・・・怪物と同じように大蛇となって龍神に襲い掛かった。
『むう!!』
先ほどまで生まれていた怪物たちとは比べ物にならない、龍神とほぼ同じぐらいの大きさの大蛇が群れを成して襲い掛かる。
鋼の爪で大蛇を切り裂くが、ただの血ではなく髪から生まれた大蛇の生命力は高く、首を落とし
た程度では息絶えず、それどころか千切れた頭と体を使い龍神へと襲い掛かってくる。
『龍神様!!』
大蛇に苦戦する龍神のため、龍帝達が己が主の元へと馳せ参じる。
大蛇は強力だ。だが、本能で動くだけの大蛇と、確かな意思を持って戦う龍帝など比べるまでも無い。 見えない刃、岩の槌、水の銃弾、炎の息吹によって、大蛇達は次々に駆逐されていく。
しかし、彼らの判断は間違っていた。
目の前で固まっている的を前にして見逃すほど―――巨人は馬鹿ではない。
龍神が気づけたのも、ある意味偶然だったかもしれない。
何故自分達は、巨人を前にしてここまで大蛇に釘付けにさせられたのかと?
これは、まるで魅了の魔術にかかったような・・・
はっと顔を上げれば、拳を後ろへと引く巨人の姿があった。
『しまっ・・・』
龍神は必死の力を振り絞り大蛇を弾き飛ばし、己の従属たる龍帝達も吹き飛ばす。
『なにをっ・・・龍神様!?』
驚きの声を上げる龍帝達だが、抵抗することも出来ず大地へと吹き飛ばされていく。
龍神も覚悟を決めた。世界を生かすのに最善の選択肢はうった。
今ここで己が生き残るよりかは、従属を生かしたほうが世界が生き残る可能性が高いと、いとも簡単に自らの命を放棄した。
私情が混ざっていないとは言い切れない、だが、これが一番可能性が高かった。
龍神は全身を黒へと染め上げ、更にその上から氷と鋼の衣を纏い、両手を一本の槍へと変化させ、巨人の拳を迎え撃つ。
己の持つ力全てを篭めた一撃は、巨人の体を確実に削り・・・
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
折った―――中指を。
もはや、笑みしか浮かばない。
全力に全力を重ね、一秒後の生すらかけて放った一撃でも、たった一本の指を折ることしか出来ない。
なんと無力。なんと無様。
だがよい、たった一瞬であって、この身を賭けて時間を稼ぐことが出来たのだから。
そう言って、龍神は己に納得をさせた。
『オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
指が折れたほうとは逆の拳で、巨人を龍神を吹き飛ばす。
全身の力を振り絞った一撃の後のため、もはや飛ぶことすらままならなかった龍神はあまりにも呆気なく大地へと叩き伏せられた。
人類・・・いや、この世界全ての知恵在りし生命体の希望が潰えた瞬間であった。
人々の希望は、絶望に塗りつぶされた。
龍神は叩き落された。龍帝も必死に喰らいつくが、劣勢なのは見て取れる。
そして、触れればその存在ごと否定される精霊王たちは次々に消えていき、仙人たちは努力空しく巨人の拳によって大地にめり込み、天高く吹き飛ばされていく。
真っ暗な、光など一筋も無い絶望が世界を覆う。
そして、その絶望を糧に巨人は新たなる存在へと昇華する。
物を壊すだけの”人”にあらず、希望すら破壊する悪―――”神”へと。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
巨躯は更に膨張し、存在感はそれに比例するかのように人々を圧迫していく。
世界中全ての絶望と恐怖を持って、巨人は・・・【星巨人】は【星壊巨神】へと至る。
ただ星を潰し続ける、最悪の災厄へと。
『■■■■■■■■■!!!』
その存在を示すかのように、巨人は言葉にすることも出来ないほどおぞましい雄たけびをあげる。
巨人の咆哮により、世界が割れる。天がまるでガラスのように崩れ落ちていく。
この世界はもうすぐ・・・滅亡を迎えるだろう。
「・・・・・・なあ、ばっちゃん。あれなに?」
戦場から、離れたところにある村。
地獄そのものの戦場に向けて人類の勝利の祈りを捧げる大人達の中、一人の少年が天を指差し、隣にいる老婆に尋ねた。
少年はこんな絶望の中でも、無邪気に天を見上げていた。
不思議に思い、老婆も少年の指差す先を見れば・・・そこにあるのは、黄金の歯車であった。
「キレーだな・・・・・・」
崩壊した天の中からキラキラと輝きながら、巨大な黄金の歯車がゆっくりと回転して落ちていく。
歯車が落ちていく先は巨人・・・いや、巨人の足元へと真っ直ぐに落ちていく。
流れ星のように綺麗な軌跡を描き、歯車は落ちていき地面へと落ちた瞬間、ほんの一瞬だけ強く輝きそして儚くその光も消えていった。
次の瞬間のことを、人々は決して忘れないだろう。
例え何千年何万年経とうと、権力者が緘口令をしこうと、大人が子供へと、そしてその子供が大人になったときに自分の子供へと、広く語りつがれていくだろう。
割れた空、漆黒の世界が広がるその先に―――更に黒く塗りつぶすような真っ黒な球体が出現した。
豆粒の如き小さな漆黒の球体は、徐々に周りの闇を喰うように成長していく。
その膨張は、圧倒的なほど速く、膨張すればするほどその速度は上昇していく。
まるで・・・この大地へと落下しているように。
空全てを埋め尽くすほど膨張した漆黒の球体は、ドクンと一度大きく鼓動し縮小した。
そして―――巨人が吹き飛んだ。
誰もが限界まで瞼を広げ、顎が外れてしまうのではないかというほど口をぽっかり開ける。
あれほどまでに苦戦を強いられ、龍神すら叩き伏せた、天を貫くほど強大であった巨人の体がくの字に折れ、土砂を空へ撒き散らしながら北へと吹き飛ぶ。
それは、あまりにも現実離れした光景。
だが、人々は次の瞬間思い出す。
いたではないか、あったではないか。
その現実離れをした光景を起こすことの出来る、もう一つの災厄が。
膝の力が抜け、平伏すように倒れていく人々。
その姿は、まるで帝王に跪く奴隷のように。
―――弱者はその姿を拝むことすらおこがましい。
僅かに残るのは、世界に名だたる強者たち。
しかし、彼らであってもそれが限界。歩くどころか、動くことすら出来ない。
―――強者は身震いでさえも無礼。
帰ってきた。
黄泉の鬼共すら食い尽くし、地獄の門を食い破って。
【■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!】
それは、世界へと証明する。
この世界の絶対的主権者の帰還を。
漆黒の球体は激しく鼓動を続け、膨張を再開し天を埋め尽くす。
震えよ、知恵ある生物よ、恐怖すら超えた畏敬を持って。
謳えよ、言葉を持つ人類よ、我等が頂点の絶対者の帰還を。
星を破壊する巨人に対する、宙一つを背負う神の帰還を。
「・・・・・・魔神が・・・帰ってきた・・・!!」
明日はちょっとだけスペシャルなことが起きるかも。
感想頂けると、変なテンションで喜びます。
後、執筆もはかどります。
ということで・・・どんなことでもいいので、感想お願いします
訂正
・数だけの取り得の有象無象、→数だけが取り得の有象無象、
・まだ彼らの後には、帝、人、王の上→まだ彼らの後には、帝、仙、王の上




