第12話 知識と力
『1年だ。・・・1年だけあそこに行くのを待て。そして、その間に知識と力を身に着けろ。』
王の間でゼウスにそう言われてから1年がたった。
茜は10歳になり、蒼も7歳になった。
人間界の居た時はまともな食事もしていなかったので神界にいたこの1年で茜も蒼も身長が伸び、成長した。
この1年間は人間界にいた数年よりも充実していて楽しかったと思う。
バベルの塔ではアテナとトトからいろんなことを教わった。
いろんな世界の世界観や歴史、伝承。知らなかったことを知ることは面白かった。特にこの世界、箱庭の歴史や神々の話は興味深かった。
アテナ達は茜に悪魔、蒼に天使のことを特に詳しく教えた。
どんどんと知識を吸収していく私たちに二人とも驚きながらもいろいろ教えてくれた。
そしてゼウスの宮殿ではいろんな神が力の使い方を教えてくれた。
アテナをはじめ、アポロン、アルテミス、ディオニュソスなどオリュンポスの神々、その他にもハデスやロキやトール、などとも会った。
ハデスはゼウスの願いについて教えてくれた。アテナがいない時に来たのは、偶然ではないだろう。
ロキたちは街中に出た時にあった。偶然なのかわざとなのかは分からない。
けれども街中に出るたびに出会い、その出会いがしらでロキが毎回何かを仕掛けてくるので偶然ではないだろう。
ロキの悪戯の矛先はたまにトールにも向かったが、その度にトールは冷静に返すのですぐにロキは飽きて、また茜や蒼に悪戯を仕掛けるの繰り返しだった。
たまにアレスにも会った。
会う度に戦いを仕掛けて来たがアテナが止めてくれた。
それでも少し力がついたころには相手をしてもらった。
そして1年間の努力の結果、力を開放することが出来た。
ただ、まだ全ての力を上手く扱うことは出来なかった。
そんな時間の合間にアテナはいろんな所に連れていってくれてたくさんのものを見せてくれた。
ゼウスが初めて会った時に言ったようにまるで家族のようだと思えた。
茜以外の家族を知らない蒼にとってそんな毎日はとても楽しそうだった。
初めに言ったようにこの箱庭での1年はとても楽しかった。
世界に絶望し、心を完全には開いていなかった茜と蒼がいろんな感情を取り戻す程度には。
そしてあのゼウスの言葉から1年がたった今、茜たちは王の間のゼウスの前に立っていた。
「・・・アテナ、二人はどうだ?」
「もともとの素質が高く、知は並の神では相手にならないほどです。力も十全を使いこなすことは出来ませんが、自分たちの身を守る程度なら全く問題はありません。だから・・・」
「分かっている。約束だ。バベルの塔の最上階に行くことを許可する。」
アテナが言い終わる前にゼウスが口を挟んだ。
ゼウスの言葉に茜と蒼が嬉しそうに笑った。
『ありがとう、ゼウス。』
「あぁ、ただし条件は守れよ。・・・アテナ、お前もついていくのだろう?」
「はい、ゼウス様。」
「茜たちを頼む。」
「はい!」
ゼウスの言葉にアテナは満面の笑みで返した。




