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今回いつにも増して短いです。すみません…
ニコラスの一行とともに旅立ち、村が見えなくなると、ターニャは寂しさに襲われた。だが、御者台にいたアランは、そうなることを見越しており、軽い感じで声をかけた。
「ええっと、ターニャだったな。砦には親元を離れて来ている子どもがたくさんいるぞ。お前だけじゃないから心配するな。まあ、ほとんどは10歳くらいの坊主ばっかりだが」
ターニャはそれを聞いて驚いた。
「え、家を離れる子ってそんなにいるんですか?」
「そういえば村からでる子供ってのは、そんなに聞かないな。街じゃ次男・三男は家を出なきゃならないだろ?多くの子が街の警備隊で見習い仕事をして、見込みがあるやつが砦に行けるんだ。見込みが無ければそのまま警備隊で見習いを続けたり、別の仕事を紹介してもらったりする。だから警備隊に見習いにくる子は多いよ。兵士になりたいわけではなくても、3年くらい見習いをしっかりやれば警備隊で向いてそうな職人や商店に紹介してやるしな」
ターニャは驚いた。では、街では大人の言うがままではなく、自分で奉公先を探す機会があるのか。
「そうなんですか?街ってすごいんですね。見習いの途中から奉公先を変えるなんて、村じゃ出来損ないだって言われるのに…」
アランは苦笑して答えた。
「まあ、村では誰もが知り合いだから、初めからよさそうな奉公先を見繕えるんじゃないかな。街では知り合いでもないと最初から行きたい奉公先に行くのは難しいだろう。だから警備隊みたいなところで、まじめに見習いをして、人物を保証してもらうんだ。子どもたちは自分の行きたいところを紹介してもらえるし、商人側も真面目な子どもを紹介してもらえる。お互いに助かってるのさ」
そんな感じで、街の子どもたちの見習い事情や、ターニャの村での暮らしなどを話しながら、砦へ近づいて行った。途中何度か馬のための休憩をはさみながら、夕刻にはヴァルド砦についたのだった。
評価・ブックマークが増えました。とてもうれしいです。
拙い作品ですが、ブックマーク=読者様がいらっしゃる限り、頑張って書きたいと思います。




