第9話 梟は勝利の女神
宮殿内はざわついていた。
「本当か!あいつらがアレス様を・・・」
「本当だって。さっき宮殿前で起こったんだから。」
「まぁ、あのアレス様だしな。天罰が当たったんだろ。」
廊下の端にいる神や神官たちが茜と蒼を見ながらこそこそと話していた。
「大丈夫ですよ、茜、蒼。アレスはあれでも私やゼウス様と同じオリュンポスの12神の1柱です。だから少々話が大きくなっているだけです。」
アテナのなんということは無いというような感じから茜はアレスがどういう存在なのか少し認識した。
「・・・あの神様は嫌われているの?」
「そうですね。彼は残酷な神ですから。一部の神を除いて皆嫌っているのですよ。・・・さぁ、着きましたよ。」
いろいろ話しているうちに朝までいた部屋の前に着いていた。
ドアを開けて中に入ると夕日の差し込む部屋の中に一匹の梟がいた。
夕日に照らされた羽が輝きとてもきれいだった。
「ニケ!!」
アテナがその梟に向かって声をかけると梟は一度羽ばたき、アテナの近くまで来た。
そして瞬く間に姿形をかえた。
それは人間に鳥の羽をつけたような姿だった。
〝それ〟はアテナの前に傅くと顔を上げ、報告した。
「本日も街に異常はありませんでした。ただ、他の種族の争いがだんだんとですが大きくなってきています。このままではアテナ様の街も巻き込まれる恐れがあります。」
「・・・そう、報告ありがとう、ニケ。」
ニケの話を聞いたアテナの顔が暗くなった。
そのことに気づいたニケは話を変えようと、辺りを見渡し、茜たちと目があった。
「あの、アテナ様。そちらが?」
「あ、そうよ。女の子が茜、男の子が蒼。茜、蒼、この子はニケ、勝利の女神で、私の大切な家族の一人です。」
アテナがお互いを紹介した。
それからしばらくニケとアテナが話していると、ドアをノックする音が響いた。
「アテナ様、ゼウス様がお呼びです。子供たちも、とのことです。」
扉の向こう側から若い男の声がした。アテナに敬称をつけていることからそこまで位は高くないのだろう。
「分かりました。すぐに伺います。」
アテナも返事を返した。
その後、男が遠ざかる気配がした。
「では、行きましょうか。茜、蒼。ニケも。」
「はい。」
茜と蒼は差し出された手を取り、ニケは返事をした。




