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45 俺たちの戦いは…


 優子は意を決して、廃ビルの部屋に入る。その場所は今まさに戦いが始まったばかりだった。3人の巨漢に対して、男が5人と優子含め女子2人で戦いを挑む。数の上では有利。だけれども…


「おいごらぁ、さぁぶっ殺してやる」


「今の私たちに失うものなどないんじゃボケー!」


 メイコが咆え、皆が一斉に襲い掛かる。


「あ、優子ちゃん来てくれたんだ!」


「まぁ、玲奈には私も借りがあるのよ」


 優子は目くばせだけでジョージに戦況を聞いた。


「大丈夫、こっちの方が人数多いから! 二人でその扉締めておいて!」


「わかった」


 メイコと優子がすぐに重たい扉をガラガラと閉め、鎖で扉を複雑に絡めてなかなか外れないようにする。もうこの部屋からは戻れない。決死の覚悟。


その間にもホールでは死闘が繰り広げられていた。


「長き旅の果てに会得した、必殺の右ストレートを食らえ!」

 

 唯一重量級の旅人の放つ重たい右ストレート。相手と体格は互角。しかし、俊敏さでは敵が上手だった。旅人のストレートをひらりと交わした敵は、がら空きとなった旅人の背中に両こぶしで一撃を加える。


 グキグキ、バキ。


 旅人は悶絶し、同時に昔から患っていたヘルニアが発動する。その後、旅人は地面に転がったままピクリとも動けなくなったと言う。


「今こそ、労働革命の時! 俺はプロレタリアートに戻るため…」


 体の細いプレカリは大きな鎌のような武器を持って戦う。大きく振りかぶり、敵の真正面からこれもまた重たい一撃を相手に食らわせようと言う魂胆であった。


しかし、鎌は空を割くような音を鳴らした。なんと、敵はわずかに横にずれて鎌を回避したのだ。そして、プレカリが振り下ろした威力を殺さぬように力を逸らしながら、プレカリの腕を掴み、さらにベルトを掴み、プレカリの体が空中にふわりと浮き上がる。無重力空間のように体が縦に回転し、プレカリは重たい鎌に振り回されるように遠くへ飛んで行ってしまう。


ガシャーン。と音がしたのは、それから二秒くらい後である。


従業員ジョージと流浪人ケンジ、さらに野良人ミケは腕を合わせて、一人の敵と三対一で対峙していた。バンドで培った連携を戦いでも生かそうとしていた。


まだ疲れていない相手に重い一撃を狙っても回避されて終わりだ、おれたちは足で稼いで相手を消耗させろ。


軽快に攻撃を放っては引くと言う作戦をとる二人。その二人が作る隙に乗じて、野良人ミケが上から狙う。軽い体で天井をめぐる梁に上り、それを伝って敵の上をとる。ここぞと言うタイミングで上から蹴り飛ばそうと考えていた。しかし、ミケがタイミングをうかがうも、一向に飛び掛かれそうなところに敵が来ない。


(こっちだ!)


 必死でジェスチャーするも二人は全く気付かない。そのうちに息の上がる二人。一方、二対一で相手しているはずの敵は余裕だったし、さらに上で待ち受けるミケに気づいて鼻で笑う。


「お前ら、あいつを忘れてるんじゃないか?」


「え?」


 ジョージとケンジは梁の上に佇むミケを見つける。


「何やってんだよ、そんなところに居ないでお前も戦えよ」


「そいつがこの下に来たら飛び掛かろうとしてたんだよ!」


 目から鱗の落ちるジョージとケンジ。


「あ、なるほど!」


 ミケの下に陣取って敵をおびき寄せれば良いのかと目からうろこの二人であった。しかし、それが敵に発覚しては意味がない。


「こうなったら仕方ない。ジョージ、ケンジ、ミケ! 俺ら三人でジェットストリームアタックだ!」


 先頭を駆けるジョージの後ろにぴたりと二人が控えることで、ジョージの死角にいる二人の行動が予測できなくなる。先頭のジョージが囮となって死角を作り出す技こそがジェットストリームアタックである。


 しかし、相手に突撃慣行するジョージに向かって相手も駆け寄ってくる。そのまま正面衝突して、一人巨漢によって、ボーリングのピンがはじけ飛ぶように三人ともが飛び散る。ケンジやミケたちは回転しながら星のように消え、正面の扉にたたきつけられたジョージを優子が介抱する。


「あとはお前たちに任せた…」


「え、もう全滅?」


 優子とメイコはようやく鍵をかけ終わったところであった。


「へへへ、後はお嬢さんだけだな」


 部屋は死屍累々であった。


「ちょっと、嘘でしょ?」


 焦るメイコ。しかし、優子が前に出る。


「あなたたち、この私に傷をつけたら龍志さんが黙ってないわよ」


「お、お前は堂野優子。今、龍志さんがめっちゃ入れあげていて、店に来ていきなりナンバーワンになった挙句、店のベテランを打ちのめして店の裏のリーダーまでやっているとかいう…とんでもない女」


 隣のメイコがちょっと引いていたがそんなことを気にするような優子ではない。


「ご名答。ここを通りたくば、私を倒してから行くことね!」


「どうしよう、兄者。俺、優子ちゃん苦手なんだよな…」


「それ、何? 私が人間的に苦手って意味?」


「いえ、そんなことはありません」


 そして、さらに優子はプレカリの持っていた大鎌をプレカリより鮮やかに振り回す。これは、絶対に強いやつの動きに違いない。三兄弟が困惑するのが見てすぐに分かった。それに、優子は龍志の店のナンバーワン。けがをさせずに刃物を振り回すやつを捕まえねばならず、それは逮捕術の中でも難しいことの一つである。


「さすが優子ちゃん。一人で形勢逆転するなんて。じゃぁ、私も攻めようかな!」


「大丈夫なの?」


 体格差が半端ではないメイコさんと三兄弟。


「大丈夫、私こう見えて強いんだよ! じいちゃんが空手やってて、教わったことあるから」


 昔野球やってたらからわかるレベルの、明らかに大丈夫じゃなさそうなフラグを立てて、メイコさんは一人巨大な三兄弟に向け突撃慣行する。


「私たちの戦いはこれからなんじゃー!」

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