第一話 異世界転移
光が薄れて視界が慣れてくると私は草原の上に立っていた。周りを見ると近くには人が通って土が固まったのだろうと思われる道がありその先に目を向けると城壁のようなものが見えた。今の日本ではあり得ない光景を目にして自分が異世界にいるのだと実感する。
見慣れない光景に興奮して周りをキョロキョロと見渡していると、少し離れたところに一つ大きな大木が立っているのが見えた。
(なんだろ…。あの木に呼ばれているような気がする。)
木を見ているとなぜかそんな気持ちになり大木の方に歩いていくと、その木の根元に何か黒い物があるのが見えてきた。近づいていくと、だんだん形がはっきり見えてきて何かのケースようなものだと分かった。
(なんか見覚えあるんだよな〜。………もしかして……!)
もしかしたらもしかするかもしれない。そう思ったら居てもたってもいられなくて、そこまで急いで足を動かす。
「………はぁはぁ。やっと着いた。やっぱり私のアルト!!無事だったんだ。よかった~~!!」
(でもなんでここにあるんだろう?あの時アルトは確かに…。)
そう、私が転移したときアルトは一緒にいなかった。あっちに置いてきぼりになって私の代わりに落ちてきたものに当たってもうダメになってしまっていると思っていたのに…。
『『お前にはこれが必要だろ?』』
そう聞こえた気がした。
「ミューズ?もしかしてミューズがこっちに持ってきてくれてたの?」
『『そうだ。』』
今度ははっきりそう聞こえた。驚いて辺りをキョロキョロと見渡しても、ミューズの姿はなかった。もしかしてこの木だろうか。
『『その通りだ。この木は俺の力が宿っているいわば依代のようなものだ。俺の加護を受けている者ならこの木の近くでなら意志の疎通ができる。』』
「ミューズの加護…。」
そうつぶやいて左胸についているブローチをなでた。ミューズには助けてもらってばっかりだ。なにかお礼したいな…。
「ありがとうミューズ!!これは私を助けてくれて、私のアルトとまた再会させてくれたお礼だよ!」
そう言って私はアルトをケースから取り出した。ストラップをつけアルトを引っ掛けマウスピース、リード、リガチャーを手早くセットする。
「…ㇲゥ__…!_……〜〜〜〜〜!!!!」
助けてくれてありがとう。魔法教えてくれてありがとう。アルトと再会させてくれてありがとう。たくさんのありがとうの気持ちを音に乗せて曲を吹いた。
「、〜!!!…………ふぅ。」
やっぱり一曲やったあとはドッと疲れがくる。でも想いを曲にのせて吹くのは楽しい。
この想いが伝わる演奏が出来ていたらいいなと思う。
『『いい演奏だった。音羽の想いはしっかり伝わってきたぞ!』』
ミューズの声に合わせて木の葉がざわざわと揺れている。それを見て私は感謝を伝えれたいい演奏ができて良かったとホッと肩を撫で下ろしたが、
『『だが、伝えたい想いに楽器の技術が乗り切れていない。もっと上手い演奏ができるはずだ。その技術をこの世界でたくさん学ぶといい。』』
「それってどういう─」
そう聞こうとした時大木の近くで馬車が止まり、少し白髪が混じった男性が降りてきた。
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