毎朝会うボクっ子との距離感がおかしい
新連載です!
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お付き合いいただけたら嬉しいです。
「おーじさん!」
朝の六時半。海の見える公園にて。
高校の制服。スラックス。黒いパーカー。フードにマスク。あと、サングラス。
金髪がちらりと見えるが、顔面の露出面積、ほぼゼロ。
そんな奴が、後ろから俺に抱きついてくる。
「おー! おはよう。今日も指名手配犯みたいだな」
「うるさい。ボクは日焼け嫌なの」
「それと、俺はおじさんじゃない。今年から市役所で働いている、イケてるメンズだ」
「え〜、その言い方もおじさんじゃん」
「まだ22歳なのに!? それと、はーなーれーろー!」
「やーだーよー! 嬉しいでしょ?」
「男に抱きつかれて嬉しいかよ! でも、ん?」
「え? なにさ」
「ちょっと、やわらかいのが背中に当たって……お前、太った?」
「〜〜っ! 死ね!」
パッと離れて、そいつは俺の隣に腰を下ろした。
なぜか胸を両手で隠している。
俺はこいつの名前は知らない。
三ヶ月前、こいつがマダムの飼い犬に泣きながら襲われているのを助けてやったのが最初だ。以来、毎朝ここで会うようになった。
男子高校生……だと思う。声は高いが、まあ、そういう子もいる。ズボン履いてるし、ボクって言うし。身長は俺の胸くらいまでしかない。
「今日も仕事?」
パーカーのフードの奥から、サングラス越しの大きな目が、俺に向いた。
「まあ、そうだな」
「うわ、奴隷みたい」
「大人なんてみんなそんなもんだ。お前もそうなるぞー」
「ボクは引くほどお金持ってるもん。だから働かないし」
「嘘つけ。世の中そんなに甘くないぞ」
そんな大金持ってる高校生なんているわけがない。
「で。今日はなんかあるの、お役所は」
「会議。お偉さんたちが集まるやつ。朝イチ」
「うわー」
「朝からブルーだよ」
「頑張れ。ボクが応援してあげるからさ」
サングラスの向こうで、少しだけ笑った気配がした。
七時十分。
「――ボク、もう行くね」
そいつが立ち上がった。鞄を肩にかける。
「おう。気をつけて」
「うん。おじさんも。会議ファイト」
そう言って俺に近づいてくる。
「……ねえ、いつもの。して」
俺の方に頭を傾ける。
「お前も飽きないよな」
そう言いつつも、頭をなでてやる。
「……んー。大事な充電なの」
こいつは何故か俺に頭をなでるように要求してくる。男が男に撫でられて何が嬉しいんだか。
なで終わると体を離し、立ち去ろうとする。
「……あのさ」
俺は、つい口にした。
「なんで毎朝、ここにくるんだ?」
そいつは、振り返らずに答えた。
「……おじさんがいるから、じゃない?」
「え」
「ま、暇だから、って意味」
言い直した。
「ボク、ほんとに暇だから。それだけ」
「いや、今――」
「うるさい。死ね」
物騒な捨て台詞を残して、そいつは坂を上っていった。
やたら早足、というか走っている。
俺はベンチに座ったまま、その背中を見送った。
やたら細いし、内股。体型もなんか、こう見てみると……
あいつ、男、だよな?
ありがとうございました。
ニヤニヤと熱さを感じられる話を目指します!
次回、ヤクザ編です




