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ヴァルド砦は3つの部分からなっている。砦の主の仕事場である執務室兼指令室や応接間などをなどを含む執務棟、砦の主の家族や使用人の住む奥棟、そして砦に詰める兵士の住む兵舎である。


ヴァルド砦についたニコラス一行は砦の門をくぐった。門を入ってすぐは開けており、鍛錬を終えたらしい兵士たちが兵舎へ戻ろうとするところだった。ニコラスたちの帰還を目ざとく見つけた教官の一人が

「ジャンとロランの班は荷下ろしを手伝え。ほかの者たちはさっさと汗を流しに行け」

と声をかけていた。それを聞き、アランがターニャに声をかけた。

「これから荷下ろしをするから、ターニャとは一度ここでお別れだな。まあ、ここで働くんだからまたすぐに会うだろう。俺でよかったら頼ってくれよ」

そこへニコラスも声をかけた。

「アラン、お前は倉庫の方で荷下ろしをしてくれ。ターニャ、これから君のことを見てくれる者の所へ連れて行こう」

ターニャは慌ててアランに礼を言うとニコラスについていった。


ニコラスは奥棟の方へ歩きながら、ターニャに話しかけた。

「君は女の子だから奥棟の方で働くことになる。奥棟はミレーネがまとめているから、彼女に何でも聞くといい。私の妻もだが、ミレーネもなかなか刺繍の腕はいいぞ」

ターニャは”砦の偉い人”が気さくに話しかけてくれるので戸惑った。アランのような普通の兵士ならともかく、ニコラスに自分のようなものが普通に話していいものか、悩んでしまった。

「どうした?緊張しているのか?それとも疲れてしまったかな。今日は顔合わせ程度にして早く休むといい」

ニコラスにはターニャは砦に来て緊張している初日の兵士と同じように感じられた。憧れの地に来たはいいが、緊張してろくに話すこともできないのであろう。新人兵と違い、同期の仲間がいないのだからその点は気を配ってやるようにミレーネに話しておこうと考えた。


奥棟につくと連絡が行っていたのかミレーネが待っていた。

「その子がターニャですね。ニコラス様は帰還後の事務があるでしょうからもう行ってくださいませ」

「そうすぐに追い払わなくてもいいだろう」

「いえ、コルベール様が帰り次第執務棟の方へ顔を出してほしいとのことでした。

「そうか。では、この子が話してあったターニャだ。初めて村を出てここへ来たのだから気を配ってやれ。ターニャ、これが先ほど話したミレーネだ。君は彼女の下で働いてもらうことになる。ミレーネの言うことをよく聞いて、しっかり働いてくれ。真面目に頑張れば、君の夢に近づくこともできるだろう」


そう言うとニコラスは行ってしまい、ターニャはミレーネと残された。




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― 新着の感想 ―
[一言] こう言う厳しい現実に立ち向かう人の物語が好きですわ。 アテクシ小説のように、何でそうなったのか分からないような主人公の為だけに世界が回る物語は大嫌いなので…
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