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それを見て聞いていた一人の男が、カウンターで両手を組み祈っていた。
(神様、どうか御願いします……彼らに光ある未来をどうか御願いします)
歯を食い縛り祈っていた。
もう、神父服は着ていない、十字架もしていない男が心の底から祈っていた。
彼は、厨房で店主が忙しなく動いているのに気づき、ふと我にカエル。
(……なんだよ、こんな時ばっかり、神様なんて……こんな酔って俺、アホだな……もう帰ろう……)
「会計してください!」
信一は、目の前にある、おしぼりで顔をサラッと拭うと、そう言って席を立とうとした。
すると、店主は、振り向いて
「まちな、サービスだから、これだけ食べて帰りな。うちの特製の煮込みだよ」
そう言って信一の前に小皿イッパイの煮込みを差し出す。信一は、あまりに美味しそうで、ガッツイテ食べ始めた。
本当に美味しい!
そんな信一の耳に、また会話が聞こえてくる。




