何を言っているの
「いいこと思いついた――『女性街』と交換。ってのはどう?あそこは、アンタ等には勿体ないわ」
「――『新しい太陽』が黙ってないわよ」
「魔女をなめないことね。貴女等を追い出す事など魔法を使えば造作もないことよ。ちょうどあそこは治外法権だし」
「交渉決裂ね――貴女等こそ我々を侮らない事ね。私達は伊達に『女性解放戦線』と呼ばれていないわ」
私には会話の内容は分らなかったが、二人は沈黙し睨み合い、動けずにいた。
夜音が解放されない所を見るに、そう、うまくは行かなかったらしい。
『ゲーテさん。どうなっているの?夜音は?』
『――貴女、魔法は本当に使えないの?』
『使えないわ。使えるのは多分夜音の方』
『では、どうして夜音は魔法を使わないの?私達が居る今、使えば逃げられそうなのに』
『分からない。分からないけど、もしかして私を気にして――』
『――私は、こんな体だから『女性街』でしか生きられない。私は私の居場所を守るわ。どんな手を使ってでもね』
そういうと、ゲーテさんはどこからともなく、それを取り出した。
紅館でハイネさんが万千に向けたそれを。
「!――銃が魔女に利くかな?」
それを向けられた道化師の彼女は、まるで気にせず、平然としていた。
私は余り覚えてはいないが、魔法でそれを防げるのだろう。
ならば、それでは夜音は助けられない。一体どうすれば…。
「勘違いしないで。私は『女性街』を守るだけ。その為なら――」
「――!?」
「ゲーテさん、貴女は――」
あろうことか、彼女はそれを夜音に向けたのだった。
一体何を考えているのか。彼女は二代目の娘で、女性解放戦線に必要な一人。
ならば、夜音がいかに組織にとって重要な人物か分からない訳では無い。
いや、それ以前に、乙女にあんなものを向けるなんて。
もし何か作戦があったとしても、それはナンセンスだ。
「ゲーテさん、一体何のつもり?そんなものは下ろして!」
「――八乙女さんは、先ほど大郷司家に寄っていたのでしょう?ならば彼女の影響力を目の当たりにした筈。彼女こそ、大郷司万千こそ三代目雷鳥にふさわしい。この国を治めるにふさわしい。夜音よりもね。ましてや、魔女に成りかけているなんて。魔法ではデモクラシーは築けないわ」
「だからって――」




