序
西高英哉の片割れ西高英哉SFです。
久しぶりにここを更新する運びとなりました。
詐欺リンピックが延期となり、詐欺ルス、マスクノミクスが流行る
火星の日常を描きます。
この物語はフィクションです。登場する個人名・団体名などは登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
昔々の遠い昔、太陽系には惑星アステロイドという巨大な共同国家体が存在していた。
惑星アステロイドは、火星と木星の間にあり、惑星全体に帝政を敷いており、超高々度資本主義社会をとことんまで突き詰めた結果、火星に植民地・プランテーションを作る程までの超高々度古代文明を誇った。
「今日は砂嵐が激しいな」と火星の日光で焼けた黒い肌の腕で汗を拭いながらアンダー・コントロールは呟いた。
アンダーは、テンエイト・プランテーションのオレンジ農場の片隅で拡販用サンプルオレンジの梱包作業をしていた。
この砂嵐では、視界不良のためフラップルバギーを地上から離陸させることができない。そうは言っても火星の砂嵐はいつの間にか始まり、いつの間にか収まる。
アンダー・コントロールは経験でわかっているのだ。
アンダー・コントロールは火星のテンエイト・プランテーションのオレンジ農場に入植してから既に十年になるが、うだつの上がらないサラリーマン農家として厳しい生活に耐えてきた。
「このまま、この火星に骨を埋めるのだろうか。惑星アステロイドに戻りたいのは山々なのだが――」
今のアンダーには、火星アステロイド間の超銀河エクスプレス太陽系幹線の費用も捻出できない。
一緒に火星に来た恋人のパーキーPもアンダーに愛想を尽かして他のコロニー農場の男の所に移って行ってしまった。
火星のオレンジ農場は古くからある開拓地ではあるが、今では全く新規入植者が来ない不人気のコロニーとなってしまっている。
この時代では火星のぶどう園とか、トマト農場が圧倒的な人気を誇っている。
火星のぶどう園で取れた貴腐ぶどうを使って造ったマーズワインは惑星アステロイドで相当な高値で取引きされているらしい。
「火星産のオレンジ・マーマレードや百パーセントのマーズ・オレンジジュースは、昔は高値で取り引きされていたのになぁ」とアンダーが独りごちた。
そんな意味のない思考に陥っている間に砂嵐は止み、フラップルバギーが飛行出来るまでの天候に戻った。
早速、アンダーは百箱のサンプル用オレンジが入ったダンボール箱を自家用フラップルバギーに積み込んで自宅に戻ることにした。
ヒト型アシストロボットの手を借りての荷積みは、ほとんどの作業をアシストロボットがやってくれるため苦にならない。
但し、アンダーのアシストロボットは非会話仕様のため、暇つぶしの会話もできないし、事故があったときの証人にもできない。
短編なのですが、読みやすく分割しました。