第35話 溢れる浪漫、覚悟と力。
(この熱と俺の理論を使って深く多面的に能力を行使する)
「強増力。」
「氣体術 亜流・霊廟悪鬼!」
鬼の妖艶な炎が吹き荒れる中、二人の肉体に異変が現れる。
「なんだ、心の底から溢れ出てくる?」
「これは・・・氣の異常放出?」
二人は遺物で繋がれている、崇城の無尽蔵の熱が刺客に伝わる。伝わった感情の昂りによる氣の異常放出。
「俺の熱じゃねぇ・・・どうやら俺はお前の熱に当てられたみてぇだ。」
「今更だが、自己紹介しとく。喜屋 ルヤ・・・別に忘れて構わない!」
二人の氣が共振するがの如く溢れる。
(これが氣!今まで氣的なモノを無意識的に感知していたけど、これを意識的に流れを感知できれば、能力を広げれる!)
ズズ...
「今までの強化とは違うな、肉体全体に張り巡らさせたのか?」
「これなら行ける!!」
「俺の感情はさながらジェットコースターだよ!」
崇城の肉体に赤い輪っかが浮き出ている、特に脚に。
「集約しろパワー。」
脚の強化は元々やっていた、今回のは更に各筋肉、骨に至るまでがみっちり強化されている、大雑把な強化ではなく、緻密で繊細な強化。
「自動から手動、流れを掴めば強固に更に強く。」
更には発散される力は無駄にせず、次から次へと流れるように、他の部位で増幅させた力を循環させる、これにより元の”強増力”の限界を超える。
「新技ァ『強増力-浪漫疾走』!!」
バコ!
超音速、今はそれが相応しい。
「速い、が俺を舐めるな。『霊廟陣』、展かァ。」
結界の構築前に鋭い衝撃が刺客の腕を折り壊す。
「強増力、超速長蹴!」
超音速の勢いを利用した蹴り。能力による結界の構築の一瞬の隙を突く。
ルヤの能力制御が揺らぐ。
「悪鬼が解ける・・・ッ?!」
霊廟陣の結界を肉体に張り巡らせ、超高密度の氣で身体を限界まで強化する悪鬼纏は解け、今は氣と霊郭による強化のみ。
「劣勢ッ?」
「お前は追いつけないッ。」
浪漫は尽きることなく、熱と力を生み出す。
「強増力!『浪漫疾走・越光閃』!!」
廃村に音が蘇る。祭りが如く廃村を駆け回る浪漫の太鼓が裏夜を鳴らす。
「まだ加速するか・・・ッ、浪漫か俺の浪漫も聞いてくれよ!」
「ゴファ!?」
熱による相乗効果は無論、ルヤにも及んでいる。
「どれだけ早かろうと、空間認識能力極まってる俺には関係なぁい!玄人は何でもかんでもカウンター決めるんだぜ!」
爆発的な成長速度でも、覆らぬ経験の差。
「ゴッ・・・マジか!あの速度にカウンターかよ、やっぱ強ェ!」
(もっと強く!次は多面的に捉えるように。)
「力が及ぶ先!それこそ衝撃・・・。」
力の流れが外に発散するイメージで。
「強増力、『空路疾走』!」
力が及ぶ先、生み出された衝撃。
崇城は気づけば空を手にした。
「『霊廟陣・界葬』!氣は感情の起伏で変わる!この熱は俺の限界を越えさせた!」
「行くぜ!その結界ごと、壊す!」
浪漫疾走時の速度を維持したまま縦横無尽に空と陸を駆ける。
「虫は飛んで火に入れ、死靈の戯れ!」
「空を割る!『強増力・空撃破』」
雷鳴が如く鳴る音、死した者達の苦痛な叫びを思わせる音・・・それらがぶつかり激しく鳴り響く。
遠くで見守っていたお婆さんはその瞬間まで、勝敗が決まる瞬間まで見つめ続けた・・・お婆さんは見届ける、崇城 優人の勝利を。
───────────崇城 優人────────────
勝利。
To Be Continued




